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2024年2月27日の乾杯

新しい乾杯。3月もすくそこ。花粉の舞う気配を感じつつ、おじさんとおねえさんの猿若祭二月大歌舞伎昼夜完食のお話や、おじさんの観た、大統領師匠、青年座、ばぶれるりぐるが同時期にそれぞれ上演した竹田モモコさんの戯曲のお話を、今回も様々な駄弁と共に。

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。よろしくお願いします。
👨お願いします。いやぁ、まだ春には少し遠いのですね。
👩一瞬こうあたたかくなりましたけれど、寒さの戻りもあって油断をすると風邪をひいてしまいますね。
👨そうですね。だから最近は着るものがけっこう難しくて。なんか、このあいだ暖かい日にダウンを着て出てしまって、一日中持ってあるいてとてもうっとしかったという経験もあって。
👩うんうん
👨劇場なんかでも古いところになると前方と後方で温度が違ったりするし。
👩それはありますねぇぇ
👨この間あるお芝居を観に行った時に、そこは前の方が寒い劇場だったのね。後ろはしっかりと暖房が効くみたいな。だから開演前に主宰の方が、「前方のかたで羽織るものをお持ちの前の方は羽織ってご覧下さい。後ろの方はお膝にご用意の上ごらんになることをお勧めします、」みたいなことをおっしゃっていましたけれどね、あれって、きっと初日とかにクレームがあったのだろうなと思って。
👩よく行っているとわかるのだけれどね。
👨そういう点,歌舞伎座なんかだとヤッパリ違うものね。
👩歌舞伎座は!歌舞伎を見に行ったときに、私はヘルニアがあるので、ほんとに痛くなるとすわっているのもしんどくなってしまうのですけれど、一度観に行った時に、ほら歌舞伎座って席数が多いから真ん中の席になると身動きがとれなかったりもするじゃないですか。
👨はいはい。
👩ある時、もう全然無理そうだな。という状態になってしまいまして。動いた時にご迷惑にならないところにもし席があれば…!と。後ろの方で見えにくくても大丈夫なので!と。本当に駄目だってなって退出するときに、後ろの方にご迷惑がかからないようにしたいです。と、お願いした所、快くご対応いただきまして…感謝がつきませんでした。本当に。
👨昼の部はそうでしたよね。あと、今月は夜の部もご一緒することができて。
👩そうですね。

