おおいたノート2019年6月号〜大分のバリアフリーを考える
主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)が大阪で開催された。6月28日の夕食会で、G20の議長を務める安倍晋三首相が、大阪城にエレベーターを付けたことを「大きなミス」と発言した。
発言は次のようなものだった。
「明治維新の混乱で大阪城の大半は消失したが、天守閣は今から約90年前に16世紀のものが忠実に復元された。しかし一つだけ、大きなミスを犯してしまいました。エレベーターまでつけてしまいました」
各国の首脳からは特段反応はなかったようだが、SNSでは著名人から発言に対する批判や疑問の声が相次いだ。
筆者は、来年の東京2020オリンピック・パラリンピックを前に、東京で本当に障害のある人を受け入れる体制ができているのかについて取材をすることが多い。
結論から言えば、東京のバリアフリーは、地下鉄のエレベーターなど、一定程度は進んでいるものの、障害のある人を大勢迎え入れるようなものにはなっていない。宿泊施設、交通機関、レストラン、観光施設など、多くの点で問題を抱えている。
いくつかの媒体で書いているが、興味のある方は東京経済オンラインで書いた『東京のバリアフリーに足りない「観光客目線」』(https://toyokeizai.net/articles/-/277154)を読んでいただければと思う。
いずれにしても、バリアフリーが進んでいるイギリス、スウェーデン、アメリカ、カナダに比べると、法制度でも日本は努力義務ばかりで、実効性に欠けている。どこか、障害がある人を分けて考えて政策が作られていると感じるところがある。
それゆえ、オリンピック・パラリンピックがあと1年あまりに近づく中で、障害のある人のための交通対策やバリアフリーが十分とはいえないのが現状だ。それは国際パラリンピック委員会からも指摘を受けている。憂慮する関係者は安倍首相の発言を聞いて、やはり政府がそんな認識しかもっていないのだろう、と呆れたのではないだろうか。
ちなみに、筆者の個人的な感想では、大阪の方が東京よりも交通機関、商業施設などでバリアフリーは進んでいると感じている。
前置きが長くなったが、そこで今月号では、大分のバリアフリーについて考えてみたい。一度で網羅できる内容ではないので、今回は優れた面と課題をいくつか取り上げてみたい。
今月の目次です。
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1.大分のバリアフリーを考える
2.参議院選挙大分選挙区の情勢
3.大分市議会野尻議長が全国市議会議長会会長に就任
4.今月の編集長
5.編集後記
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1.大分のバリアフリーを考える
手前味噌で恐縮だが、大分のバリアフリーについて筆者が書いた原稿が、東洋経済オンラインで6月29日に公開された。
『10年間車いすの客を待ち続けたバー店主の願い』
https://toyokeizai.net/articles/-/289311
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