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長いのは耐えられない

物理的時間はかわらないのに、勝手に時が過ぎるように感じる。年を重ねると動作も緩慢になるから、昔のようにはいかない。ついていかねばと気がせく。ところが、若い人がもっと「せかせか」なんですね。

テレビは再視聴で倍速再生するのが流行りだという。YouTubeやオンライン講義も倍速、グーグルをひけばウエブの「まとめサイト」が幅をきかせている。本の内容を10分ほどで読める量に要約して配信、話題の新刊や定番のベストセラーなど3千冊近くもあって人気があるという。

短いのが好まれ、長いのは敬遠されるのでしょうか。

同僚のIさんはスマホを片時も離さない。わからないことがあるとすぐ検索して回答を欲するのがならいになっている。元首相が関係したという新興宗教団体に興味をもって、ネットに紹介されていた文庫本を手にしていた。覗いてみると、松本清張の「神々の乱心」、大作です。

「この連休で240ページまで読んだ」
「やっと270ページまできた」
「要約本はないのかね」(この本、上巻だけで469ページもある)
「あっちにいったり、こっちにきたり、紀行文みたいにやたらと情景描写が多い。結論はなんなのかね」

デジタルじゃないから、本の厚みと今のページを比べれば、直感でわかるでしょう?推理小説だから最後まで結論がでないはず。まだまだ先ですよ。

どうも長いのには耐えられなくなってきたようです。終わったら貸してね、との約束は前倒しになって今わたしの手元にあります。