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音が聴こえる、文字が見える

作曲家の池辺晋一郎さん。数多くの交響曲やオペラ、映画音楽などを世に出してきた。日経新聞「私の履歴書」に作曲とは五線紙に音符を置いていくことではない、という。

頭の裡(うち)で曲をつくって音を聴き、それを「写譜」することが「作曲」なのだ、そうだ。

思い出したのは、大宅壮一さんだ。ジャーナリストで評論家。中学生の頃から雑誌に投稿して多くの懸賞を得ていた。作文するのは登下校時、家に帰ってから頭の中で書いた原稿用紙の文字を、一字一字書き写すだけだったという。

同じだ。池辺さんは音が聴こえ、大宅さんは文字が見えた。

最近の作曲家は、PCで考え、PCで曲を書くという。作家もPCで文字を書く人が多いようだ。でも、池辺さんは手書き、PCでは音が聴こえないらしい。もちろん、大宅さんも手書きだ。

そんなものかしら。
残念なことに、彼らのように頭の中で「文字」や「音符」は見えたことがない。

じゃあ、どうするか。

わたしの場合、頭の中で思いついた「文」は、短くても早く文字にしないと忘れてしまう。手書きは紙に書く文字が追いつかない。PCはいくぶん、まし。頭に浮かんだ「文」に追いつくには、口が効果的だ。そう、音声入力を使うのが適している。

手よりも口の方が、頭に近い。