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四国歩き遍路の記憶#006 4日目 2006.2.26 遍路ころがし to 焼山寺

こんにちは。こんばんわ。
四国遍路の整理に挑戦中 とっつーです。

手書き日記のデータ化も同時に進めると、
1日1記事という目標は無謀だった (;´д`)トホホ…


2006/2/26(日)の概要

 天気:雨→曇   16.2℃/8.6℃
 札所:12.焼山寺
 移動:徒歩16.5km
 宿泊:個人宅
 起床:5:30  就寝:23:00頃
 支出:420円
遍路ころがしと呼ばれる山登りに挑みます。
7:00~17:00 歩き遍路
体が冷え切り、途方に暮れた時、救世主が現れたのでした。

図1. 移動の記録 2006/2/26(へんろ道全体)*1
図2. 移動の記録 2006/2/26(部分拡大)*1

遍路ころがし

徒歩の場合、伝統的なルートのへんろみちがあります。ほとんどは舗装されているのですが、山を中心に昔のままのところも残されています。徒歩なら、大きく蛇行する車道よりも、ほぼ一直線の登山道の方が楽なことが多いです。

そんな登山道の中でも、特に難所なところが遍路ころがしと呼ばれています。お遍路さんが転げ落ちるくらいの急勾配という意味です。
12.焼山寺/20.鶴林寺/21.太龍寺/60.横峰寺/66.雲辺寺/81.白峯寺の周辺が遍路ころがしと呼ばれることが多く、特に 12.焼山寺/21.太龍寺/66.雲辺寺の3ヶ所が有名です。今日はこの焼山寺の遍路ころがしを登ります。
朝から雨だけど……(-_-;)

雨具があるのに ずぶ濡れ

朝からザーザー降り。45L ゴミ袋でのザックカバー作りに手こずり、鴨の湯を出たのは7時頃。登山開始は8時頃になりました。
レインウェアを着ているものの、扱い慣れない金剛杖を握る袖から水が入り……靴にも浸水したら靴下→ジーパンと水が伝っていき……そのうちに四肢が濡れすぎて……どーでも良くなりました。
最初にある休憩ポイント・長戸庵では大きな水溜りを避けようとしましたが、その後は水溜りもジャブジャブ進みます。

時間感覚の消失

歩き出して4日目。まだ荷物の重さに慣れていないようで、急勾配のところでは3歩進むだけで休みたい!と体が叫びます。登って下って集落に出て…登って下って集落に出て…を繰り返すのですが、下りになるたびに(せっかく登ったのに…またこの分を登るのか…)と悲しくなります。
それなのに、雨に閉ざされた杉林の中にいるとこの空間に永遠にいたい…とも思うのだから不思議です。

人どころか動物の気配もなく、モヤの中に浮かび上がる杉のシルエット。
進んでも進んでも周りの景色が変わらない。曇り空のせいで、何時間 経っても明るさも変わらない。体はキツイはずなのに、どこかそれを遠くに感じていて、目を瞑ると自分が寝ているのか起きているのかもわからなくなる……不思議な感覚に包まれました。

札所を打つ

図3. 2006/2/26 に歩いた「へんろみち」 *2

< 12番 摩廬山 焼山寺 >
雨があがり始めた16時、ようやく到着します。前夜、遅くなっても焼山寺で待っていると言っていたアライさんはいませんでした(笑)
山門近くに荷物を置いてお参りしたのですが、体が軽すぎてうまく階段を登れないという面白い経験もしました。

体が軽過ぎると階段を登る時に転びそうになるの〜

お参りをしている間に、体が冷え始めます。早く寝床を決めて着替えたい…

納経所のおじさんに泊まれるところがあるか聞く。通夜堂がないかと期待したが、山の上は寒いから少しでも下山したほうが良いとのアドバイス。奥の院まで行くのはあきらめて下ることにする。

2006/2/26 日記より

救世主の登場

いくら早足で歩いても、下りは体が温まりません。気温は下がり始めています。濡れたジーパンとシャツが、手足に貼り付いて急速に体温を奪っていきます。泊まれるらしい小屋まで、迷わずに行けても恐らく1時間はかかります。

本当に山は綿NGなんだなぁ…やっちまったなぁ…
早く着替えなきゃ。とにかく早く着替えなきゃ。
キガエナキャ キガエナキャ キガエナキャ…

焦り出した頃、道の向こうから人がやってきて…いろいろあって、そこに住むご夫婦が泊めてくださることになったのでした。
神様!! じゃなくて仏様!!

宿:すだち館の前身

お遍路さんのために宿を開こうと準備中だというお部屋に泊めてくださいました。準備中と言っても、すでに暖房も炬燵もテレビもありました。
ちなみに、その後「すだち館」として開業されました。現在は経営者が変わり「すだち庵」が営業しています。

この離れを遍路宿用に整備中

部屋に荷物を置いていたら呼ばれたので母屋に行ってみると、お風呂が沸くまでの間に夕食を出してくださった。白和え、ひじきの煮物、お稲荷さん、ホタルイカの辛子酢味噌和え、鯛大根、ビール、ご飯、梅干し、白菜の浅漬、味ノリ。どれも奥さんの手作りで美味。梅干しが昔ながらにしょっぱくておいしい。白菜はスダチがきいていてサッパリ。以前、奥さんは食堂をされていたのだという。

2006/2/26 日記より

詳細まで忘れたくないと思ったのか、この日の夕飯は全て書き出しています。疲れ過ぎたのか酸味への感想だけ書いていますが、どれも本当に美味しかったです。
お風呂で温まって、美味しいご飯も食べて、こたつでぬくぬく……
地獄に仏とは、このことか!という体験でした。

★各図の出典★
図1〜図3はネットから図を借用し作成しています。
※1: 「四国遍路」 基本情報|日本遺産ポータルサイト詳細(PDF)を加工して作成
※2: 歩き遍路のための「四国遍路」巡礼マップ | 聖地巡礼 四国遍路 | 回遊型巡礼路と独自の巡礼文化一括ダウンロード(PDF)を加工して作成

日記の原文

note記事を利用して手書き日記のデータ化もしているのですが、私的なものをフルオープンもどうかと思い、原文は有料化という鍵をかけています。

17年前は、この分量を毎日手書きでサクサク書いていたんだなぁ…

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