歌舞伎座

👨その日は、おねえさんのスケジュールがきちきちで大変だったのですが、なんとか「義経千本桜」からは観ることができたんですよね。
👩観られて良かったです。
👨最初の演目、『猿若江戸の初櫓』をご覧になれなかったのはちょっと残念だったけれど。あの勘九郎さんの長男の勘太郎さんがご出演で。
👩はいはい。
👨12歳だからやっぱりまだ台詞は大人の俳優とはちょっと違ってはいるのだけれど、でも、こう地がしっかりしていると言うか。
👩それこそ物心がつく前…もっと幼い頃からずっとお稽古をしていらっしゃいますから。凄いよ。幼いかわいらしさもあるしね。
👨いうてもまだ小学校6年生じゃない。にもかかわらずすでに風格があるというのは凄いなぁと思って。
👩うんうん。
👨もちろん、それで言えば、連獅子をやった次男の長三郎さんも、あんな小さいのになんか貫禄があったものね。
👩そうですね。
👨でさ、やっぱり観客が喜ぶよね。
👩ほんとに。きゃぁーってなってた!男女問わずの黄色い声(笑)かわいいーーって。
👨なんか、真ん中の演目、「すし屋」をやっているときの客席の温度とは全然違うんだもの。かれらが十七になって二十歳になってっていうたびにご贔屓がたくさん付くのだろうなっていう感じがしたよね。
👩そうですね。
👨去年はいろいろ歌舞伎にも大変なことがたくさんあったけれど、
👩ほんと、ほんとうに大変なことが。
👨でも,それをみんなでなんとか盛り返していこうという気概みたいなものも感じられたよね。
👩うん。
👨ああいうものを見せてもらえるとまた次も来たいなぁとおもった。
👩そうですね。今回はどの演目もよかったなぁ、ほんとうに。
👨昼も夜もよかったですよ。今月は。まあ、歌舞伎というのは、じつは昼の「野崎村」にしてもそうだし、夜の「すし屋」だって、冷静に考えたらひでえ話だとは思うのだけれどね。でもね、そこに歌舞伎の醍醐味があって。
👩「すし屋」良いよねぇぇ。でも全然違った、前に観た時のは。
👨前は誰のいがみの権太をみたんだっけ。仁左衛門さんだっけ。
👩いや、えーと。
👨今回は芝翫さんでね。初役だってなにかに書いてあったけれど。まあ、仕組みに仕組みを重ねて観る側をうまく謀る悲劇なのだけれど。
👩うんうん。
👨とはいえ、休憩込みとはいえ昼も夜も4時間前後の上演時間でね、
👩そうですね。
👨まあ、偉大なエンターテイメントだと思いますよ、歌舞伎というのは。
👩そのことを思うと、でもさすがにもう昼夜を通しで1日でというのは無理ですよね。
👨うん。
👩1日通しで8時間とか観ていましたものね、以前は。いやぁ、もう考えられない。怖すぎる。よく集中が持ちましたよ。
👨あれはさぁ、最初の体験で先がわからないとけっこう一回は出来てしまうとおもうんですよ。
👩ああーーー。
👨だけど、一度そのボリューム感を知ってしまうというか実体験するともう出来ないよね。
👩そうですね。もう、ちょっと、無理かも。
👨昼の部が終ったときに「夜の部をご覧になる方も一度退出ください」みたいな館内放送が流れるじゃないですか。そうすると、改めて、あぁそれをされる方がやっぱりいらっしゃるんだって感心するものね。
👩あはは。よくやっていたなと思いますよ。腰がもうほんとうに、全然駄目でしたけれどね。全然じっととしていられなかった。
👨今回も、演目の間の休憩が35分の食事休憩のほかに20分の休憩があったじゃないですか。
👩ええ、そうですね。
👨その20分の休憩というのが観る側にとっても意外と大切なのではないかと思う。
👩本当に。
👨ただ、35分の方もただご飯を食べるだけの時間ではないと言うことも合せて最近分かってきて。
👩確かに。
👨ちょっと10分でも1階ロビーから2階にロビーに上がって、なんなら3階のお店ものぞいて、ぐるっと歩いて帰ってくるだけでも腰は随分楽になるからね。
👩心身ともにリフレッシュできて。
👨そのあいだにさりげなくストレッチなんかもしてね。
👩大事、とても大事だね。それにしても、もちろんいつも面白いのだけれど,今回は特に全演目よかったというか。今回その、あれだな、連休だったから、普段ご覧にならないかたもお越しになっていたみたいで、たくさんの客入りで、それもとてもよかった。
👨前回のおじおねでもお話したように、昼の部では色々鳴らされる方もいらっしゃってそれはそれで困ったものでもあったのだけれど、
👩今回の夜の部ではそれもまったくなかったし。
👨歌舞伎ってさ、やっぱり熱気があってなんぼみたいなところもあるじゃない。
