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世の中の社会課題を“ビジネス”で解決する企業。その絶対的な存在を目指すPRチームの挑戦とは?

マーケティングの概念が、変わろうとしています。

これまでのマーケティングは「市場に対応する競争戦略」でした。既存の枠組みのなかで、経営資源を効率よく分配し、同じ分野でビジネス展開するプレイヤーとの奪い合いを制することが求められてきました。

しかし、テクノロジーの進化により生活習慣が日々アップデートされていく現在において、「変化に対応する戦略」が強く求められています。自分たちの存在価値を軸にしながら、新しい枠組みにフィットしていくことが重要となるからです。

そんな時代、PR(Public Relations)に求められるものは、その企業が社会に存在する理由を磨きあげ、その存在価値を社会に発信していくことではないでしょうか?

これまで有機野菜をはじめとする食品宅配市場という枠組みの中にいた「オイシックス」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」が、ひとつになったOisix ra daichi。

そのOisix ra daichiが社会に対して提供する価値について、Oisix ra daichiでPRを管轄する統合マーケティング本部長の井上政人さんは、こう答えます。

「世の中にある社会課題を、ビジネスのアプローチで、どう解決するのかを提示することが僕らの価値だと思っています。社会課題を解決する企業といえば、Oisix ra daichiだと思っていただきたいです」

Oisix ra daichiとなったことにより、個々に会社が存在していた時と比べ、PRを担当する者としての責任感や目線の高さが変わったとチームメンバーは口を揃えています。

PRチームは、Oisix ra daichiを、社会にどのように示していきたいのか?

井上さん。統合マーケティング本部・広報室の西田尚子さん横溝万保美さん。Oisix ra daichiのPRチームの3人に話を聞きました。 

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それぞれの会社で広報をしていた3人。

ーー はじめに、皆さんについてお話を聞ければと思っています。西田さんは大地を守る会の出身ですよね?

西田さん:はい。大地を守る会で広報をやっていました。それまでは広告代理店やPR会社でPRの経験を積み重ねてきました。これまで培ってきた自分のスキルを、価値を感じる会社の社員の立場で活かしてみたいと思い、2016年に大地を守る会に入社しました。

西田さん:大地を守る会の第一次産業を守りたいという企業理念や活動を知り、純粋に良い会社だと思ったんですよね。同時に、40年もいい事業を続けている会社なのに、一般的な認知が低くてもったいないとも感じました。ここで、自分の広報スキルを活かしてみたいと思ったんです。

ーー 横溝さんは、らでぃっしゅぼーやで広報をされていたんですよね?

横溝さん:そうです。私が入社した2012年には、らでぃっしゅぼーやに広報担当というポジションはあったのですが、広報という部門はなかったんですよ。前職で10年ほど広報をしていたので、その経験もあり、広報を担当をすることになりました。

ーー 広報への意識が会社として低かったんですかね?

横溝さん:今思うとそうかもしれません。らでぃっしゅぼーやが企業として成長していた頃は世の中で環境問題や食の安全について盛んに取り上げられた時期と重なり、自らPRに動かなくても企業を取り上げてもらうことが多かったと聞いたことがあります。

その経緯もあり、すごく良い商品もあって、社会貢献活動も盛んに行なっているのに、広報活動ががうまく機能していなかったんですよね。そこで、会社に広報の重要性を訴えかけたりして、広報課を作ってもらい、最終的には3人体制で広報業務をしていました。

ーー 横溝さんが、らでぃっしゅぼーやに入社したのはなぜなんですか?

横溝さん:もともと、らでぃっしゅぼーやの会員だったんです。結婚して間もない頃の買い物がとても大変で、商品の持ち運びや、お店にいく時間を考えると、食材の宅配サービスを始めたいと思って。食材と一緒に届く会報誌を読んで、会社の雰囲気が想像できたので、転職するタイミングで、ここが良さそうだと思いました。

ーー 井上さんは、オイシックスに入社したのが4年前と聞いています。

井上さん:そうです。それまではインテリアのECショップを運営している会社で働いていました。そこで一定の成果を出すことができたんですが、よりECを学ぶために、新しいチャレンジがしたいと思い、オイシックスに転職しました。

ーー 入社した決め手は何なんですか?

井上さん:オイシックスがECのサブスクリプションビジネスですごく成長をしていたので、それを学びたいというのが大前提にあります。それと、最終面接で代表の高島と会い、「現状では有機野菜って世の中ではまだまだニッチなものだけど、本当に良いものだから、マスな存在にしていきたい」という話にすごく魅力を感じたんです。

ーー オイシックスでは、これまでどんなことを?

井上さん:最初は、ECのプロモーションチームで新しいお客様に入会いただくことをミッションに仕事をしていました。ただ、オイシックスに興味関心のある方との接点を増やす必要性を感じたため、新しい方法を模索し始めました。そこでたどり着いたのがPRです。異動願いをだし、PRやソーシャルメディアマーケティングを行う現在の統合マーケティング部に配属になり、今に至ります。

PRチームが感じる現状の課題とは?

