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Vol.7 「食の仕事は一生の学び。支えられたお客様の言葉」

今年6月新たに社外取締役に就任した小脇美里さんは、ライフスタイリスト、ファッションエディター、ブランディングディレクターとしても活躍しています。働く女性やママたちから絶大な支持を集める小脇さんが、オイシックス・ラ・大地でそれぞれの輝きかたを見つけて働く女性のリアルな声をインタビューしていくこの企画。

第7回目は、らでぃっしゅぼーやの販売企画などを担当する松山麻理さん。家の中は、食品も生活用品もらでぃっしゅぼーやアイテムがいっぱいというほど、ブランドへの愛情も深く、「やればやるほど学びがあって、飽きない」と仕事にどんどん夢中になっている理由を話してくれました。

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オイシックス ・ラ・大地  社外取締役
小脇美里さん
ファッションエディター/ブランディングディレクター。令和初のベストマザー賞・経済部門受賞。鯖江市顧問SDGs女性活躍推進アドバイザー。ママだからこそ実現できる取り組みを発信する新スタイルライフスタイルメディア「MOTHERS編集部」を立ち上げ、編集長を務める。2歳娘と6歳息子の二児の母。

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らでぃっしゅぼーや 通販事業本部 販売企画室 ブランド進化セクション
松山麻理さん
2006年新卒でらでぃっしゅぼーやに入社し、16年目。広告宣伝課から旧神奈川センター、中部センター、販売促進課と、様々な部署を経験。新規獲得から配送クルーの育成など、お客様接点の強化、食品&エコ雑貨の販促計画などを担当。

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お客様の声が、取り組みの背中を押してくれた


小脇さん:
 最初に、現在担当されているお仕事を教えていただけますか?

松山さん:
 らでぃっしゅぼーやブランドの販売企画室に所属しています。カタログの販売企画や、「おはなしSalad」という会員情報誌を制作し、商品の背景にあるストーリーをお客様に伝えています。また、2021年4月からスタートした、規格外品を中心に販売することでフードロス削減に取り組む「ふぞろいRadish」を企画、展開しています。

小脇さん:
 「ふぞろいRadish」は売れ行きもとても好調だと聞いています。

松山さん:
 私は立ち上げのコンセプト作りから関わってきましたが、環境やサステナビリティを大事にしているらでぃっしゅぼーやの理念と、フードロス削減や生産者支援をいかに繋げていくかがポイントでした。気候変動の深刻さは誰もが知るところですが、農業や水産業といった一次産業は、ダイレクトにその影響を受けます。台風で落下したりんごや大雨で浸水した畑など、生産者さんの力だけではどうしようもない事態が近年頻繁に起きるようになってきました。
 そんな時にらでぃっしゅぼーやで緊急支援を呼びかけ、「台風りんご」や被害にあった野菜を加工することでレスキューする「台風餃子」などを販売したところ、お客様からも「こうした支援をどんどんやってほしい」という声が届きました。お客さまももっと積極的に支援に関わりたい思いを持っているのだ、と背中を押していただきました。
 さらにコロナ禍で自炊の機会が増えることで、家でどれだけゴミが出るのかという実感値が高まり、SDGsへの関心が高まりました。そうした社会的な流れと重なった時に、会社としてもグリーンシフトを推進できるのではないかと思いました。
 フードロスを切り口としながらも、印象的な言葉で、みんなが想像しやすいということで、「ふぞろいRadish」というプロジェクト名に決まりしました。

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規格外品との出会いを通じて、個性あふれる“命”を楽しむ

小脇さん:
 すべてが規格に当てはまるようなものでなくてもいい。規格外でもいいものはちゃんと目を向けて、世に出してあげるというのがいいですよね。なんだか人間にも同じことが言えますよね。その思いがとても共感できます。

松山さん:
 私は出産を通じて、自分の意志では変えられない、変えるものでもない「他者」について、より意識するようになりました。人も自然も、生まれ持ったありのままの命の形を楽しんで、その魅力を感知することができるのではないかと思うようになりました。
例えば、この「ふぞろいパール」という規格外のパールですが、産地に取材に行った時に、ガサッとざるに入って置かれていたものをたまたま見つけて、その印象的な形と輝きに心を奪われ、販売できないかその場で生産者さんに相談したんです。