👩うんうん!そうですね。
👨コロナ明けの閑散とした客席でやっているのとは場内の熱が違うんだよね。
👩やっぱり演者だけではつくれないんですよね、舞台は。劇場はみんなで何かを作り上げる場所だから。
👨大向こうなんかにしても、ひとつかかるよりも、ここ一番で満員の客席からふたつみっつがバンバンとかかるのがいいんだよね。そういうのも合せて伝統芸能だなぁと思うし。
👩うんうん。大向こうって小気味が良いんですよねぇ
👨また是非、機会があればというか、年に2~3回は観にいきたいなぁと、頑張って。勘九郎さんの追善興行ということもあって今回は中村屋さんがメインだったけれど、ほかのところがメインでの舞台も是非にみたいし。
👩そうそう、あれよ。一幕見席が指定できるようになったみたいだから。
👨あぁ、そうみたいね。
👩あれは使うべきだと思うよー。すっごくいいよ。寒い中待たなくてもいいんだもの。上からでもわかるから。伝わるから。おもしろいから是非に観て欲しい。
👨指定席は前日の販売だったかな。そのほかに当日発売の自由席もあるんだよね。昔は正面入り口の左側で列を作って待っていたのだけれど、多分常連さんどおしでのいろんな話を盗み聴けたりするんですよ。芸談に花を咲かせる方がいてね。。
👩ほうほう
👨今だから言えるけれど、わたしも仕事で外出して用事が早く終ったりするとたまにそこに並んだことがあるのだけれど、手持ち無沙汰どおしで前後に並ぶとなんか会釈して話しかけてこられる方がいたりもして。その時の出演者のお名前を出されてお好きなんですかとか言われてね。で、まだまだ初心者なんですよとかいうと、そういう人ってけっこういろんなことを教えてくれるのよ。
👩うふふふ。
👨そうするとね、その人の反対側に並んでいた人が口を挟んできたりするの。
👩へぇ
👨そういう、会話を楽しめることも何度かあったのね。もちろんいつもいつもではなかったけれど。まあそういう風景はもうなくなったのだろうけれど、というかコロナを考えるとそういうのもマズいだろうとはおもうのだけれど。でも、指定席ができたというのは本当によかったよね。
👩うん、ようやくというか、よかった。並んでとなると待つ時間もあるし早く行かなきゃとかにもなるし、観劇できるかわからないし…で、最初の一歩を踏み出すにはハードルが高いなぁという感じがしていたから。よかった。指定席になったからみんな行きやすいよって。
👨そうそう。あと、上からみることでの動きなどの美しさもあるような気がするんだよね。私も何回か観たことがあるけれど、正直役者のかおなんかはちゃんと見えないのだけれどね、ほら、花道を人がずらずらってくる時とかがあるじゃない。バレエの「白鳥の湖」じゃないけれどそういう時の動きの美学みたいなものとが、場面の流れなどにしても、上から観る美しさがちゃんとあるんですよ、歌舞伎には。
👩うんうん。意識もしているだろうしねぇ、上の客席まで。
👨そういう意味では3階の正面じゃなくて上手と下手の壁にも座席があるじゃないですか。座ったことはないのだけれど、あそこからだと舞台がどんな感じに見えるのだろうなぁとか思ったりもしてね。
👩横からの席って行ったことがないから。一度行ってみたいですけれどね。
👨うん。1階の桟敷はさすがに取ることもお値段的にも難しいけれど、3階だったら取ることができるかもしれないし。わからないけれど。
👩1階の桟敷はねぇ。ちょっとね。
👨それはそれでね、いつか行けたら楽しいだろうとは思うけれど、さすがに取れないし、お財布が追いつかないしねぇ。
👩そうね、行けたら楽しかろうけれど。
👨いうてもお大尽遊びだからね、うふふ。
👩一度あそこで観てみたいとはおもいます!
👨でも、行ったことのある人に言わせるとやっぱりセンターで観た方がいいよとはいうのだけれどね。
👩そうなの?横からだから?いや、でも!よ。
👨そういう問題じゃないのね。
👩うん、そういう問題じゃないの。
👨人生の経験だからね。
👩そうそう。
👨飛行機で一度ファーストクラスに乗ってみたいというのと一緒ね。
👩その通りです!
👨もう6月くらいまでの演目も出ているみたいだけれど、いつ行けるかはわからないけれど、是非にまた足を運びたいと思っておりますので。よろし蹴ればその節にはお付き合いくださいませ。
👩はい。ところで前回のおじおね以降、ほかにもなにかご覧になっていますか。
👨えーとね、そうそう、「大統領師匠」を観ましたね。
👩ほう。

