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「スクランブルスタジアム渋谷」構想をめぐる誤解と懸念【1】【現状確認編】


2018年9月13日に構想が発表された『SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA』は東京渋谷区代々木公園B地区と呼ばれるNHK横にある現在は主にイベント開催のエリアとサッカーコート、陸上競技トラックが併設された場所。

面積が15.11k㎡と23区で15番目の渋谷区としては代々木公園/明治神宮エリアは「ここしかない」という場所だ。

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この構想は渋谷区長長谷部健氏が肝いりで設置した『一般社団法人 渋谷未来デザイン』によるもの。出自が博報堂である長谷部氏らしいアクションだが、この構想を受け在京Jクラブは色めきだった。

まずFC東京。元は江東区であるが、現在『都下』のイメージで堀江貴文氏が語っているように23区クラブ感が薄い。また現在のホームスタジアムである「味の素スタジアム」は収容人数49970人を誇る。しかしキャパこそ大きいものの、東京ヴェルディと共用で、さらに陸上競技大会での使用もあり、サッカーのスケジュールが自由ではないため、専用のホームスタジアムが以前から望まれている。何より経営権を持つ株式会社ミクシィも本社が渋谷区であってその視線は熱い。

J2カテゴリの東京ヴェルディもFC東京と同じ味スタが共用のホームでだが、やはり使用自由度には不満を抱いている。加えて現在の経営母体であるゼビオホールディングスは奇しくも2018年9月22日に旗艦店『スーパースポーツゼビオ渋谷公園通り店』をオープン。現在も胸スポンサーの「NICIGAS」も渋谷区本社の企業。何気に「渋谷色」を帯びてきているので「準備万端」といった雰囲気がある。

同じJ2の町田ゼルビアも親会社サイバーエージェントはやはり渋谷区。さしあたり現在の町田GIONスタジアムは改修され継続使用の方向性だが、これはあくまで『J1クラブライセンス(1万5千人以上が入場可能なスタジアムが条件)』クリアのための喫緊対応であり、将来的に専用スタジアムは当然望むところだろう。また、一昨年のサポーターミーティングで発表されたチーム名候補の『FC町田トウキョウ』は今後広域化の方向性を示したもので、一度は撤回したものの、クラブを引き受けたのも広域化を視野に入れた展開だったと推されるため、強い興味はあるだろうと想像に難くない。

この構想、実際にイベントでヴェルディFC東京の関係者を招いてトークイベントもあり、絵面的には具体的に話が進んでいるように感じられなくもない。

——しかしこの構想は多くの誤解を生み出した。構想では2027年開業予定とされたが、実は現状、具体的には何も決定事項がなく土地に関してネゴも一切行われていない。Jクラブからすると「名乗りをあげろ」とばかりに色めきだってはいるが、この構想はそもそも「街中にスタジアムがあったらどんなに魅力的か」を問うもので、ほぼ制限事項を設けないでプランニングされた未来の渋谷区構想群の一環でしかない。

今年の3月、サッカージャーナリスト六川亨氏が現状の確認として以下の記事を出した。

ここでは予定地にある「織田記念陸上競技場」の存在が最大のネックであろうと締めくくっている。私も渋谷区民で、候補地は割と至近でもあり予定地のイメージは確か真横に住宅街がある記憶があり、果たしてどうなのだろうと考え、早速現地に足を運ぶことにした。

→続くhttps://note.com/ohmichi_yukio/n/n208e7a86e237

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