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2023年8月13日の乾杯

新しい乾杯、猛暑の中、歌舞伎見物にでかけたおじさんとおねえさん。
見事な舞台に猛暑を忘れて、魚介類のおいしい居酒屋で栄養補給。
いろんな美味にも感動しつつ観てきた舞台について語り合います。

👱まずは乾杯しましょうか。
👩はい、そうですね。
👱乾杯!
👩乾杯!
👱それでは演劇のおじさんと
👩おねえさんです。
👱うん、おいしい。
👩おいしいですね。
👱今日は、八月納涼歌舞伎ということで、第二部を観たのですけれど。
👩楽しかった。とてもよかったですね。
👱よかったですね。第二部、まずは『新門辰五郎』ということで幸四郎さんと勘九郎さんという一番脂ののった俳優さんもご出演で見応えがありましたよね

歌舞伎座 ポスター

👩最近、古典的なものがと多かったというか。
👱歌舞伎の様式美が勝つお芝居が多かったから。
👩うん。
👱本当にお芝居を観たという感じで。
👩そうですねぇ
👱幸四郎さんと勘九郎さんがやりあうところが2度あったのですけれど、どちらも大迫力でしたよね。
👩本当に見応えがあって。おもしろかったっ。
👱固唾をのんで観るというのはああいうことかなぁという気がしましたけれどね。
👩あと、あれですね。客席には海外からのご旅行とお見受けする方も凄く増えて。
👱うん。
👩お休みでもあり、お客様が多かったのも嬉しかったですね。
👱やっぱり、海外の方にとっては日本に来たら歌舞伎を観るというのが、コースになっているのかも。
👩そうだね。あと、日頃あまり歌舞伎をご覧にならないかなという方もいらっしゃっていたみたいで。
👱やっぱりお盆ですからね。
👩普段観ることができないからとか、お休みがとれなくてとか。コロナ以降の中でもけっこうお客さんは多く感じましたね
👱少なくとも1階席は後ろの方までぎっちり入っていましたものね。実は私、今月は第三部もみているのですけれど、第三部はとても歌舞伎とは思えないような外連がたくさんあって。
👩うふふふ。
👱そもそも、最初、舞台に書割りらしきものがない。
👩へぇ、セットが組まれていない。
👱セットというか、歌舞伎座の回り舞台のあちらこちらに場面によって大道具が置かれて行くような感じ。だから広い舞台が全面使われて大きな旗が振られとんぼ切り放題みたいなアクションシーンになったりもする。
👩おもしろいね。
💁蟹の生春巻きでございます。
👱おお!
👩うわぁ、おいしそう。
👱きれいだねぇ。
👩うん。
👱あの、実は今日私たちは終演後銀座線の三越前まで用事があって参りまして、そのついでに「主水」という大通り沿いのお店に飛び込んだのですが・・。
👩ここは島根料理のお店なのですね。
💁はい。
👩おいしそうなものがたくさんあるよ。
💁あと、こちらが鯖のごま和えでございます。
👱はーい。鯖はねぇ、実は最近普通に食べられるようになった。
👩昔は食べられなかったのですか?