劇・小劇場

👨これがねぇ。タイトルは『ノーザンライツVSメキシカンギャング』というタイトルがとてもチープなスペース海賊ものみたいなやつなのですけれどね。
👩そのタイトル、どこかでみたぞ?
👨良い俳優が一杯出ているんですよ。共同主宰の遊佐さんはもちろんのこと、今回は野口オリジナルさんとかね。
👩はいはい。
👨あと、佐野功さんとか、あとロデオ★座★ヘヴンの音野曉さんとかも。
👩フライヤーでみた!面白そうだなぁとおもってて、観たかったんだよーーーっ
👨私、去年「ムケイチョウコク」という実体験型の演劇を観にいったことがあるのですけれど、その時に遊佐さんがご出演で、あと佐野さんとか良い女優だなぁとおもった方も今回ご出演で、そこで今回公演へのお誘いがなされたのかなぁと勝手に想像もしてしまって。
👩ふむふむ
👨私は、いうてもただの観客だし、そのあたりの事情はおねえさんのほうがはるかに詳しいとはおもうのだけれど。というか想像だけれど、大統領師匠の主宰がムケイチョウコクの稽古とか打上げの時にみんなを誘ったのではないかなぁって。
👩んふふ。よくあるやつだ!
👨ご縁がそういうふうにして繋がっていくというか。
👩はい。
👨で、あと、演出が私がずっと注目している疾駆猿の佐藤信也さんなのですよ。
👩ほうほう。
👨彼は自分が主宰のところの公演でもそうなのだけれど、シーンのさばきが抜群にうまいのね。ひとつのシーンから次のシーンへの導きとか、シーンの掛かりの作り方とか物語の複雑な部分を観る側に渡すやり方が抜群に上手いんですよ。彼の手にかかると面白さが停滞せずにさくさくと進んでいく。
👩観客を物語にのせてくれるって、感じかな。演出の目の付け所が良いというか…
👨そう。それは大統領師匠の常連に石塚みづきさんという女優がいらっしゃって、彼女は昔から佐藤信也さんのお芝居に出ていたから、彼女との繋がりから引張ってきたのかななんて素人考えで想像したりもしてね。ほんと想像だけれど。
👩なるほど。
👨そもそも、大統領師匠って昔初めてみたときにはコントみたいなことをやっていたこともあるんだよね。
👩へぇぇ
👨なんかだいぶ前に下北沢のアリーナだったか、半分コントみたいな公演を観た覚えもあるしね。コントとしてもネタは凄く面白かったのね。それがここのところ何作かは長編で勝負するようになっていて。
👩うんうん
👨で、今回も長編だったのだけれど、そこには時間の前後も場所の移動もけっこうあるのだけれど。それもこっちの宇宙船から同型の別の宇宙船みたいなややこしい移動だったりもするのだけれど、それが佐藤さんの演出だと見ていて全く混乱しないの。きちんとこことここを見せると時間や場所を混同しないみたいな勘所をちゃんと押えているのだとおもうのね。まあ、時々あざといやり方もあって、「ここから回想シーンにはいります」とか平気でいったりもするのだけれど。
👩あはは。でも、それはしっかりと成立しているわけでしょ。
👨うん、もちろん。まあ、そこまで言われてしまうと迷いようがないけれどね。そうでなくてもいろんな工夫はあって。しかも、投げた掛かりがきれいに回収されていく律儀さもあって見事。割とあからさまだったりもするけれど、そういうのが繋がった時って観ている方も気持ちがいいじゃない。
👩うん、そうですね。
👨ここでか、みたいになるじゃない。
👩うんうん。
👨そういうところも凄く良く作り込まれていて。で、ここ一番で野口オリジナルさん、今回はヒールの役回りなのですけれど、もう抜群の味わいだよね。
👩あはは。大好きな俳優さんですね
👨だって、彼がいい人をやってもとても上手ないい人だけれど、
👩それはね、いい人が良いのは知っているから。
👨彼が悪役をやるときのあのいやらしさね。
👩そのビジュアルがね、凄くやさしげな柔らかい印象だから。でも、深みがある、深みをめちゃくちゃ出せる俳優さんだから、そういう役をもっとやってほしいよね。観たいーっ
👨そうそう。今回なんかでも単純に悪役をやるのではなくて、滲んで染みこむような浸透力を持った悪役をやるのね、彼は。根っから悪いみたいな。
👩野口オリジナルさんといえば、「異説狂人日記」あれが映画館で上映されるらしいですよ
👨あの作品は上映されてもいいような気がするね。
👩上映されるのよ。
👨されるんだ。
👩うん。いくつかの劇場で上映されることはもう決まったの。
👨へぇ。
👩すっごく良いよね
👨あれは大きいスクリーンで観たいなぁってうちのテレビに映し出して観たときにはおもったのね。