ーー それぞれ別の会社で広報をしていた皆さんが、一緒のチームになり、約半年が経ちました。Oisix ra daichiのPRチームとして、現状の課題を教えてください。

井上さん:まずは「オイシックス」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」のそれぞれのカラーがわかりづらいという声をメディアの方やお客様から聞くことが多く、ここをしっかりと発信しないといけないと感じています。

横溝さん:経営統合直後に記者の人と話していても、「そもそも、3ブランドは何が違うのか?」という質問を結構受けました。社内の人は、同業者ということもあって、違いに敏感ですが、外の人にとっては微々たる差なんだと痛感しました。

ーー 社内において、3ブランドの違いはどのように認識されているんですか?

西田さん:実は、社内でもまだ明確にはなっていないところもあります。自分が所属していた会社のブランドはしっかりと説明できるけど、それ以外のブランドのことを自信を持って説明できる人はまだ多くないというのが正直な現状です。

西田さん:でも、お客様の層には明らかに違いは出ているんです

例えば、オイシックスのお客様はお忙しい日々の中で、時間をやりくりしながら、「どうやったら家族に良い食事を作ってあげられるか」を考えている。らでぃっしゅぼーやのお客様は料理に手間をかけられる方が多く、ご自分の知識を高めていきたいという意欲がとても高い。大地を守る会のお客様は食を起点に御自分やご家族の健康に向き合われている方が多いです。

みなさん、「食の安心・安全」が根底にありながらも、その背景にあるものは異なっています。

ーー なるほど。

西田さん:こうやってお客様のことをお話するだけでも、ブランドごとの違いは明確にあるんですよね。経営統合を経て、お互いを競争相手として見る必要がなくなったので、あとは、それぞれのブランドの特徴をどう磨いて、どう発信していくかですね。

井上さん:それと、会社全体の課題として、食品宅配サービスの市場を広げていくという大きな課題もあります。以前と比べると有機野菜や無添加加工食品の食品宅配市場が大きくなってきたとはいえ、まだまだ小さな市場です。3ブランド合わせても、現在約30万人くらいの会員数。楽天市場やAmazonなどと比べると、桁がまだまだ小さいです。

食のECを牽引する存在として、食品宅配サービスの認知や価値を世の中に伝えていくことも、PRチームとして強く求められていると感じています。ビジネスのために市場を大きくしていきたいと言うよりも、より豊かな食卓をひとつでも多く実現したいんですよね。その結果、市場も大きくなれば良いと考えています。

Oisix ra daichiになることで、意識も体質も変わった。

ーー 次に、経営統合したことで、個々に会社が存在していた時と比べて、変化を感じることはありますか?

西田さん:まずは、メディアに対する責任感が増したと感じてます。

ーー メディアへの責任感ですか?

西田さん:はい。もちろん大地を守る会で広報をしていた時も強い責任感を持っていました。ただ、Oisix ra daichiとなり、食品宅配サービスを運営する企業の中でも、多くの会員さんを抱える企業となったことで、周りからの見られ方が明らかに変わってきているように感じます。

ーー 3社がひとつになったことで、食品宅配サービスの代表格として見られるようになったということでしょうか?

西田さん:そうなんです。「今の青果の市場はこうなっています」とメディアの方に伝えるにしても、その業界の代表として受け取られるので、言葉に重みがでてきます。怖くもありますが、やりがいも感じます。

ーー 横溝さんは、いかがですか?

横溝さん:私が特に感じるのは、圧倒的なスピード感の変化です。らでぃっしゅぼーやの時と比べて、意思決定のスピードが6倍くらい早くなった感覚があります(笑)。以前は役員会を通さないと物事が進められないことが多かったんです。でも、今はスピード感を持って、動くことができていると感じています。

ただ同時に、目的や効果もしっかり考えて動かないといけないし、幾つも色んな企画を同時並行して走らせているので、大変さを感じることもあります。

ーー ロジカルシンキングと高速でPDCAを回すオイシックス式の影響が直撃しているわけですね。

横溝さん:実は、らでぃっしゅぼーやでは、経営統合が決まった後に、自分たちの体質を改善して、もっと業務のスピード感を高めようということで、「超速筋肉賞」というものが生まれました。これは、少ないコストで素早く動いて成果を出した人を毎週表彰するもので、全員に高速でPDCAを回す意識が浸透していきました。

ーー 自主トレをされた状態で、統合を迎えたんですね。

横溝さん:そうなんです。現状、多くの施策を同時並行で行なっているんですが、こういう準備をしてきた効果もあって、ついていけているように思えます。

別々のカルチャーがひとつになれた理由。

ーー 話を聞いていると、違うカルチャーを持つ別々の会社にいたもの同士が、現在ひとつのチームになれているように感じます。経営統合してからの短期間で、そういう一体感が生まれた要因は何なんでしょうか?