👱うん、小さい頃は鯖を食べると蕁麻疹が出ていたのでね。
👩ああー、そういうのは中々ねぇ。
👱おいしい。これは鯖とは思えない。鯖の概念を覆す味や。
👩そうでしょ。
👱鯖っていうと関西人にはバッテラのイメージもあるんだよね。あの酢締めというかこぶ締めにしたやつね。
👩うんうん。
👱まあ、さくっと場ホールでビールと思ってもいたのだけれど、歌舞伎を観た後はヤッパリこう言う料理がいいよね。
👩うふふ。
👱で、話は戻るけれど、第三部は横内謙介さんの作・演出で杉原邦生さんも演出に入られていて。それはそれで今風の良さっていうのはあって。テンポが早いし、さっきも言ったけれど美術も斬新で場によってはド迫力の歌舞伎座の舞台を奥行きまで使ってのアクションなんかもあったりして。でも、歌舞伎を観ているという実感はあんまりなくて、ちょっと2.5次元が頭に浮かんだりもして。それに対して第二部は生粋で活きのよい歌舞伎を観ている感じがしたものね。
👩はい。
👱高麗屋と中村屋というか、幸四郎さんにしても勘九郎さんにしても、この先の10年とか15年というのが満ちた体力と技量に支えられての一番脂が乗ってくる時期ではないかとも思って。
👩うんうん、そうね
👱それはかつて白鷗さんや亡くなった勘三郎さんが舞台で芸を競い合っていた時代の再来でもあるわけで、こうやってそのころの時代のことが再びやってきたのだろうなぁともおもったりして。
👩そうだね。
👱澤瀉屋さんは今大変なことになっているけれど。
👩うん…。
👱あれがどうなるかは心配なのだけれど、でもさ、聴かせどころのあるお芝居っていうのはやっぱりいいよね。
👩うん、ほんと。
👱で、その中で、勘九郎さんの芸風がどんどんお父さんに似てくるよね。
👩確かに。それは感じる。
👱それは、しっかり中村屋さんのお芝居をしているということなのだろうけれどね。
👩うんうん、そうね。脈々と受け継がれているというか。
👱芸風というか血がね。それは高麗屋さんもそうなのだけれど…ちなみに、あの子って勘九郎さんの息子さんだっけ。あの、丑之助を演じた子役のかた・・。
👩あぁ、どうだろ。名前はそうだったように思ったけれど。
👱ちょっとまってね、いま筋書きでみるね。・・ああ、勘太郎さんだね、勘九郎さんのご子息の。
👩ああ、可愛かったね。花道をとおったときに、
👱あの子もすでに貫禄があって。
👩堂々としているのだけれど、ほっぺが丸々と。子供のほっぺをしていて。
👱メイクもあるのだろうけれど、なんかパンパンとしていたよね。
👩うん。愛らしかったですよね。私、正直『新門辰五郎』を観てめっちゃ良かったから、『団子売』を観るのをどうしようか悩んだんですよね。『団子売り』も凄く良いから、こう、持って行かれてしまうのはいやだなぁと思って。実際ちょと持っていかれた感はあって。でも観て良かった。あんなに短いのに良さが凝縮されていた。
👱そうそう。日本舞踊の綺麗というだけではないね。こう躍動感があって。
👩文化や生活がにじみ出てくる感じ
👱うんうん。
👩お家によって違うんだよね
👱イヤホンガイドでもおっしゃっていましたね。
👩全部観たくなっちゃう。
💁穴子のてっさぽん酢です
👩あらら、おいしそう。
👱あなごのてっさというのも良いよね。大阪だと冬にふぐのてっさを食べることはあるけれど、あなごのてっさという趣向は初めてかも。
👩うん。
👱ちょっとだけ湯引きしているのかなぁ。でもぽん酢にあう。なんぼでもいける、これ。
👩うんうん。
👱話はもどるけれど、たとえば玉三郎様が舞うときのお姿はそれはもうスキルも高いし美しいし観ていてほれぼれするのだけれど、これもさっきの話とも繋がるのだけれど、やっぱり身体が満ちて高い能力があるなかでの踊り、
👩身体的にね
👱そう。その中でのたかみに至った踊りというのもいいなぁと思って、
👩そうだね。そこもいい。今回、なんだろ、歌舞伎を見始めたころとは全然違ってみえて。
👱それは歌舞伎自体のということ?それは私も凄く思うのだよね。ひとつには昔みたものと比較して観ることができている。
👩うん。
👱だれだれのというのがあったときに、 あの人のこれとこの人のこれは違うのだなぁとかね。
