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お遍路スイッチ 16

バックナンバー vol.16 (2013/5/14)

GWも終わりました。
12連休。特に何の予定もないお休みでしたが、天気が良いのとあまりにも暇だったので、山口県の周防大島にある「茂兵衛堂」に久しぶりにお参りに行きました。中務茂兵衛氏(なかつかさもへい)のお堂です。この中務茂兵衛という人は、お遍路では有名人。江戸時代から明治にかけてお遍路を280回した人で、先達の元祖といわれています。とっても人気者だったそうで、茂兵衛の名前で遍路道に沢山の道標が残っています。こじんまりとしたお堂ですが、とっても雰囲気があります。なかなか周防大島に行く機会は少ないとは思いますが、チャンスがあれば是非行ってみて下さい。オススメです。

ということで今回は、中務茂兵衛にあやかり先達のお話。

「どうやったら先達になれるのですか?」
よく質問されます。
「なりたくなったら、なれますよ」と答えています。
「具体的には?」
やっぱりそう来るか…と。

先達になるには、4回以上四国八十八カ所霊場をお参りして、八十八カ所のいずれかのお寺に推薦を貰うこと(四国にお住まいの人は、自分の住んでいる県のお寺。四国以外にお住まいの人は、八十八カ所のお寺であればどこでもOK)。その後、霊場会の審査を経て12月に開かれる先達研修会に出席して正式認定となります。

先達の役割は「多くの方を四国霊場に導く」といわれます。
私がツアーのお遍路さんにご案内するときは「四国霊場に興味を持っていただくこと、今回参加された方が次回も行ってみたいと思っていただくこと、そして一周回って結願した人がもう一度お参りしたいと思っていただくこと」が、先達の役割とお話しています。もっと言えば、このお遍路の文化を継承し伝えていく者だと思っています。
先達に認定されると、赤い錫杖と輪袈裟をいただけます。この輪袈裟には法輪のお印が染められています。法輪というのは車輪のような形をしていて、その意味は「仏の教えを留めることなく広めていく」ということです。

「先達さんは、お坊さん?」という質問もよくあります。僧籍を持ってらっしゃる方も多いですが、先達は、お坊さんではなく「先達」というポジションです。
たまに「先生」と呼ばれることがありますが、個人的には好きではありません。病院だと医師ではなく看護士さん。学校だと教師ではなく用務員のおじさん。お遍路さんの身近にいる存在であるべきだと思っています。

お遍路は同行二人といわれます。お遍路さんは一人ではなく、お大師様が常にいらっしゃるという事です。お遍路さんとお大師様、同行二人の傍らでお手伝いをする。そんな先達でありたいと思っています。

先達にもいろんな形があります。私のように職業にしている人もいれば、個人で先達としてお参りをしている人もいらっしゃいます。
職業で先達をされている方は圧倒的に少なく、ほとんどは個人的にお参りされておられます。どのような形にしても、先達は先達です。
皆さんがお寺に行った時、赤い錫杖を持っている人がいたら遠慮なく話しかけてみて下さい。作法やマナー、お寺の見所などを教えていただけると思いますよ。

先達になるのは簡単です。逆に先達になった後が大変かも知れません。少なくとも私は、先達になってからの方が大変でした。
中務茂兵衛氏のような、愛される人気者の先達を目指して日々精進です。

そういえば、「おまいりんぐ」のあゆみちゃんも赤い錫杖を持っていますが、この霊場に興味を持っていただくということでは、とても優秀な先達かもしれませんね。


 
合掌 (^人^)


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