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ドラマ感想文│『シークレット・インベージョン』最終話

最終話くらい配信日のうちに観ようと思い立ち、慌てて『シークレット・インベージョン』!

無事帰宅し片付けを始めるプリシラから始まってしまい、本当に前話を観て思った通りになってしまったところで嫌な予感がした。

フューリーはグラヴィク達のアジトへ単騎突撃し、車を囮にすることで護衛を倒す。何故今更護衛を置いているのか意味はよくわからないが、とにかく倒す。ガイガーカウンターを片手に、第1話のようによろめきつつグラヴィクの元へと向かうフューリー。もうこの時点でフューリーだとは思えない。

そしてグラヴィクと対峙。グラヴィクは激高しながら過去のアレコレをフューリーに向けて吐き出す。この演技は素晴らしいと思うのだけれど、やはり動機として弱い感じがする。仮にこれが本当の動機であって、それに賛同する仲間たちが集まっていたのだとしたら、きっともう少しマシな組織になっていただろう。そしてこんな過激な手段で混迷を招く前に、きっと解決の道があっただろう。コミュニケーションと説明不足に起因する夫婦喧嘩を見せられているような気分になってくる。

フューリーから「収穫」のアンプルを受け取ったグラヴィクは、装置の中にフューリーを残したまま(!!)アンプルの中身が本物であることを確認し、装置を起動する(!!!)。ガイアの生存を知らないグラヴィクであっても、プリシラの襲撃が失敗に終わった報告くらい受けていないのだろうか。フューリーが本物であると確信していたとしても、装置の中に残しておく理由が無いのではないか。そのせいで装置が誤作動したらどうするつもりだったのか。

等の疑問をよそにグラヴィクはスーパースクラル完全体へと無事に進化し、ちゃんとフューリー(偽)から反撃される。フューリーはガイアが擬態した姿であり、ガイアもまたスーパースクラル完全体にきちんと進化していたのだった!ナンダッテー!!!!

「うーん…何だかなぁ」という声が私の頭の中で大きくなってくる。

まぁ結局のところ、こういう詰めの甘さが組織の崩壊を招いたのだ…という風に考えれば渋々ながらも納得は行くかなぁ…?というモヤモヤを抱えた私の前では、スー(略)全体同士の全開バトルが繰り広げられる。最終話だから特殊効果も贅沢に使って、あんなヒーローこんなヴィランの腕やらビームやらでドンパチする若き兵士たち。

そんな中でミサイル発射シークエンスは妙にチープな感じがする。この違和感は何だろうか。全開バトルで予算が無くなったのだろうか。なんて野暮な心配をしてしまうくらいである。

全開バトルは予定通りキャロルのビームで決着し、大統領の脇でワチャワチャしていたローズもフューリー(本物)が撃ち抜いて倒れ、何となく全体的に良かったねという感じで事態は収束する。結局ヒルは死んでいたのか…。

そして大統領は暴走を始め、マジで掃除していたプリシラに迎えられるマジで無事に帰宅したフューリーから電話で煽られる。…けれど大統領も実は…?みたいな感じで物語は終わった。沢山の人間が横たわる場所に、本物の大統領が居るよということなのだろうか。いや、もう深く考えるのはやめよう。


マルチバースがどうとか量子空間が何だとかの設定そのものがアヤフヤな不思議ワールドと比べれば、地に足がついた設定で受け入れやすい話だったとは思う。スクラル人の変身は文字通り表面を真似るだけのものであるために記憶と人格まで真似るための装置や訓練が必要だというSFらしい設定は一応生きていたし、特殊能力を持った異星人に対して人類が如何にして立ち向かうかというハラハラ感も無くはなかった。

ただスーパースクラルが出できた時点で人類の手に負える話でないことは明白になってしまったし、結局のところ硬派にスパイアクションしていたのはソーニャだけだった気がするので、そのあたりを期待していた身としては少し物足りなかった。最終的にフューリーはガイアという力を頼ってグラヴィクを止めたわけだし、偽ローズも自らの手で殺すことになった。結局彼は誰かを殺すことでしか解決していないのには皮肉が込められているのだろうか。

ところで解放された地球人たちは、あの場所にあんな無防備な状態で無事なのだろうか。ガイアが大袈裟に演技していただけで、実は放射線の影響なんて殆ど無かったのだろうか。であれば今まで誰も近寄ろうとしなかったことに対して説明が付かないけれど、もう深く考えるのはやめたのだ。

色々な疑問や文句は書いたけれど、毎週水曜日の楽しみにはなってくれたのだ。例え「何だかなぁ」の大合唱が聞こえたとしても、楽しめたんだからそれで良いじゃないか。

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