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プロの誇りとプラットフォーム~NOL2022ファン総括その2

2022に始動したNOLの最初のシーズンが幕を閉じました。
ファンから見た最初のシーズンを振り返るnote企画の第2弾です。
前回は期せず3000文字オーバーでしたが、今回は4000文字オーバーです。

しょうみのところ、言いたいことはラスト1500文字くらいなので、そこだけ読んでください。
⇒ 独自プラットフォームを持つ事の功罪

今日のお題はリーグのオンラインプラットフォーム(以下、プラットフォーム)についてです。

野球の独立リーグは興行として考えた時には、単発の試合のみを楽しむだけではなく、一般的にはシーズンを通して楽しむものです。
大原則として試合は全てどこかの球場で行われています。
ただ、ファンは全ての試合に行けるわけではありません。滋賀で最もコアなファンの一人と言われている自分をしても、全試合の6割程度しか見れていません。

この球場で行われている試合やその結果は様々なメディアを通じて、発信され記録されていきます。
NPB(いわゆる「プロ野球」)であれば、試合の映像はTV配信(地上波・地デジ等)、ネット配信(DAZN・パリーグTV等)、試合経過・結果・記録は新聞(各種スポーツ新聞等)、テキスト配信(スポーツナビ等)を通じて発信されます。
そして、ファンは現場である球場におらずとも試合を楽しみ、試合を追体験できるわけです。
他方、その情報を入手しやすくすることで興味を持ち新規顧客に招き入れることも可能です。

さて、本題のプラットフォームとは何でしょうか。
それは各種メディアにおいて、その基盤となる具体的なサービスです。
例えば試合のネット配信におけるDAZNやパリーグTVは、それぞれがプラットフォームです。
今回はNOLを含む独立リーグにおけるプラットフォームについて振り返っていこうという試みです。

2021シーズンまでの独立リーグのプラットフォーム

独立リーグはその財政規模からかんがみても、TV配信を恒常的に行うことはできませんので、基本的に映像はネット配信という事になります。
それも各チームが配信の機材を整えてyoutubeをプラットフォームとして配信をおこなうケースが主軸になります。
ただチームによって実施状況はまちまちでした。基本的にはカメラは1つというケースがほとんどです。
BCリーグの東地区(現南地区)では、エイジェック(BCLリーグスポンサー・栃木GBメインスポンサー)が出資する応援.TVによる配信がyoutubeに合わせて行われていました。
こちらは複数カメラでの配信で、見ごたえがあり、当時の西地区民としては、指をくわえながら見ていました。

試合の経過や記録に関しては各地域地場の地方新聞に加え、一球速報.comというサイトが非常に有効に機能していました。
その名の通り、試合がテキストベースで一球ごとに速報され、結果のボックススコア化、成績の管理だけでなく、対戦相手別の成績や月間成績など試合やシーズンを振り返る意味でも機能が充実していました。
見れるデータの種類としてはNPBのスポーツナビよりも優秀なプラットフォームでした。
加えて、同じサイトで他地区や他リーグの結果を横断的に見れるのも良い点でした。
自チームだけにとどまらず、チームの調子や注目選手が分かったりもしましたしね。
一球速報による配信が始まった2019年の前と後では、ファンにとっての観戦経験は世界が違うと言っても過言ではないと思います。

NOL2022シーズンのプラットフォーム

2022シーズンに発足したNOLのプラットフォームの選択は「全てを独自に用意する」という勇気ある決断でした。
試合配信はBOSSKというアプリで行われ、テキスト配信も一球速報からは離脱し、別のものを模索したようです。

「今までにない観戦体験」を謳ったBOSSKについて、その最大の意義はNOL全球団のほぼ全試合の配信を独立リーグというカテゴリにおいて高品質で行ったことです。
複数のカメラで、スコアや選手名表示をし、リプレイもあり、実況・解説を付けての配信でした。
NOL4球団で2021に、試合配信をほぼ全試合行っていたのは滋賀のみで、福井石川は不定期、富山はほとんどなかったと記憶しています。
なので、BOSSKの誕生によってNOL4球団のファンの映像配信サービスの環境は大きく改善されたと言えます。

ただ、BOSSKにも課題はあります。
これについてはではすべて語ると本当にキリが無くて…。
以後の文章で、必要な箇所のみをピックして紹介します。
とりあえず、プラットフォームの話に戻しましょう。

一球速報のようなテキスト速報のプラットフォームはありませんでした。
どだい一球速報は先述の通りかなり高度化されたプラットフォームです。
ゆえに独自のプラットフォームを用意する事は、かなり難しいのです。
結果的にNOLはテキスト速報の無いシーズンを送ることになりました。

NOLのプラットフォームに対するファンの評価

こうした状況に多くのファンはストレスを抱きました。
どうして一球速報を引き続き採用しなかったのか、その経緯については定かではありませんが、前回のnoteを確認してもらえると、少し分かるかもしれません。

