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002『君は放課後インソムニア』、ネタバレの辛い寸評

 昨日一気に後半の8巻から最終巻の14巻まで買って読み、ネタバレ感想を散見。私の評価は若干変わり、傑作になり損ねた野心作。いちいちリンク先を記しませんが評価が分かれるのは、作品のカラーを作者のオジロマコトが(多分)連載前に思い描いたものにしたかったため、結論とそれに至る過程に無理があると思われてしまったこと。恐らくオジロマコト、当初の予定では曲伊咲を殺すつもりだった。そして両想いで恋人にもなった相手の中見丸太はその思いを青春の思い出にして大人になる、そう漠然と想定してたと想像できる。しかし難病ものとしては伊咲ちゃんは元気すぎる女の子として登場。
 私は、水泳に打ち込んだり、丸太くんを引っ張って駆け回る姿を、自分がどこまでできるか、「やれるところまでやってやれ!」という伊咲ちゃんの決意と理解。つまり伊咲ちゃんが心配する心臓の問題は本人が心配するほど深刻な段階は脱し、問題は伊咲ちゃん自身の心配症だけだと思ったのです。告白された暫く後での不調も気が抜けた安心感からと思って。そしたら特に手術入院が決まってから難病ものに切り替わってしまい、天文部や天文台、カメラのことが置き去りに。またサブキャラの恋模様がなかったのもこのマンガの魅力だったのに、結局描いてしまってマンガのテーマがぼやけた形。
 多分オジロマコトとしては手術成功から伊咲ちゃんの夢として描いたつもりなのでしょうが、どうして悲劇の結論としての死を直接描かなかったのか。恐らくファン、担当編集、そして誰よりも作中人物のはずの伊咲ちゃんが「私を殺したら許さねえぞ」と脅迫を。だから一見ハッピーエンドに見えるように描いたけど、よくよく読めば死んだと解釈できる漫画表現にしたんでしょうね。最後の場面、丸太くんが会ってるのはロボットかも知れないし。しかし私は「それはないでしょ」。あんまりな結論とともにナンセンスという意味。
 新年初日の能登の震災もあり、大幅な変更で希望ある物語としての二期をオジロマコトが許可しなければ、『君は放課後インソムニア』は昨年放送された13話で完結すべき。実際、見事な終わり方だから。

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