👩シブゲキ。あと全国8ヵ所の映画館を行脚するんだって。夏にブルーレイ上映イベントだって。いいねぇ、北海道、宮城、埼玉、千葉、神奈川、大阪、広島。
👨へぇ。そこでブルーレイでの上映ということね。
👩うん。そうだね。映画館で観ることができるよって。しかもキャストが登壇してくれるらしいの。
👨なるほど。
👩ただ、登壇者が明らかになっているのが東京公演だけなので、ほかの会場ではどなたが登壇されるのだろうってなっているのだけれど。
👨俳優の方々はみんなスケジュールに縛られているからねぇ。
👩そうなんだけれどさぁ。私は「受容」が好みでして。野口オリジナルさんの「受容」が好きだったから観たいなぁって。もちろん近くならね、東京は2回あるらしいのだけれど。
👨その東京公演の登壇者に野口オリジナルさんは入っているの?
👩東京公演はもう決まっていて、出られないらしい。出られないらしいんだよねー。
👨彼は忙しいでしょう。
👩そうだよね。
👨個人差はあるのかもしれないけれど、基本的に名の通った俳優は忙しいのだと思うよ。今日たまたま「くちびるの会」を観に行った時に、アフタートークで藤原道兼様というか玉置玲央さんが出てきたときに驚いたもの。きっとめっちゃ忙しいだろうによく時間を作ることができたなぁって思ったもの。
👩忙しいですよね、絶対!って?
👨そう。だからとても感謝だったけれどね、話を聴かせて頂いて。登壇者がいらして終映後にその作品の話がきけるというのは私もけっこう好きなのですけれどね。
👩私も好きです。
👨製作のニュースを聞いた時から観に行きたいと思っている映画ってあるじゃないですか。
👩うん、ありますね。
👨小劇場の俳優の方なんかも出ていらっしゃったりもして。そういう映画だとイベント回を探して観に行くこともあるものね。
👩面白いからね。最近、昔小劇場で観ていた方がテレビとかも含めて活躍していること良くあるからさ。
👨そうなんですよ。
👩あと、マーダーミステリーなんかをテレビでもやるから、そこに出ていらっしゃったりもするわけですよ。
👨なるほど。
👩いいなぁって観てる(笑)
👨私は今ひとつわかっていないのにあれだけれど、マーダーミステリーも少しずつ市民権を得つつあるよね。
👩遅いくらいっ!
👨それは、おねえさんの感覚としては遅いのだろうけれど。
👩うまいこと市民権を得て欲しいですけどねぇ…
👨マーダーミステリーって、観るものとして考えると何度も同じ物をみたいというような物ではないじゃないですか
👩演者が変わればまた観たいよ。だって同じシナリオでも演じる人たちが違えば物語は全く違うものに変わるから。
👨あぁ、なるほどね。
👩けっこうおもしろいのだけれど、まだ一部ですよねー。舞台でやったり配信でやったりするのもいいよ。マーダーミステリーでも色々種類ができて、もっとストーリーの方とか演技の方に特化した作品もあるし。物語を楽しむことに特化した作品もある。
👨試行錯誤で広がってはいくんだろうけれどね。
👩うん、そうですね。そうなってほしい。たくさん観たい。
👨私は行けなかったのだけれど、「ムケイチョウコク」なんかにしても継続的にいろんなチャレンジはしているみたいだしね。
👩そうですね。
👨この間の元映画館での公演も行きたかったのだけれど、どうにも時間がなくて行けなくて残念だったのだけれど。でも、そうやっていろんなチャレンジをして体力をつけていく団体の姿というのは、今回は行けなくても次回は観たいっていうふうに観客を惹きつけるからね。楽しいよね。
👩うんうん。
👨まあ、それにつけても、「大統領師匠」は団体として熟した感じもあって超お勧め。
👩面白そうだなって思っていたのにな。いつのまにか舞台って終っている。
👨そうだね。私もなかなか予定が立たなくて終わりのほうに観に行ったのだけれど、お客さんはよく入っていたよ、本当に。また、終わって、お愛想ではなくダブルコールをしたくなるような舞台だったし。単に面白かったです、終わりというかんじではなくてあとにちゃんと余韻が残るお芝居だったし。
👩はいはい。
👨12月には駅前劇場での公演が予定されているみたいなので、その時にはお誘いしますよ。
👩あら、お願いします。
👨あとね、ここのところ観て面白いお芝居として、竹田モモコさんってご存じですか。
👩はい。
👨彼女の戯曲の上演が2本、東京でほぼ同時にあったのですよ。ひとつは青年座が上演した『ぼっちりばぁの世界』という作品でこれは中野ポケットで上演されていて、もうひとつはばぶれるりぐるという『川にはとうぜんはしがある』という舞台で、こちらには彼女自身もご出演でこまばアゴラ劇場で上演されていたんだけれどね。