BOSSKで配信サービスが提供された、本来であればファンの満足が得られるはずでした。
が、その評価があまり高くないのは、一球速報の不在があったと思います。
例えば、試合を途中からBOSSKで見ることになって、見た時点で6回裏に5-2で滋賀が福井に勝っています。
ならそのスコアの経緯を知りたくなるのがファンの性なのです。
試合後についても、SNSや公式サイトでは、結果に加えて少しの情報がある程度ですね。
長谷川が本塁打を打った、吉村が6回1失点だった。
これでは満足はできないです。
小原は最近ヒットは出ていないけど今日はどうだったのか、失点してしまったリリーフは一体だれなのか、そこまで気になってしまうのです。

今年のプラットフォームを巡るファンの反応を鑑みるに、もはや独立リーグファンにとっては試合配信サービスとテキスト配信サービスはシーズンを楽しむうえでの両輪であり、片手落ちではいけないという事が分かります。

独自プラットフォームを持つ事の功罪

助走に2500文字を費やし、ようやく話したい内容に入ることができます。
本当に話を作るのが下手くそです(苦笑)

2022年のNOLはこの独自のBOSSKというプラットフォームを作る事にこだわったのだろうな、と思います。
前回のnoteで取り上げた黒田さんの発言からも、そうした意図は組みとれます。
これがプロとしての矜持であれば、ファンの溜飲を下げるようなプラットフォームにしていただきたいと思います。

スマホが一般に普及し情報化・オンライン化が個人レベルまで広がった2010年代は、まさに様々なサービスでいかにして支配的なオンラインプラットフォームを作るかという時代でした。
GAFAなんかはそれの代表例であるわけです。
それが成功した会社は独占または寡占によって大きく利益を上げる、そうしたサービス市場の構造があったと思います。
逆に既に支配的なプラットフォームのあるところに新規参入し、市場シェアを高めるのは非常に難しく、そこで成功するためには何かしら新しい価値を追加しないといけないわけです。

じゃあBOSSKが既存のプラットフォームに太刀打ちできないのかというとそういう事では無いと思います。
現在のyoutube+一球速報の形式だと、試合を楽しむうえで二つのサービスを利用しないといけません。
パソコンで見ているなら確かに画面の半分を映像に、もう半分をブラウザで一球速報、という見方もできるかもしれません。
ただスマホだと、youtubepremiumに加入しピクチャインピクチャ機能を使わないと、そうしたことはできません。
なので、BOSSKのように画面上部が試合配信、画面下部が試合情報という形式は実は革新なのです。
ただ、そこに表示可能な情報がスコアボードと出場選手名という限られたものだったので、その強みを生かし切れていないと感じました。

BOSSKが一皮むけるためには

先にも挙げたようにBOSSKは「今までにないような観戦体験」を提供するポテンシャルは持ち合わせていると思います。
ただ、そのためにはどうすればいいか、という事に関してはいくつかの方法があるなと思いました。

1.BOSSKの試合情報を充実させる
配信画面の下部です。
選手名より下にボックススコアを表示する。
ここの選手名をタップすると、今日の打席結果やこれまでの成績が出るようにする。
これだけでも相当良くなるはずです。

2.過去の試合の情報を確認できるようにする
試合結果一覧を作って、ボックススコアを過去にさかのぼって見れるようにする。
また過去の試合のページも、同点打や逆転打、はたまた試合を決定づけるターニングポイントにタイムスタンプを置き、振り返れるようにする(こういうのは有料会員限定でいいかも)

3.ウェブ版を作る
世の中はスマホ時代ではありますが、ウェブサイトでの横展開も難しくないと思います。
そうすれば仕事ty…いや、スマホが見れないけどPCは見れるよ、という時間でも確認ができます。
今、PCで見るためには仮想androidをPCに搭載してそこでBOSSKを動かさないといけないので…。

4.コメント機能を作る
情報が少ないリーグゆえ、実況解説の方よりファンの方が情報を持っている情報を吸い上げるべくコメント機能があるといいなと思いました。

5.youtubeも活用する
理想を言うのであれば、配信はyoutubeでも行う方がいいと思います。
あくまで周知を広めるためですね。
BOSSKとyoutube、ダブルの配信は技術的に難しいものではないでしょう(ただし電波の弱い会場だと回線の問題はあります)。

6.広告を付ける
今現在のBOSSKでは試合は広告なしで見れます。
これは良い点です。
ただ、プレミアム会員の会費だけで回るほどの状況では無いと思います。
タダで見るためには15秒以上の広告を見る習慣は既に根付いています。
15秒の広告じゃなくてもいいと思います。
5秒だけでもそれが運営の足しになればいいのではないでしょうか?
(もちろんプレミアム会員は広告無しで)

7.その他些末な意見
・低画質モード(出先でスマホで1試合見たら4GBとか…)
・シークバーの改善(反応がにぶい)

こんなところでしょうか。

最後は結局要望を突き付けるような感じになってしまいました。
ぜひともBOSSKは22シーズンの課題をバネにより良いものに進化してもらいたいと思います。

加えて、もっと言いたい事もでてきましたが、横道にそれそうなので、また次のnoteにでも書いていこうかなと思いました。

それでは。

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