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ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」vol.4 日本初演の布陣、メインキャスト


今回の「白井版 ジャック・ザ・リッパー」
どこまでも見せつけてくれました。
やはりそれは役者さんとの化学反応。プリンシパルの皆様とは、全員初共演ですが、これがまた刺激的な皆様でして。


木村達成さん、今回ダニエルと絡むシーンが多いのですが、とにかく「闘志」漲る方です。
ダニエルって「不器用な愛」の持ち主だと僕自身思っているのですが(伊佐の勝手な見解です)、それが「怪物」に変貌していく「獣」の目を持っているんですね。
稽古場ではいつもマスク越しだったので、目ばっかり見ていましたが、すごい目なんですよ。そもそもでかいんですが、もっとでかくなるんです。
あと、いい声なんですよ。それこそ「獣」のような声も持っています。いや、イケメンで好青年ですよ。でも、その「獣」ってのが役者を引き立てるポイントなんですよね。

小野賢章さんは、ダニエルとして絡むことがもちろん多いのですが、実はあまり稽古した感じがないのです。単純に回数が少なかったのか。
ただ、賢章さんは本当に自然にできちゃうんです。楽しい時は楽しくなって、緊張感のあるときは心臓の音が聞こえてくるような芝居をしてくれます。
あと、声優さんのやっさしい声。ナチュラルに安心するんです。プライベートも「おはよっ」って感じで、とにかく安心する方です。
そして、ただただ個人的に花澤香菜さんが好きなので、その嫉妬の胸の内を打ち明けました。

アンダーソン役って、白井さん的には一番浮き立たせたいキャラクターのようなのですが、その中立性が故に、とても難しい役どころだなあと思っています。
その、どこにも解き放たれない鬱々さを見事に表現してくれるのが松下優也さん。以前、ストレートプレイを観劇した時に、大変惹きつけられた俳優さんです。
優也さんも、アンテナがすごいんですよね。いつもビンビンに張っている感じがします。そして、理想のやさぐれ警部を演じてくれます。
これは好きになりますよ。甘い声も素敵です。そして、舞台上でいつも泣かされました。

その敵役に徹するのがジャック役の堂珍嘉邦さん。いやー、これは言うまでもエロの伝道師です。第七感までくすぐってきます。
その秘密は、やはりあの歌声。ミュージカルにも多数出演されていますが、このCHEMISTRY由来の色気というのが、堂珍さんジャックを完璧なまでに作り上げています。
そして、稽古を踏むことで、日に日に悪役さが増していきます。ジャック役って最後まで「人」に見えてこないんですよね。
いや人間ですよ、存在もします。だけどそのロンドンの闇に蠢く「狂気」そのものを、堂珍さんジャックはその魅力で出会わせてくれます。

さて、アンダーソンとジャック。この二枚衣装を見事に演じ分けるのが、我らが加藤和樹さんです。
話が飛んでしまうようですが、ホリプロさんの「フランケンシュタイン」や「デスノート」。これらの作品って「普遍的なテーマ」が必然性を生み出しているんですよね。
「フランケンシュタイン」では、その愛や命への冒涜。「デスノート」でも、正義や倫理観。今回の「ジャック・ザ・リッパー」でも、それを圧倒的に見せつけてくれます。

といったところで、今回男性唯一のシングルキャスト出演、モンロー役の田代万里生さん。お父様の田代誠さんとはオペレッタ協会でお世話に。
僕自身も声楽上がりなので、勉強になることが山ほどあります。今回のモンロー役は、ほんっっっとうに嫌な役を演じてくれます。
万里生さんって、きれいめ、な印象があったものですから、そのバイタリティに感銘を受けております。
踊れない踊れない、とは言いながらキレッキレのパフォーマンスを見せてくれました。

そしてそして、花を飾ってくれるのがグロリア役のMay’nさん。僕は「生きる」の印象が強かったですね。
とっても熱心で、キュートな方です。そして、よく考える人です。こうしたい、こうやってみたい、と前面に押し出してくれます。
そんな姿に、白井さんも、もう一つ!もう一つ!とアプローチ。日毎ぐんぐんグロリアが出来上がっていくのを、目の当たりにしておりました。
ロンドンに咲く一輪の花。本当に「花」そのものです。道端に儚く咲いている花。あなたは、どう、思いましたか?

ほんでもって、花はもう一輪。ポリー役のエリアンナさん。いやー、圧倒的歌唱力ですよ。
そんでもって、ポリーの曲って本当にいい曲ばっかなんですよ。儚くて、でも惹きつけられる。なんとかしてあげたいって。
そう思ってしまうアンダーソンの・・・てな感じで、エリさんには本当に魅せられております。
そしてプライベートの可愛らしいこと。いつもキラキラしておりました。

とにかく刺激的なキャストの皆様で、次巡り会えるのが本当に楽しみです。

愛すべきキャストは、またアンサンブルの皆さまにも…!


伊佐旺起

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