ザ・ポケット
こまばアゴラ劇場

👩ほうほう
👨で、彼女の編む世界ってちょっと独特で,高知県西部で話されている幡多弁で演じられたりするのね。だからその雰囲気も東京のひとからするとちょっと馴染みがなくてあれなんだけれど、そこに醸される味わいがあってね。で、最初にどこか風変わりだったり、心が定まっていなかったり頑固な人が出てきて、でもエピソードがすすんでいくうちにそれがほどけてきて、そうすると今度は普通に生きている人の方の頑なさや頑固さや満たされていないものが浮かび上がってきたりするのね。物語の枠組みに仕掛けられているものも、小ネタも良い感じに互いにお互いを引き出すように紡ぎ入れられていて笑ってしまうし、一方で人間の温度があって見入ってしまうのだけれど。でも、そうして顛末を追わされたそのあとには、ちゃん描かれた人達の立ち位置での感慨が残るのね。
👩うんうん。
👨ちょっとiakuの横山さんを思い出させるようなところもあって、というか横山さんと竹田さんって昔同じ劇団の先輩後輩だったらしいのだけれど、そういう関西の匂いもあって気に入ってしまってね。で、なおかつ、十分に楽しんだその上で、彼女ってもうひと化けするような予感を抱きつつ両方を観ていましたけれどね。青年座の方は大手の劇団らしく作り込んでいて、やっぱり戯曲にマッチした良き俳優を無理なくキャスティングしているようなところもあって、だからこその完成度を感じた。ばぶれるりぐるの演出はチャーハン・ラモーンさんという関西の舞台をたくさん演出されている方なのだけれど、彼女の戯曲の持ち味を理解し尽くしている感じがあって、そこに俳優達がしなやかに寄り添っている感じもあって。
👩はい。
👨竹田モモコさんも、なんというかこうして東京にも足場が出来た感じがあるし、また活動もされるのだろうとも思えたので、今年また彼女の作品が目に留まったら絶対に観に行きたいとおもいますけれどね。なんというかそのお名前で観に行く作家が一人増えた気がする。
👩私も観てみたいなぁ。
👨それと、思ったのだけれど、私ってやっぱり育ちが西ということもあって、関西的なウィットを持つ作品って基本的に好きね。
👩あははは。
👨なんかさ、関西のしょうもなさっていうのは、関東の馬鹿馬鹿しさとはまた違うんだよね。
👩あるね。明確に違うね。
👨関西の笑いって抜けがどこかもったりとなって残るんですよ、すぐには滅失しない面白さが。それが、たとえ吉本新喜劇でも、全員がみごとにすっころんだとしても、それで崩れてしまうのではなくて、なんか一種の味わいとして浸されてしまうみたいなね。
👩うん。
👨で、小さいときからそういうのを観て、その味わいに浸されていたから、いまでも自然にそこに惹かれてしまうのですよ。なんかそんなこともしましたけれどね。
👩なるほど。
👨まあ、そんな感じで2月もたっぷりと楽しませていただきましたよ。
👩なんか、おじさんの予定表をちらっと見せていただきましたけれど、めちゃくちゃ観ていらっしゃいましたものね。もう、仕事かっていうレベルで。
👨あはは。
👩そのお仕事の方のかなという埋まりっぷり。
👨もうとても年老いて、おしごとなんてちょこっとしかやっていない人間にはおもえないですよね、
👩いままで頑張ったからね。今は人生のボーナスタイムですよ。
👨あぁ、人生のボーナスタイムかぁ。
👩そう、ボーナスタイム。
👨それっていいなぁ。まあ、そんなことで、3月も頑張って観劇などもろもろ勤しみたいとおもっておりますが。もうね、サラリーマン仕事もしていないのに、都心への通勤定期をずっと購入していて、しかも完全に元をとっていますから。