👩そうだね。
👱歌舞伎を見始めたころというのは、ルールとかしきたりとか、たとえばその時の所作とか、そもそもの歌舞伎用語みたいなものがまず気になってさ。で、そういうことのベースのいくつかは今度松本の芸術監督をされる木ノ下祐一さんなんかのアフタートークや講座などで学んだりもしたのだけれど、実際そういうのに惹かれ助けられけっこうしっかりと役に立ったりもしてね。
👩うんうん。
👱そういうときに心に留めておいた知識が実際の歌舞伎の中ですっと実感になるおもしろさみたいなね。歌舞伎って舞台の組み方にしてもいくつかあるじゃないですか。能楽に近い物とか、浄瑠璃や義太夫で語っていく物とか、そういうのではなくてお芝居で進めていくものとか。そういうことも基礎知識の教えて貰ったので。
👩なるほど。
👱でも、最近はそういうのが無意識になったというか、すっと馴染むようになったというか、良い意味で一旦知識に戻らなくても自然に受け入れられるようになっていて。
👩うふふ。より楽しめるようになりました。
👱お浄瑠璃で表現されることとか、義太夫でのト書き語りみたいな物とか、それぞれのテイストが直感的に面白いと思うし。なんか自然にいろんなことが身についてきたのかなぁ。その身につくというのがけっこう良いのかも知れないとかおもったりして。
👩自然に見えたりとか、今まで見えなかったところが見えてくるというのがあるのかもしれませんね。
👱うん。で、一方では今日の新門辰五郎と会津の小鉄さんの、というか幸四郎さんと勘九郎さんのお互いの強さとか男気の表現の仕方というのは現代演劇ではなかなか表現しえないなにかがあるじゃない。
👩うん、そうだね。
👱そういうあたりの歌舞伎の良さとか力も実感するようになったし。
👩うん。
👱やっと歌舞伎が体に少し馴染んできたというか、末席の更に末席だけれど、歌舞伎好きのその末席にいられるようになった気がするんだよね。
👩うふふ。私はまだ全然だけど。おじさんの方がそういうのはいっぱい観ているしね。そういうのってあるかもね。
👱あと、なんだろ、新しいことにチャレンジする大切さも伝統のものを繋いでいくことの大切も、やっとすこし理解ができるようになった気がする。
👩なるほどね。
👱筋書きの後ろの方に上演演目が過去にはいつ上演されたかとかどのお役を誰が演じたかということが一覧になっているじゃないですか。本当に歌舞伎の楽しみ方をご存じの方々って、以前にあのひとがこのお役をされたときにはどうだったのかとかその息子さんがおなじお役だとどうなのかとか、いろいろ思い出したり想像したりで楽しんでいるのだろうなぁとも思うのね。
👩そうね。
👱そう考えると、たとえば澤瀉屋さんが今後、澤瀉屋さんが持っている演目もたんとあるから、そういうものを誰がどう繋いであの筋書きの表に刻んでいくのかとかね。
👩若手というか新しいひとたちというかフレッシュな俳優も良いお役で舞台にどんどん立っているのだから。新鮮だなぁと思うことも増えたから、最近は。
👱毎年お正月に浅草公会堂で「新春浅草歌舞伎」ってやるじゃないですか。若手の花形役者勢揃いみたいな感じで。
👩ああ、あそこでやるんだ。
👱あれだと、歌舞伎座に比べてお値段もお安いし、あそこで力を蓄えた俳優が更にお役をいただいて活躍していくわけじゃないですか。今年も、松也さん、己之助さん、種之助さん、橋之助さん、莟玉さん、隼人さん、新悟さん、歌昇さんと、若手の豪華な面子だったみたいだし、来年は是非に観に行きたいなぁと思う。なんか、そういうところから観ていくのも楽しいのだろうなぁって。
👩だから、ずっと観続けられて行くのだろうなぁと思う。あぁ、これ食べてくださいね。私はけっこうお腹に溜まってきて、でも、割子そばはどうしても食べたいから。
👱うん。
👩しじみのお汁も頂きたいし。
👱お願いしたら?
👩すみません、しじみ汁をお願いします。
💁おひとつですか?
👱私も。
💁おふたつですね。
👱はい。私、最近しじみの砂出しがちゃんとできるようになりましてね。
👩そうなんだ。
👱うちの近所のスーパーって、しじみが概ね島根県産なのですよ。
👩ヤマトシジミ?
