いなり式パウパー青緑感染論(構築思想編)
はじめましての方もそうでない方もこんにちむちむ。
吉田おいなりと申します。
晴れる屋TC東京でパウパーをプレイしている方なら感染ヒゲメガネ(清楚)と言えばわかる方も少なくはないと思います。
今回、これまで青緑感染を擦り続け得て来たものを言語化しつつ整理したいと思い記事を書きました。
はじめに
この記事に書く内容は感染で勝つために私が考え続けて来た事であり、それはこれから感染を握ろうと思っている皆様が期待している様なエキサイティングな物では無いと思います。
勝ち負けよりも感染らしいピーキーな戦略を体験したい方にとってはまるでアテになる物では無いと言う事をご了承下さい。
もう一つ、とても大事な事を書いておきたい。
感染に限らず、マイナーデッキを握る際には敗因をデッキパワーのせいにして思考を止めるのは絶対にやめて頂きたい。
tier外デッキにはtier外デッキたる所以があり、それを握って勝ちたいならばカードパワーの差など前提に織り込まねばならない。
それが受け入れられないのならば今すぐにtier上位のデッキに握り変えるべきである。
戦略の掘り下げられていないデッキを鍛え上げていくのを楽しむのがマイナーデッキの醍醐味である。
デッキパワーに差があるならば、どう乗り越えるか、それを楽しんでマイナーデッキを握って頂きたい。
パウパーにおける一般的な感染
感染と言うデッキは、1〜2マナの優秀な感染クリーチャー少数と、大量の巨大化系呪文からなる超高速ビートダウン。
相手の態勢が整う前に10の毒を与える事に全力を尽くした非常にピーキーなアグロデッキ。
それが感染と言うデッキと認識されていると思います。
いなり式感染思想
私の解釈はほんの少しだけ違います。
少数の軽量で危険なクリーチャーで相手を牽制しながらじわじわと蝕んでいき、隙を突いて致死量の毒を打ち込む。
それが私の思う理想の感染です。
最初からその様な思想であったかと言うと、そうではありません。
私も握りたての頃は最速キルこそが感染だと考えていましたが回し続けていて、キルムーブの瞬間が最もリスキーで敗因となり得る瞬間だと幾度となく思い知らされました。
例えば2ターンキルの場合
1T《ぎらつかせのエルフ》
2T《古きクローサの力》《巨大化》《変異原性の成長》
と動いた場合に《殺し》でも当てられよう物なら一気に4枚のカードを失い、立て直す術もなく後は蹂躙されるのみです。
そこで採用されているのが《蛇皮のヴェール》
コレを構えながらワンショットを狙うには常に1マナ浮く様に動かねばならず、最速は3ターン目になる事で相手側の除去や打ち消しの選択肢が潤沢なマナ域になる上に、《ぎらつかせのエルフ》《蛇皮のヴェール》《変異原性の力》修正値4〜+修正値3〜が必要となります。
土地を除いても5枚コンボである。
成立するわけが無い。
そう言った事を考えているうちに気づいたのが4点なり5点で2〜3発殴った方が安全にビートダウンを完遂でき、尚且つ巨大化系1枚当たりのダメージ効率が増すと言う事です。
ダメージ効率と言うのは例えば
《古きクローサの力》2枚があった場合に、1回の攻撃で2枚使うと1+4+4=9となり妖怪1足りないに苦しめられます。
それを2回の攻撃で1枚ずつ使うと2(1+4)=10となり妖怪1足りないを見事にしばけます。
しかも呪禁付与を構えた(と見せかけた)上で
物凄く当たり前の事を言っていて馬鹿みたいに思えますが感染で勝つためにはとても重要な事です。
他にも既存の感染戦略には重大な欠陥がいくつかあるのですがそれらについては実際の構築を交えて話していこうかと思います。
現時点でのいなり式青緑感染
こちらが現時点での私の青緑感染、第21回いしかじ杯パウパーTOP8のレシピになります。
どうでも良い事だけどTOP8って名乗れるのって今までよりほんの少しだけ箔がついた気がして嬉しいよね。プレミして負けたけど
名付けるならば結界式感染