👩あははは、なんでなんだ。どうしてなんだ。
👨今私は仕事をするにしても概ね在宅なのだけれど、何故か計算してみると定期券で元がとれているという、あら不思議って。
👩むしろ定期券を買わないといけないよ。買っておかないと大変なことになってしまうよ。
👨はい、おっしゃるとおりで。まあ、そんなこんなで3月も定期券の元を取りにいきますが。でね、3月のおすすめなのだけれど、また今年も関西演劇祭がくるんですよ。
👩観たいねぇ。わくわくだねぇ。
👨まあけっこう良い値段はするんだけれどね。合計で6団体くるんですけれど、それが2団体ずつ45分の舞台で3組の公演になるのね。それで、値段が各組6000円という。
👩うわぁ、なるほど。
👨で、参加団体を観ると、私が観たい団体が2つあるのね。ひとつはMouse Piece-reeというところで、50代まわりのおしさん3人の団体なのだけれど。
👩うん。
👨そこは、一昨年だったかな、秋に大阪に行ったときにたまたま公演をされていて、大爆笑をしたんですよ。60分とか70分とかのお芝居なのだけれど、ひとり何役も担う3人芝居だったのだけれど、あれよあれよとド嵌りに嵌ってね。あのパワーは凄いなぁとおもったのね。
👩はい。
👨あともう一つは無名劇団という団体があって、それも関西で観てええ芝居をしはるなぁと思った団体なのだけれど。人情劇というか、もろ関西弁の演劇でね。観たのは観覧車に乗ってから降りるまでの男女の物語なのですけれど、その閉塞した空間という設定の中での心の機微にがっつり心を捉えられてしまって。
👩うんうん。
👨どちらもそんなに関東で観ることが出来る団体ではなくて。両方みたいとはおもっているのだけれど、ふたつが別々の組みでの公演なのですよ。
👩あー
👨両方観ると12000円なのでどうしようか、まだ迷っているのですけれどね。
👩うふふふ。
👨とはいえ、どちらの劇団も実際に観てすごくよかったので、是非におすすめしたいなぁとは思うのですけれどね。あと、今回のおすすめをもう一つ上げるとすれば、やはり「日本のラジオ」は外せないかなぁと。
👩それは外せないです。
👨こちらも3月の中旬になりますのでね。ただ、3月の中旬から下旬にかけてはスケジュールが詰まりきっていて、5連続マチソワとかで。
👩大忙しですね。
👨もうね、体がもつのかという・・・。まあ、その時期って佐藤佐吉演劇祭も佳境で、今言った関西演劇祭もあって、またアマヤドリの2バージョン公演があったりもして、もう大変なんですよ。そこに日本のラジオなんかもちゃんとあるわけじゃないですか。
👩悩ましい
👨もうね、業界で相談して適宜分けられないのかという話なんですけれどね。
👩それはねぇ、無理な話なのよ。
👨昔、演劇を作る側の方になんどか伺ったことがあるのですけれど、笑われるか、ため息をつかれるか、そんなこと出来るわけがないだろって切れられるかで。あぁ、ヤッパリ無理なんだと思いましたけれど。
👩あはは。
👨まあ3月も頑張って定期を利用しようとは思っていますが。
👩はいはい。
👨3月になったらもう少し暖かくなるといいですけれどね。
👩そうですね。
👨まあ、そんなところで、今回は終わりにしましょうか。
👩はい。
👨それでは演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。
👨また次回もよろしくお願いいたします。

