2022年のベスト 音楽編前半

今年聞いたり観たり読んだりしてよかったものをまとめてみようと思います。
手始めに音楽から。

claquepot 「the test」

Da_iceの工藤大輝さんが突如気になり始めたんですよね。
自分でもよくわかりませんが、なんの脈絡もなく、朝会社行ってPCつけてガム噛もうとしたら突如工藤さんのことが頭から離れなくなった、という瞬間がまじでありました。もはや何かの呪いではないかと疑っています。
それはそうと彼のお兄様(何なんその設定)がソロで活動していらっしゃるという情報を入手し、解禁されたばかりのアルバムを再生してみたところ、驚くほど華麗に今年のベストにランクインしてしまいました。

ライブハウスの音楽

ひととおり聞いて、「この人ライブハウスが好きなんだろうな」と思いました。
当方、学生の時分は週に2回ほどライブハウスに出向くような暗い生活をしていたこともあり、少し過剰に反応しているかもしれません。けれどもなんとなく、<好きなことを好きな場所で好きなようにやる>みたいなマインドを感じたのでした。
聞き齧り程度に知っていた工藤さんは、テレビに出たり大きいホールでライブをしたりしている、半分生身で半分画面の中の人といったイメージでしたので、そのような方(のお兄様、この但し書き毎回すんのか?面倒すぎる、以下略)がライブハウスという個人的に馴染み深い場所と交わる感覚は、とても新鮮でした。

ライブハウスと一言で言ってもその様子はさまざまですが、たとえば代官山UNITのような、広すぎず狭すぎないキャパ。
やばそうな路地にあるクソ汚い箱とブルーノート(行ったことない、前者ばっか行ってたので)の間の雰囲気。
「少しだけ着飾りたい」と「踊れる身軽さ」の狭間で、出発前に小一時間くらい鏡の前にいることになるような。
そんな、あくまで日常生活の中でのきらめき、みたいなライブをするんだろうなと。

ライブで、というと「choreo」なんかはもう絶対に、必ず生で聞いてみたい曲です。ライブハウスどころか、駅から自宅までの道のりで踊ってしまうような曲ですから(ちょっと揺れてるとかのレベルじゃなく普通に踊ってます、自分が通行人だったら5 mは距離取りたいタイプの踊り方)、ライブハウスにいて片手にお酒なんかがあると、それはそれは楽しいことでしょうね。テンション上がって両手を上げちゃったりして、手に持っているビールが自分に降りかかってきて小一時間悩んで決めた服がビール臭くなるところまで想像できました。

「tone」について

・抱きしめすぎないで
#あの、いまこの見出しを書き始めた瞬間にちょうどシャッフルで「tone」が流れてきました、すごい、以上です。

この詩が本当に好きという話をしますね。
好きなものに対して、あえて距離を置こうとすること。
これは個人的にけっこう大事にしている考え方で、それがあまりにシンプルに表現されているように思えて、刺さりました。
「親しき中にも礼儀あり」というバイブスを感じる言葉がありますが、この言葉からもわかるように、どれだけ近しくても礼儀(に準ずるもの)が入り込むだけの隙間は必要なんですよね。
対人だけでなく、物にも、音楽にも。
距離がゼロになると、たとえば見る/見られる、とかそういう主体と客体の関係が壊れてしまうので。相手・対象物ありきの気持ちだったはずなのに、気づくと自分一人で完結しているような、なんだか空虚な気持ちになってしまう。
それでいいこともあるかもしれないですが、もうあのときの「好き」ではなくなる気がしますよね。なんとなくね。
可能な限り一番良い状態の「好き」を保つために、もうこの歌詞のタトゥー彫ろかな。

・音楽への愛
あとこの曲に関してもう一点あります。
話長すぎてこのアルバムだけで終わる記事な気がしてきた。

最初聞いたときはまあラブソング寄りの、少なくとも対人の曲だと思っていました。でも上述のとおりこの曲が好きすぎるために、歌詞を舐めるように眺めていたところ(普通に気持ち悪い表現になった、すみません)、はたと気づきました。

claquepotさんから音楽へのラブソングでは?

淡くカラフル

終わらない気がしてきたのでまとめに入ります。
アルバム全体のことを考えたときに、多面的な作品だと感じます。いろんな色があって、立体的で。
たとえば「sweet spot」のようなちょっと特別(claquepotさんにとっては日常茶飯事な可能性もありますが)な歌詞がある一方で「okashi」だったり「home sweet home」のような日常……みたいな歌詞があり。
ゴリゴリR&Bの曲があればJ-POPを感じるメロディックさもあり、ちらっとバンドサウンドが見え隠れするような気がする瞬間もあるし、気を抜いていたらHIP-HOPが出てくるし。
それなのにとっ散らかっていないし、緩急に疲れることもない。
この妙な心地よさは何なのか考えるに、ひとりの人生の枠を出ない(めちゃくちゃ良い意味で言ってます、信じて)、背伸びしすぎない親しみやすさみたいなことが理由のひとつなのかなという気がします。
毎日変わり映えしないけど、生きてればたまにはびっくりすることやドキドキすることや人には言えないなみたいなことも起こりますから。それらが絶妙なバランスで散りばめられていような。
そういう意味で、ギラギラチカチカするカラフルさではなく、明度・彩度・色調が絶妙に調合された淡くカラフルな作品だと思います。

横浜Zepp楽しみすぎていまから服装考えてます。小一時間どころの騒ぎではない。

いや、てか、長…
最低あと2曲は書きたかったのに…
結構絶望的な気持ちでタイトルに「前半」を書き加えたので一旦終わります。

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