中国語版のエンチャントが結界と表記されるのがやたらとかっこいいのでそう名付けました。
コンセプトは、オーラによるカードを消費しないクロックの強化とチャンプブロッカーの排除です。
パッと見はほとんどがパウパー感染でよく見るカードで、《渇き根》以外なんの変哲もないレシピに見えますが、感染に知見のある方はまず気になる個所があるでしょう。
《古きクローサの力》《変異原性の成長》の不採用
ではなぜこの2種が不採用なのかと言うと、私のカード採択における最も重要なポイントにそぐわないからです。
それは1枚に複数の役割を持たせる事です。
青緑感染は青い癖に手札整理が得意とは言えないデッキなので、持ち得る札に複数の意味を見出せるかが非常に大事だと私は考えています。
例えば感染最強の巨大化系呪文《embiggen》ならば
・5点攻撃
・4点以下の火力からクリーチャーを護る
・《遺物の咆哮》との2枚コンボによるワンショット
と攻2守1の3つの用途があります。
その観点から言うと、不採用の2種は攻一辺倒で守に関しては金属術未達成の《感電破》を耐えるくらいの仕事しかしないので、私の思想からすると弱い札なのです。
とは言え《変異原性の成長》の奇襲性の高さは非常に魅力的であり、構築コンセプト次第では2〜3枚採用する事もしばしば。
全カード解説
・呪文
《渇き根》
スゥルタイ増殖などで見られるカードですね。
まぁこれはテキストを読んで頂ければ説明は不要かと思いますが一応説明しておきます。
・マナベースの安定化
高速アグロの体をギリギリで保っている私の感染において矛盾点であったタップイン2色土地を減らした上で色事故を減らす事に大いに貢献してくれました。
・コンバットに頼らないフィニッシュ
触れた妖怪1足りないを見事に撃退してくれます。
「あと1点なのに…」本当によくあります。
土地を引かずとも、青マナが出ずとも、盤面が壊滅しようとも何がなんでも10個目の毒を打ち込むまでは這ってでも進む。
私の泥臭い感染思想を体現した1枚です。
こんなカードあるよ、と教えてくれたにゃん氏に感謝。
《定業》
ただ強。
《思案》《渦まく知識》でない理由は、シャッフル手段が非常に少ないため。
可能な限り今後の戦略を具体化する為に、コンバット前に使っておきたい。
《力の印章》
平たく言えば先置きする《巨大化》です。
先述の通り常に1マナ構える事を意識しているため、1T目からクリーチャーを展開する事は少ないので初動として使う事が多い。
赤いデッキに対して《稲妻》を躊躇わせる役割も初動としては理想的であり、マナを使わない《巨大化》としてフィニッシュに大いに貢献してくれる1枚。
《茨の盾》
チャンプブロッカーの排除とクロック上昇に手札を消費させないための札。
《胆液爪のマイア》に付けた場合は生贄に捧げる事で《トレイリアの恐怖》も乗り越えられる。
また、《力の印章》と同じく《稲妻》を打つ事を躊躇させる事もできる。
付けた状態で3回殴り、4回目の攻撃で生贄に捧げれば2+2+2+4=10となる大袈裟に言えば1枚で勝てる札でもある。
これもまた私の感染思想を体現している札なのかも知れない。
ちなみに4枚採用されてない理由は単純で、いしかじ杯までに4枚目が確保出来なかったからである。情け無い話だ。
《怨恨》
説明不要。緑アグロの必須カードである。
感染視点で言うならば役割は1つしか無いのだが、1枚引けばゲーム終了まで使い続けられる破格の継戦能力により、不採用が一切考えられない札である。
《胆液爪のマイア》につける事によりチャンプブロッカーに対し5/3トランプル感染という破城槌の如き突破力を見せる。
1枚引けば十分、2枚引いたら万々歳なため4積みか3積みかは非常に悩ましい所。
《遺物の咆哮》
イクサラン再訪により登場した期待のニューフェイス。
《embiggen》とのコンボにより《胆液爪のマイア》以外に打てば一度に10点を叩き出せる。
単体での性能はと言うと、正直な話あまり強くは無い。