ザ・ポケッt

                                    
(ご参考)
・猿若祭二月大歌舞伎 夜の部
一、 猿若江戸の初櫓
中村勘太郎、中村七之助、中村獅童
坂東亀蔵、中村萬太郎、中村種之助
中村児太郎、中村橋之助、中村鶴松
中村芝翫、中村福助

二、 義経千本桜 すし屋
中村芝翫、中村時蔵、中村梅枝
坂東新悟、中村梅花、中村又五郎
中村歌六

三、 連獅子
中村勘九郎、中村長三郎
中村橋之助、中村歌昇

・大統領師匠『ノーザンライツvsメキシカンギャング』
2024年2月17日~25日@「劇」小劇場
脚本 : 中田真弘(大統領師匠)
演出 : 佐藤信也(疾駆猿)
出演 : 遊佐邦博(大統領師匠)、平塚正信(殿様ランチ)、
音野暁(ロデオ★座★ヘヴン)、佐野功、
野口オリジナル(ポップンマッシュルームチキン野郎)、
山本恵太郎(-ヨドミ-)、桑山こたろう、石塚みづき、
渡辺実希(オフィス・ルード)、斉藤有希(@emotion)、
月岡鈴、山本美佳、小林未往(合同会社flipper)、
中山ヤスカ(-ヨドミ-)、程嶋しづマ(聖地ポーカーズ)

・劇団青年座『ぼっちりばぁの世界』
2024年2月15日~25日@ザ・ポケット
脚本 : 竹田モモコ
演出 : 磯村純
出演 : 尾身美詞、市橋恵、伊東潤、
綱島郷太郎、佐野美幸、角田萌果、
三浦拓真、山野史人、尾島春香

・ばぶれるりぐる『川にはとうぜんはしがある』
脚本 : 竹田モモコ
演出 : チャーハン・ラモーン
出演 : 
竹田モモコ、大江雅子、鄭梨花、
上杉逸平(メガネニカナウ)、窪田道聡(劇団5454)

(今後のお勧め)
・関西演劇祭 in Tokyo
2024年3月20日~24日@新宿シアタートップス
参加団体:
3月20日 PandA、無名劇団、
3月22日~3月23日 ArtistUnitイカスケ、MousePiece-ree、
3月23日~3月24日 餓鬼の断食、劇団イン・ノート

・日本のラジオ『蛇ヲ産ム』
2024年3月15日~19日@新宿眼科画廊
脚本・演出 : 屋代秀樹
出演 : 安東信助(日本のラジオ)、加糖熱量(裃-這々)、
こばやしかのん、沈ゆうこ(日本のラジオ)、
神藤さやか(神威少女パンク。)、日野あかり(日本のラジオ)、
松浦みる(青年団)

よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートは我々の会話をより多岐に豊かにするために使用いたします。よろしくお願いいたします。