OMC099 後日談

 こんにちはこんばんはおじゃめしです。前回の記事で、OMC099 (for beginners) の問題について述べたのですが、ここではこのセットにまつわるいろいろなことを書こうかなぁと思います。なお、今から書くことはかなりガチガチの反省文であることをご了承ください。

 前回の記事は以下からどうぞ。

このセットができるまで

 まず申し上げたいことなのですが、実は今回のセットは「第 1 回 4b コンペ」に提出したものでした。2 次予選敗退が分かり、後述する不安要因を踏まえると「もしかしたら、セット解体されてバラバラに出されちゃうかもなぁ」などと思っていたのですが、無事セットで出題されましたね。6 問が一気に「審査済み」から「出題予定」になっているのに気付いた時は嬉しすぎて叫びそうになりました。ただ正直、実力を鑑みても自分が単独でコンテストを開くのはまだまだ先のことだろうと思ったりしていましたし、セットの構成に不安要素があったりもしたので、コンテスト開始まで心の準備ができず緊張が止まりませんでした。

 さて、4b コンペのために作成してできたこのセットですが、作問当時主眼においてきたこととしては「競技数学をまったく経験していない人にも『解けた!』『時間内には解けなかったが、この問題面白い!』などと思ってもらえるような問題を構成する」ということでした。経験の有無を問わず CA できたことによる達成感を多く感じることができれば、新たに競技数学に足を踏み入れる方も増えるのではないか。そして、その契機を少しでも提供できるコンテストこそ、「4b が如何にあるべきか」という問いに対する自分なりの答えだったからです。ただ、その点に捉われすぎたあまり、既存の solver の方々の視点を蔑ろにするようなセットになってしまったことは言うまでもありません。そこで以下では、今回のセットに対して見られた意見に勝手にお返事していこうと思います。

勝手なお返事

1.(B)の条件過剰

 これについては Twitter や前回の記事でも述べていますが、すべては作問当時の自分が「円周角を完全にすっぽかした解答しか見えていなかった」ことが原因です。これに引っかかってしまい問題を円滑に解けなかったという意見がありましたが、これは私も望むところではありません。時間を置いて再度チェックすることを徹底すべきだったと後悔しています。ごめんなさい。

2. 全体的にエスパーしやすい

 D と F についてはエスパーして解いたという意見がちらほら出ていました。特に F については、公式解答を導き出せたことに満足してしまい、それ以上の追求を続けなかったことが抜け道の残ってしまった原因だと思っています。作問をすることに加え、 OMC に向けて手筈を整えることが必要であると痛感しました。今後問題を作る際はそのようなことにも意識を向けたいと思います。

3. Eの解答形式

 今回のセットで一番物議を醸したのはこの話題でしょう。「面白い試み」という肯定的な評価も見ましたが、やはり多くは「下手に惑わして時間使わせやがって」という芳しくない意見でした。これに関して釈明しておくと

  1. 過去にも同様の解答形式の問題があった(遡及して咎める人が出る可能性があるのは自分としても本望ではないので、具体的な明言は控えます)

  2. 解答形式よりも「面積が一定になる」ことの面白さを優先したかった(これは自分の甘えです)

という 2 点から、このような問題形式で大丈夫なのではないかと判断していました。しかし、「面白い問題が作れればそれでいい」というような緩んだ考え方によって 2 のような甘えが生じてしまったと思いますし、なにより新規参入者の想定をしすぎていると言っておきながら、1 のような理由で意思決定を下すのは明らかに不適切でした。このような狡猾で卑しい聞き方でしか自分の理想通りの問題を作成できない実力の低さをただただ恥じるばかりです。不快に思われたすべての solver の皆さんにお詫び申し上げます。

4. その他、ぼくが独断と偏見で選んだ意見への返答

 ここでは個人的に返信したくなった意見について箇条書きで勝手に返答していきます。

  • Fが崖すぎる、実質Fを解くためのコンテスト → 多くの人が解けるような問題を配置しようと苦心した結果 A〜E が解きやすいものになったので、F は難しくしようと考えました。ただ、難易度調整が下手なのも事実なので、次回以降作問する機会があったら今以上に善処いたします。

  • E の解法 1 に体育会系数学部の意地を感じた → 算数解法が思いつかなくても解けることを示すために作成しました。というか、体育会系数学部が認知されていることに驚きです。

  • 根気を求めがち → 自分は根気で正解を捻り出すことを割と是としているので、そのような問題ができがちなのですが、やはりOMCに参加する皆さんはそれを望んでないのでしょうね…… 綺麗な解法スパッとで解けるほうがやはり嬉しいですよね。作る機会があれば、そのような問題を作っていけるよう努力します。

  • 部長ごめん… 今日のコンテスト出れない → 定期テストを優先してください() 頑張って!

以上です。

おわりに

 個人の中では高らかな目標を銘打って作成した今回のセットでしたが、目標の高さとは裏腹に自分の実力不足を露呈しただけのコンテストになってしまいました。writer の実力のみならず、solver の実力も伴っていないから条件を過剰に設けていることにも気付かないし、エスパー対策や解答形式まで気を配れていないにもかかわらず満足してしまうのでしょうね。評価の高い writer さんが solver としても活躍している理由が何となくわかった気がしました。
 また、これまで「 solver の方に喜んでもらえるにはどうすればいいか」ということをあまり考えずに作問作業にあたっていたことも今回のセットの出来を損なった原因だと感じています。「自由には責任が伴う」とは正鵠を得たものですね。恥ずかしながら、「作問を投稿できる自由」にしか目がいかず「作問を公表することに付随する責任」を無下にしていました。生ぬるい態度のままこれまで複数回 writer をやっていた自分がただただ恥ずかしいです。
 いずれにせよ、自分の能力不足のせいで多くの有能な方々に不快な思いをさせてしまったという点で、今回のコンテストは自分にとって非常に身に沁みる経験となりました。また、自分の作問の姿勢や競技数学への向き合い方といった根幹を見直すきっかけにもなりました(大袈裟に聞こえるかもしれませんが、ぼく個人としてはかなり反省しています)。何かしら変わらなければなりませんね。今後のことはまたゆっくり考えます。すでに審査済みになった問題についても、見直した方がいいかな……

 では、また。

追記(2022-11-18)

あれからゆっくり考えて5か月くらい経ちましたが,やっぱりOMCが好きなので頑張ってみることにしました.頑張ります!!(小並感)

今後もよろしくお願いします!

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