《稲妻》に耐えられない青い《巨大化》であり、アーティファクトを付与する事で相手に除去札を増やしてしまう欠点がある。
ただ、《島》を攻めに使える数少ない札、と言う面では評価に値すると思う。
《embiggen》との組み合わせが強力なため4枚採用しているが、役割の少なさから枚数減も検討している。
《embiggen》
感染最強の巨大化系呪文。
説明がややこしいのだが、簡単に言うと
ターン中、ブラッシュワグでないクリーチャーを対象にし、カードタイプ欄の単語数だけ+修整を与える札である。
例えば《ぎらつかせのエルフ》の場合
・クリーチャー
・エルフ
・戦士
・ファイレクシアン
で+4/+4修整となる。
私のデッキの場合、《遺物の咆哮》によりアーティファクト・恐竜を足す事で、元からアーティファクトである《胆液爪のマイア》《死体の野犬》以外は+6/+6修整となる。
ちなみに緑単感染で見られる《荒廃のマンバ》の場合
・クリーチャー
・蛇
・ファイレクシアン
なので+3/+3修整になるため注意しよう。
《蛇皮のヴェール》
説明不要の呪禁付与。
ステータス修整ではなく+1/+1カウンターなので《渇き根》との相性も非常に良い。
《下支え》
5枚目以降の《蛇皮のヴェール》
他に候補として《レインジャーの悪知恵》《タミヨウの保管》等がある。
その中から《下支え》を選んだのは、インスタントタイミングで青マナを有効活用するためである。
緑の札が殆どである都合上、構えるために自ターンの動きを自由に取れない事があるため、青の守り札はありがたい存在。
アンタップするのも小回りが効いて好感触。
現在2枚採用だが、やや過剰な感じもするため《蛇皮のヴェール》と合わせて5枚でも良いかも知れない。
・クリーチャー
《ぎらつかせのエルフ》
感染の基本。
構築思想上、割とサイドアウトする事もある。
先攻1T目に出しても確実に生きたままターンが帰ってくるマッチアップもある。
それに関してはいずれ書くであろうプレイング編に記述したい。
《荒廃の工作員》
これがコモンなのおかしいだろシリーズ。
アンブロッカブル能力を持つ危険な感染クリーチャー。
イージーウィンをもたらす存在であるが故に除去の的にされる為、次ターンまで確実に守れる札が揃うまで出すのは避けたい。
《胆液爪のマイア》
実はコレこそがパウパーにおける感染最強のクリーチャーだと私は思っている。
単体でチャンプブロッカーを薙ぎ払い、無色であるが故に《虹色の断片》も《ギルドパクトの守護者》も機能させない、文字通り押し付けのアタッカーである。
自己強化能力により《怨恨》を付けた際には相手のブロックすらもこちらのメリットとなり得る。
コイツを最大限活かすための構築が今回紹介している結界式感染である。
余談ではあるが、カードタイプ欄にファイレクシアンと書かれているエラッタ版が刷られているが、Φの透かしが入っていないため私はミラディンの傷跡版を愛用している。
・土地
土地枚数は15枚。
《渇き根》4枚と合わせて実質計19枚となる。
枚数や各土地のバランスについては度重なるトライ&エラーの結果なので説明出来る部分は少ないができる限り触れておこう。
基本的に《定業》を第一メインで使いターン毎にその後の展開を考え直す為、欲を言うならば青マナ源は2枚貼りたい。
1枚差しの《島》
青のカードが14枚、サイド後にはさらに増える場合もあるが《下支え》以外の青い札は自ターンに使う事が殆どであり、青マナを構える状況は少ないため、《渇き根》で1枚探せれば十分なので1枚のみの採用となる。
《クアンドリクスの学舎》
便利なのに何故かあまり見かけない学舎ランド。
後半の消耗戦で後続を探してくれる頼もしい存在。
タップイン土地はなるべく減らしたいため、しばらくは1枚のみの採用であったが、1マナ呪文を多用する都合上《島》を2枚貼ると展開が大きく制限されるため、こちらを2枚にした。
・サイドボード
《青霊破》
