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蕎麦には、ぬる燗

信州に行った。信州といえば、蕎麦。本場である。戸隠、安曇野、それに善光寺門前など有名なところが多い。お昼ご飯はもちろん、蕎麦。暑かったせいもあるが、蕎麦はせいろがいい。

せいろには、日本酒があう。真澄、七笑など銘酒も多いが、最近はさらにたくさんの種類がでて、選ぶにも迷ってしまうほどだ。でも蕎麦屋さんにある、ふつうのお酒がいい。純米、純米吟醸、大吟醸はいらない。蕎麦を引き立てるためのお酒は、蕎麦屋さんがよく知っている。

冷酒はいけない。とくに夏は暑いので、冷酒にすると際限がなくなる。蕎麦が負けてしまう。だから、常温かぬる燗だ。熱燗は、熱さでお酒の味が飛んでしまう。

せいろが来る前に、ぬる燗をお猪口についで、ちびちびと飲む。つまみは要らない。1合徳利の半分ほどで、せいろが届く。通は蕎麦の1,2本をとってそのまま、つゆをつけずに味見するという。蕎麦の舌が出来ている人には違いがわかるのだろうが、そんなことはせず、薬味を入れたつゆに2/3ほど浸してすする。そのあとは、ちいさいお猪口のぬる燗をひと息に流し込む。もう1本追加。ひとりだと、深追いをしないのが蕎麦屋のお酒だ。

九州のお取引先の社長によると、酒とつまみの3大ランキングがあって、せいろ蕎麦と日本酒のぬる燗というのが入っていた。あとふたつは、スイスの赤ワインと生ハム、それにオランダの白ワインとニシンの酢漬けだという。

2日で3食、せいろ蕎麦と日本酒ぬる燗を堪能した。その勢いで、東京に着いて家に帰る前に神田の蕎麦屋で、だめ押しの4食め。

どこの蕎麦屋がよかったって?
酒は信州、蕎麦は東京と言いたいところだが、残念ながら蕎麦舌、日本酒舌の自信がない。それなりにということで、いつも美味しくいただく。