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 品質にこだわりのある生産者さんこそ「こんなのは外に出せない」という思いを持っていますが、真珠を育てる親としては「いびつでもわが子のようにかわいい」という想いも同時にあるんですよね。そういうところも一歩踏み込んで話すことで、本音を引き出したり、可能性を生み出すことができました。
 作る側と流通させる側が規格にとらわれないことで、新しいものが生まれましたね。

小脇さん:
 それこそ母として、命を育てている方こその発想ですよね。大切に育てた我が子であれば、そのままの魅力を大切に育てていきたいと言う気持ちは、まさにモノでも同じですよね。母としてどんな規格外でも愛情を感じるという発想から生まれた商品だったのですね。

松山さん:
 はい。サイズや見た目などは、もっと規格を取っ払っていいかなと思っています。しかし、何でもいいわけでもなく、品質や環境面での基準を守ったり、おいしさにつながる鮮度を保ったり、などという要は、しっかり担保していくことだと思っています。

小脇さん:
 まさに持続可能=サステナブルな考えですね。台風が起きたから大変です、支援をしましょうとチャリティーでお金集めることももちろん大切だとは思いますが、やはりそれって続けることが難しいですよね。続けていくこと=サステナブルであるにはやはり「美味しいから続く」という継続性と、フードロスへの課題解決ができているという点が素晴らしいですね。

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1日50件以上の配送でお客様の生活空間を体感する

小脇さん:
 キャリアにお話を戻すと、2006年に新卒で入社し、これまでに育休も2回取られたと伺いました。

松山さん:
 小2(7歳)と3歳の子どもがいます。すでに入社して15年くらい経つのですが、入社してかららブランドへの愛が減ったことがありません。
新卒で配属されたのは、コーポレート・コミュニケーション部でした。入社したばかりの人が行くのは珍しかったようですが、新規向けのPRを担当し、ブランド全体を知るよい機会になりました。その後、物流ステーションに異動。らでぃっしゅぼーやは、専属の配送クルーがいるのですが、そのクルーの方々へのお客様とのコミュニケーションを円滑にするための指導をする担当になりました。お客様に近い部署で、クレームがあれば車に乗って駆けつけるような現場の最前線ですね。神奈川と愛知の拠点、2カ所を経験しました。

小脇さん:
地方勤務も経験されたのですね。

松山さん:
当時は独身だったので地方転勤はしやすく、苦労しましたが勉強になりました。
私が若い頃は、「配送同乗」という、配送トラックの助手席に乗せてもらって、クルーの方と一緒にお客様のお宅を1日に50件くらい回る研修がありました。当時の新入社員は全員体験するのですが、愛知の物流センターに異動してからは、所属するクルーさん全員に同乗する!という目標を作り、1日50件を何回も繰り返しました。

小脇さん:
1日に50件回るのって、体力的にも精神的にも とてもハードですよね。

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松山さん:
はい、体力的にはかなり厳しいです。しかも、拠点に戻ってからは、お客様からのクレーム対応や様々な事務作業があり、心身共にヘトヘトでした。でも今思うと、玄関先というプライベートな空間で多くのお客様とお話させていただいた経験は、その後お客様を想像して動く時の重要な基礎になっていると感じます。キャリアの中で一番しんどい時期でもあり、しかし外せない時期でもあった、そんな感じですね。
そして、この時の上司が積極的に産地研修にも行かせてくれたので、そこで生産者さんとの交流を持ち、この人たちのために頑張りたい!とハートに火をつけられたのも、大切なできごとでした。
そしてどんなに辛い時期も、帰宅して個の時間に戻った時、「あ〜今日もお味噌汁おいしい〜」と自社の食材で作ったご飯に癒されてしまうので、辞められないんです(笑)