説明する必要も特には無いと思うが対赤単はゲームを諦めるレベルで不利(でも個人的には楽しい)なため、カルドーサレッドが環境から消滅しない限りは4枚投入必須。
何なら《水流破》と合わせて7枚くらい枠を取りたいが、tier外デッキ故に他にも苦手なマッチアップは死ぬほどある。
《自然の要求》
置物破壊。
感染ならばライフ4点などどうでも良い。
《恭しき沈黙》も検討したが、きらきら親和の存在からこちら。
本当はもっと枠を取りたい。
《活力の魔除け》
主な役割は布告避け。
+1/+1修整トランプル付与による奇襲をする事もある。
ビーストクリーチャーはいない為、再生の対象はいない。
ブレードホークが思ったほど多く無い為3枚でも良いかも知れない。
《断絶》
フリースペルのバウンス呪文。
《軍旗の旗手》を処理する為に採用しているが他にも用途が多いためメイン採用する事もある。
・ブロッカーや相手盤面の脅威を排除しつつ巨大化系を連打できる。
・《怨恨》を貼れている場合は、ブロック確定後に使用する事でパワー分丸ごと毒を打ち込む奇襲も可能。
・自ターン中であれば除去からクリーチャーを守り、同ターン中に再展開出来る。
・相手クリーチャーを対象にする際は自ターンに使う事で、起きた土地から《定業》や《渇き根》を打ち、最高のマナ効率で手札を整える事が出来る。
主な用途を振り返ると攻めにもかなり有用なカードである事がわかる。
《死体の野犬》
ETBで墓地の感染クリーチャーを手札に戻す。
サイドインする際は大抵の場合、《ぎらつかせのエルフ》を減らす。
2枚引けると野犬ループが発生するが、4マナと重いため3枚の採用。
赤単相手には、4マナ使ってターンを渡すとそのままリーサルに持ち込まれるためサイドインしない。
気づけば《森》以外全てのカードについて解説してしまった。
そのおかげでこの記事をしっかり読んで頂ければ結界式感染の使い方は7割程度は理解出来る位の事は書けていると思う。
残り3割はいずれ書くであろうプレイング編にて。
あとがき
不採用カードについても触れようかと思ったが完全に蛇足であろう部分でこれ以上記事を引き伸ばすのも如何なものかと思う故割愛する。
気になる方はX(旧Twitter)にてDMなりリプなり頂ければふざけながら事細かに解説します。
最後に。〜何故感染を握りつ続けるのか。
時々聞かれる事なのですが、大体は適当にふざけた事を言ったり、なんかカッコいいっぽい事を語って終わらせるのですが、実際は2つの理由により感染を握り続けています。
・今より強い構築、今より強いプレイを習得出来ると信じているから。
「もうやり切った。感染にこれ以上に強い構築、強いプレイは無い。」
そう思った時にはきっと私は感染をやめるでしょう。
・飽きないから
結局の所これが重要な理由です。
一手でもミスをしたり、デッキの回りが悪ければ即負けに繋がる針の穴を通す様なプレイ体験がたまらなく楽しいのです。
胃がキリキリする様な戦いを続けた末に勝利を得た時の安堵感は何物にも代え難い物です。
どちらの理由からもきっと感染を手放すのはずっと先の話なのでしょう。
最後の最後に。〜中華料理チェンライ(仮名)松戸店
これは先日食べた中華料理チェンライ(仮名)の濃厚豚骨中華蕎麦セット。
会計時に(赤)(赤)で支払うと任意の対象に3点飛ばせる素敵なお店である。
中国人店主が流行りに便乗して出した新メニューなのだが、中国人の解釈した濃厚豚骨と考えると興味をそそる物がある。
肝心の味はと言うと、煮干し豚骨系のスープでしっかりと濃厚でコクがありつつもスッキリとした後味で非常に食べやすい。
麺は中太の平打ち麺でスープの絡みも抜群である。
余談ではあるが、新メニューとして登場してから10ヶ月は経っているベテラン新メニューである。
駄文が過ぎたのでこの辺で記事を畳もうと思う。
長々とお付き合いありがとうございました。
吉田おいなり
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?