井上さん:色々な要因はあると思うんですが、「オイシックス」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の3社で働いている人が、そもそも良い人が多かったというのが要因として大きいんじゃないかと思います。

ーー どういうことでしょうか?

井上さん:先ほど、この3ブランドの違いが現状わかりづらいと話をしましたが、それは企業理念が近しい会社だったからなんですよね。3社とも、これからの食のこと、生産者のこと、環境のことを考えていた会社です。

そこに共感して入社してきた人たちだから、人を騙して何かをするような発想が基本ない。性格がすごく良い人たちが多いので、コミュニケーションがしやすいというのがベースにあると思うんですよね。

ーー もともと、3社とも社員の愛社精神がすごいですもんね。

西田さん:そうですね。特に私は外から転職してきたので、びっくりしました。

横溝さん:こんなに全員が企業理念をきちんと話せるなんてすごいと、外部の方からもよく言わます。

西田さんあとは、各ブランド同士がリスペクトできているのが、とても良いですね。「お互いの、ここがすごいね!」ということを、お世辞ではなくナチュラルに言い合えている。それもあって上手くいっているのかなと思います。

井上さん:世の中で難しいと言われている生鮮食品での宅配サービスをやってきたからこそ、お互いをリスペクトし合えるのかもしれません。

やっぱり、生鮮食品のECって、すごく難しいんですよ。販売している商品が野菜や果物ですから。天候などにも左右されます。そのなか、しぶとくやり続けて、世界でも珍しい業態を事業として成功させていたのがこの3社なんだと思います。そこがひとつになって、生鮮食品のサブスクリプションサービスという難しいビジネスで一緒に世界の常識を変えていくことを目指している。

こういったお互いへのリスペクトや、そもそものメンバーの人の良さとかが掛け合わさって、統合が良い方向に進んでいるんじゃないかと感じています。

社会課題をビジネスの手法で解決する会社といえば?

ーー 最後に、PRチームとして、Oisix ra daichiを社会の中でどんな存在にしていきたいですか?

井上さん:僕らは、世の中にある社会課題をビジネスの手法で解決する会社といえば、Oisix ra daichiと思われるようにしていきたいです。

ーー 社会課題とは、具体的にいうと?

井上さん:今、Oisix ra daichiで取り組んでいるのは、畑と食卓の課題です。

畑というのは、農業・漁業・畜産業といった第一次産業のことで、未来にどうやって、環境や産業を持続可能な形で繋げていくのかというのは常に考えています。一方、食卓というのは、お客様の食卓にある課題です。例えば、共働きやワーキングマザーが増えていたり、健康に不安を感じる人が健康と食について考えるようになると実現したい食卓と現実に差が生まれますよね。私達は畑と食卓、両方の課題を解決していきたいです。

ーー こういう社会課題を、事業として継続ができる形にしながら解決していきたいということですね。

西田さん:そうなんです。NPOでも、NGOでもなく、株式会社というスタイルでやるところが、Oisix ra daichiの面白いところだと思います。いかに継続可能な形にできるかが重要だと思うので。

井上さん:現在、SDGsという言葉によって、環境問題について改めて注目が高まってますが、サステナビリティを意識している商品やサービスをOisix ra daichiは沢山持っています。また、お客様の課題解決に特化したサービスにも数多く取り組んできました。

これから様々な社会変化が起こっていくと思いますが、その時々で発生する課題に対して、Oisix ra daichiがビジネスという手法で課題解決に取り組んでいることをPRチームとして発信していきたいです。

それを一つひとつ積み重ねることで、Oisix ra daichiのブランドは築かれていくと思いますので。

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Oisix ra daichiのPRチームの3人から、課題やこれから目指す姿について話を聞きました。

3つのブランドが競い合っている関係の状態から、「これからの食卓、これからの畑」という理念の実現を共創していくことになったOisix ra daichi。

「世の中にある社会課題をビジネスの手法で解決する会社」としての影響力を高めるために、自分たちの価値をどう磨き、それをどう発信していくのか?

これからのPRチームの動きが、楽しみです。

Text & Photo:井手桂司

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現在、第二創業期のオイシックス・ラ・大地。会社の中心となるEC事業部をリードしてくれる仲間を募集してます!

2017年に大地を守る会、2018年にらでぃっしゅぼーやと統合し「オイシックス・ラ・大地」となった当社。自然派食品宅配業界のナンバーワン企業となった今、第2創業期としてさらなる成長を目指してビジネスを拡大しようとしている真っ最中です。

特に会社の中心となるEC事業部では、新規のお客様獲得や既存のお客様に向けたサービスの創出のため、やりたいことや解くべき課題が山積みの状態です。

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