👱ヤマトシジミという名前なのかどうかは知らないけれど、島根県宍道湖産って書いてあって。
👩じゃぁ、多分ヤマトシジミだとおもう。
👱いうてもスーパーだから高級品ではなくて、小さめのしじみなのだけれど、美味しくて、時々無性に食べたくなって買ってしまう。それで、台所で食塩水でおもてなしをして、砂吐いてねってお願いするの。シジミさんから取れる出汁ってオルニチンとかアラニンとか亜鉛とか栄養成分がたっぷりじゃないですか。
👩うん、そうなんだよ。お酒にもよい。
👱では残りの鯖をいただいてしまいますね。ちなみに今日はドブ席だったじゃないですか。
👩ドブ席?
👱ああ、花道より更に下手にある席をドブ席って呼ぶみたいなのね。
👩音が悪いね。良い席なのに。
👱でも、今日も勘九郎さんの最初の見せ場の時には目の前にトビの面々のお尻がずらっと立ちはだかったじゃないですか。
👩ああ。
👱そうやって見えにくい時間もあったりして、最上の席というわけではないじゃない。
👩近くて嬉しいけれど。
👱私も最近あの席の魅力に嵌っているから、チケットの争奪戦をするときにまずあそこの席をみるのだけれど。あの、帰ってくるときの役者の表情がめちゃめちゃ好きなんですよ。
👩そうですよね。あれはめちゃめちゃ良い。表情をちゃんと観ることができるからね。
👱そうそう。
👩以前のように花道上手側の後ろとか2階席で全体を見るのも良いけれど、一度だけとても前の方で観たとき、あれ何列目でしたっけ、
👱あぁ、あれは8列目じゃなかったっけ。
👩あれだけ前だと表情が凄くよく見えて、いままでと見るところが変わるなぁとおもいましたね。
👱うん、たしかに世界がかわるよね。
👩表情とかそういうところが見えると。花道の脇だと出捌けの時に表情がみえるから、これは凄くいいなぁと。
👱だからドブ席や、全体をしっかり見ることができるということで一番隅の席を好まれるかたもいらっしゃるみたいなのですよね。
👩わかる。
👱でもさ、言った通り今回の歌舞伎は3部制じゃない。
👩うん。
👱私は、二部と三部を観て、なんか二部の方が歌舞伎を観たという気持ちにはなったのね。
👩なるほど。
👱三部は三部で、なんだろ、海外の方があれを観るとかなり惹かれるかもしれないとか覆った。殺陣なんかのスピード感も抜群にあるし、華やかさもあるし、ちょっとアニメっぽいところもあってわかりやすかったし。
👩それもあるかもね。海外からの旅行者向け?
👱もちろん若い観客を取り込もうということや、歌舞伎における新たな表現のトリガーを見つけていくみたいな意図もあったようにはおもうのだけれどね。いろんな戦略が松竹にはあるのだろうなぁって。
👩うんうん。
👱ところで、今日の『新門辰五郎』、半鐘の鳴らし方にも感心して。後ろの方から絶妙な音のボリュームで聞こえてくるじゃないですか。
👩そうそう。
👱なんとも場の臨場感があって。舞台と花道というだけではない劇場全体で作る立体感で見せるというのもいいなぁと思って。 
👩うん。
👱まあ、それは今に始まったことではなくて、三部であった宙づりにしても澤瀉屋さんが得意ないろんな外連にしても、歌舞伎の観客を楽しませるための工夫なのだとは思うけれどね。
💁岩牡蠣でございます。

三越前 主水


👱えっ。でか!なんか凄いねぇ。
👩うふふふ。
👱私は生牡蠣が駄目な人だから、そんなに見識があるわけではないけれど、でもこれってでかくないか。
👩頂きます。すみませんね。
👱どうぞ。でもなんか、ここまでいろいろと控えめに召し上がっていたわけがわかったような気がする。
👩・・・。
👱うん、美味しいんだね。
👩・・・・・美味。
👱ところで、この間根本宗子さんがKAATで作った『くるみ割り人形外伝』を観てきたのね。KAATのキッズプログラムの中の一つなのだけれど、そこに中村鶴松さんがご出演なのよ。

KAAT 神奈川芸術劇場


👩・・・ちょっと待って。
👱あぁ、はいはい。でも牡蠣はねぇ。私って牡蠣フライも最近やっと克服したばかりだし、生牡蠣を食べるのはケイジャンスパイスと一緒じゃないと駄目なのよ。
👩・・・。美味しい。超濃厚。
👱ケイジャンスパイスを振りかけると牡蠣を食べているのかケイジャンスパイスを食べているのかが分からなくなるじゃないですか。
👩滅茶滅茶おいしい。
👱おいしすぎて人のはなしを聞いていないなぁ。で、そろそろ話題を戻してもいいですか?
