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不織布マスクをリサイクルに

伊藤園のHPによると、500mlの緑茶ペットボトルが解禁になったのは1996年だった。ゴミ問題に対する懸念から小型サイズの販売は自主規制していたが、容器包装リサイクル法の制定(1994年)を機に缶やガラス容器のペットボトル化が進んだ。当初はポイ捨てが目立ったものの、20数年を経て日本のペットボトル・リサイクル率は86%(2021年、PETボトルリサイクル推進協議会)になった。
 
▼自宅のある自治体の家庭ゴミの分別表では、プラスチックのリサイクルはペットボトルとプラマークのある容器に限られる。歯ブラシやバケツなどのプラスチック「製品」は不燃ゴミだ。2015年、ウミガメの鼻にストローが刺さった写真が報道され、プラスチックの海洋汚染や自然破壊防止への気運が高まった。2022年4月「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラ新法)が施行されようやく前に進み始めた。包装容器とともに再生利用に取り組むことになった
 
▼コロナ禍でマスクの販売量が約3倍に増えた。急激な需要増で一時は店頭からマスクが消えたが、売れるとなれば企業は増産に走り、今やフィット感やデザインをアピールするファッショングッズになった。しかも安価で山積みされている。2021年国内生産・輸入数量は147億枚(日本衛生材料工業連合会)、1枚約3グラムとすると、4.5万トンにもなる。これがすべて捨てられるのだ。

▼不織布マスクの原材料はポリプロピレンやポリエチレンなどだ。スーパーのレジ袋など包装容器と同じ材質のプラスチックなのに、可燃物として処分される。

▼不織布マスクが道端に落ちている。海岸や河川にも流れ着く。捨てた個人の責任であることはもちろんだが、リサイクルするしくみがない以上、「使い捨て」「捨てるもの」という意識は変えられない。
 
▼マスクの材料を統一したらどうか。使用済みペットボトルは、もう一度ボトルに戻したり、繊維やシートなどに変えて再び生かされる。原材料のポリエチレンテレフタレートを各社共通化することで再生のハードルを下げた。マスクもこれに倣えばよい。身に着けるものだから好みもあろうが、消費者は理解することも必要だ。リサイクルは社会全体の意識改革の上で成り立つ。
 
▼3月13日からマスク着用は個人の判断に委ねられることになる。マスクの使用量は減るだろう。マスク着用を忘れて気まずい思いをすることもなくなる。でも使用済みマスクのリサイクルは忘れてはならない。