あいさつをKPIに設定したことで見えてきたこと

石川県にある加賀屋さんという旅館は、
36年連続でおもてなし日本一の座に輝いているそうです。

NIKKEI STILEの記事の中で、代表である小田社長が非常に興味深いことを言っていました。※森さん本記事の共有誠にありがとうございます。

「そこで、私が社長になってから導入した手法が2つあります。1つはKPI(キー・パフォーマンス・インデックス)です。『あいさつは立ち止まってする』といった部署ごとの大目標や社員一人ひとりの目標を立て、実践できたかを毎日チェックし数値化します」

あいさつをKPIにする。

ということです。

違和感をお持ちの方もいるかもしれません。
なんで基本的な生活習慣である挨拶をKPIに設定するのかと。

実は、挨拶は簡単に見えて、
当たり前にできないことがミソなんです。

考えてみると、挨拶というのは当たり前に見えて、
なかなか徹底が難しい、難易度の高い行為だと分かります。

特に相手が不特定多数の場合は、一気に難易度があがります。

旅館という場所も、お客様であっても見知らぬ方が
たくさん訪問されるところです。

ちょっとでも油断をすれば、お客様が通ったことに気づかなかったりして
挨拶できないこともあるわけです。

しかも加賀屋さんのように「立ち止まって」ともなれば、
気配り目配りと余裕が必要になってきます。

察しの言い方はもうお気づきだと思います。

そうなんです。

挨拶って不特定多数の方に完璧にやろうとすると、
一瞬たりとも気を抜けない結構緊張する行為なんです。

なぜ、私が一流旅館の事例を取り上げて、
そんなことを言うかというのが、今回の記事の主旨です。

しばらく自慢にお付き合いください笑

実は、昨年の10月に、勤務する保育園の近隣住民の方から、
「駐車場に入ってくる車が危ない」という苦情を頂きました。

それを受けて、次の日から交通量の多い朝の8:00-9:00の間、
園の駐車場で、毎日交通整理をすることにしました。

それまでは、保育園の中にいたので、8:00~9:00の間の
外がどのような状況になっていたかは、想像が及ばないことでした。

しばらく交通整理をやってみて、分かったことは以下の2点です。

①園の前はT字路で、見通しは悪く、場合によっては危険
②8:00代は出勤のピークであり、近隣住民の方が、多数通る。

保護者と近隣の皆様の安全を最優先にするとともに、
せっかくの機会なので、園の前を通る地域の方(車も含む)全員に挨拶をすることを決めました。

T字路ですので、後から自転車、左から車と自転車、右から歩行者
なんてシチュエーションはざらにあり、全員に挨拶をすることは、
難しい場面もあります。

なので、昨日は挨拶できた人に、
今日はできなかったみたいなことが頻発します。

中には、挨拶をしても無視される人もいますし、
ちょっぴり心折れることもあります。

こっちが勝手にやっているだけなので、
当たり前ですよね。

なにせ、短髪色黒で、つり目小太りの男がエプロンをして、
赤い棒を持って立っているんです・・・

まあ普通なら関わり合いたくないと思います。

それでも昨年2018年の10月から約8ヶ月続けてみると、
意外なことが分かってきました。

・近隣の方々と顔見知りになれた。
・通行人の8割がほぼ顔見知りの状態になった。
・通行人の中には、園で働く先生の知り合いもおり、先生づてにお褒めの言葉を頂けるようになった。「あの交通整理のお兄さん」感じ良いねと笑
・挨拶をしていた方のお子様が2019年度に入園してきた。
・地域の児童館で遊んでいると、「長田ちびっこの先生ですよね?」と声を掛けてもらえるようになった。
・近隣の専門学校に、災害時の支援を依頼に行ったところ、事務長が朝、
私を見かけたことがあり、職員全員の前で話をさせてくれたこと。

私たちのように、「一法人一施設」をコンセプトにしている保育園で
何よりも大切にしないといけないのは、在園する皆様に満足いただくことと
地域の皆様に信頼され、愛されることの二つだと考えます。

元々私たちの保育園は、手前味噌ですが、ご利用いただいた方の満足度は
非常に高く、認知度をいかに上げるかが当面の課題となっておりました。

ホームページを創設し、SEO対策などにも注力しておりますが、
「地域の方々に愛される」を目標にする場合、まず実現しないといけないのは、「あそこの保育園は感じがいい」という事だと思います。

そういう意味では、毎朝コミュニケーションを取り、少しでも保育園に目を向けてもらい、知ってもらうことは、長い目で見て大きなプラスになるのではないかと思っています。

あいさつをKPIにするというのは、一見味気ない感じもしますが、
緊張感を持ち続け、取り組みを風化させない上で、非常に有効な手段だと感じています。

本当は、内緒にしておこうと思っていたのですが笑
加賀屋の小田社長自ら「挨拶のKPI」についておっしゃっていたので、
そんなケツの穴の小さいことは言ってられない!というのと、
ちょっと自慢に付き合ってほしくて、文章にしたためてみました。

最後に。

押しの営業が好まれないB to Cの事業、特に地域の信頼が不可欠な事業において、この挨拶という行為は、最小コストにして最大パフォーマンスを上げる可能性を秘めたアクションの1つと断言します。


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