お客様からの言葉が働き続ける励みになった

小脇さん:
食が生活と密接に関わっていることを、実感されたのですね。

松山さん:
はい、それはお客様からも教えていただいていることで。
新卒時の配送同乗で、お客様から「食は一生勉強できるから、あなた本当にいい会社に入ったわね」と声をかけていただいたんです。その方はらでぃっしゅぼーやのある生活を心から楽しんでくださっていて「何年経っても、学びがあるのよ」とおっしゃっていました。
そんな奥深い世界が待っていることは、当時はまだ分かっていなかったのですが、今は毎年その言葉を実感しています。掘り下げれば掘り下げるほど面白くなり、飽きることがない、それが食の世界なんだと感じています。
また、そんな風に社員に優しく声をかけ、励ましてくださるお客様がいることも、本当に励みになっています。

病気発覚後も暖かくサポートしてくれる同僚たち

小脇さん:
その後、らでぃっしゅぼーやの現場から離れた時期もあったのですよね。それでもやはり戻りたいと思ったのはどうしてでしょうか。

松山さん:
配送拠点から本社に戻った後にエコ雑貨の企画担当になりました。らでぃっしゅぼーやでは、食品だけでなくオーガニックのシャンプーなどエコグッズも販売して、その担当でした。
さらにその後、1人目の育休をとって復帰後に食品企画、さらに2人目の育休復帰時には会社が統合していたので一時期はオイシックス・ラ・大地のサービス進化室に配属されました。
しかし、そんな時に病気が発覚。一度業務を離れて入院し、治療に励むことになりました。

小脇さん:
2度の育休後の病気発覚での休職は、どんなお気持ちでしたか?

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松山さん:
産休や育休を取ると、そこまで頑張ってきたものがリセットされるもどかしさが一時期あったんですね。しかもその後に病気になって、「また戦線離脱か」という焦りもありました。
しかし、そんな中でも以前から一緒にやってきた同僚や先輩たちが手紙をくれて、とても励まされました。みんなが忙しい中でも、この会社のメンバーは誰かが病気になったり、子どもが体調を崩したと聞くと、パッと「休んでください」と言ってサポートしてくれるんですよね。社風と言えるのかもしれませんが、これには本当に助けられました。
そうして部署異動や休職で、らでぃっしゅぼーやというブランドから1歩離れた時期を経験したことで、改めてらでぃっしゅぼーやの仕事をしたいと思うようになったのです。異動希望を出し、またらでぃっしゅぼーやの販売企画に担当になりました。

仕事をするほど好きになる

小脇さん:
松山さんのらでぃっしゅぼーや愛ってとてもすごいと聞きました!実は家中全部らでぃっしゅぼーやのグッズで揃えているほどだとか?

松山さん:
そうなんです!気持ち悪いって笑われるほどに(笑)。

小脇さん:でも、ブランドの成長には、そうした愛情を持った人が存在してくださることがとても大事ですよね。だって正直私、今はオイシックスを定期購入していますが、松山さんのお話をお伺いして、らでぃっしゅぼーやも頼もうって思いましたもん!(笑)

松山さん:
生産者さんの愛や品質の良さをすごく感じるんですよね。「ものの良さ」と一言に言っても、すぐ食べて、すぐ美味しいと思う瞬発的な良さもあれば、1年間食べ続けても飽きない、じんわり理解される長期的な良さもありますよね。ロングスパンで感じられる良さは、人生を豊かにしてくれるものだと思います。
らでぃっしゅぼーやでは旬のお野菜を届ける定期契約の「ぱれっと」という商品がありますが、これも1年を通して旬や季節を感じさせてくれるもので、さらに年を重ねるごとに、いつの間にか料理の経験値も上がる。長く付き合えば付き合うほど、良さが積み上がっていく商品だと思います。
さらに、小冊子「おはなしSalad」の取材で生産者さんの話を聞くと、「こんなシンプルな素材にも、こんなこだわりが!」と感じることも多々あります。

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らでぃっしゅぼーやは、環境問題に取り組むNGOが母体となり、その食部門で一般ユーザーに展開しようと始まったので、環境やサステナビリティを大事にしています。しかし、それをお客様に押し付けるのではなく、一緒に参加したくなる、ワクワクできる商品やサービスを提供することで、実現したいと思っています。
今後も、食のトレーサビリティやお客様とのコミュニケーションを大事に取り組んでいきたいですね。

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