👩うん。
👱音楽はチャラン・ポ・ランタンとカンカンバルカン楽団の皆様で小春さんがステージで美しくアコーディオンを奏でるしももさんの聞かせどころもたっぷりあるし。根本さんの舞台によくご出演される山之口理香子さんのバレエはきっと子供達の心も釘付けにするだろうし。あと一色洋平さんってご存じですか。
👩あぁ、存じ上げております。
👱昔から体も演技も切れてる彼が狂言回しとか物語を支える役をしっかりと務めて。
👩一色さん!!
👱あと子役の女の子も本当に歌って踊ってメリハリを持ったお芝居が出来る方で。で、パートナーカップルのもうひとりの彼女のお父さん役を一色さんと務めるのが中村屋、中村鶴松さんなんですよ。
👩なるほど。
👱もうバリバリの歌舞伎役者だからそりゃお芝居も上手いし、歌舞伎の所作や日本舞踊の修行が出来ている方だから兎のぬいぐるみを手に填めて舞台を横切るだけでその所作の柔らかさに目を奪われる。
👩うんうん。
👱見栄なんかも切ったりしてね。中村屋さんの本物の見栄をみた子供達には、なんだろ、大人になって歌舞伎の見栄を観たときに記憶のリンクというか響きの違いが残るような予感もするのね。あと、歌舞伎っぽくしんしんと降る雪を解説付きで太鼓の音で表現したりもするのだけれど、そういう知識というか歌舞伎やお芝居を観る面白さなんかも編み込まれていて。根本さんって昔から梨園の方々とも繋がりをお持ちみたいで、そういうところも生かして彼女だからできる舞台を作ったのだなぁとも思った。
👩はい。
👱なにか、根本さんが演劇や音楽やバレエ、そしてもちろん歌舞伎をたくさん楽しめるように子供達に体験の種を蒔いているようにも感じてね。作品自体も大人の鑑賞にも十分なクオリティでほんと楽しかったし、時間を忘れて見入ったけれど、そこから溢れる彼女のその志に胸が熱くなったりもした。まあ、直接関係することではないのかもしれないけれど、今日の歌舞伎を観て、根本さんのそんなことも思い出したりもして。
👩観る方も成長というか教育していかなければいけないから大変だよ。
👱演劇というのは、ある意味舞台の向こうとこちらの共同作業だからね。根本さんは舞台でも台詞や歌にのせて子供達に向かって何度も言うの。「想像することはなんだってできる」って。
👩なるほど。
👱物語は女の子が「クリスマスなんていらない」と言ってしまったものだから、サンタクロースが拗ねて世界からクリスマスがなくなってしまうという話しなのだけれど、まあいうても根本さんは書けるからね、サンタクロースにもなにかをすることがあることで初めて生きがいを感じることができるというのは、子供達だけではなく会社勤めをしているお父さんにも響いたりたりもして。
👩うんうん
👱それと、チャラン・ポ・ランタンとかカンカンバルカン楽団っていうのも改めて凄かった。小春さんのアコーディオンを奏でる姿には年齢を問わず見惚れるだろうし、ももさんの歌にも聴き惚れるし。正直子供達を60分間黙らせるというのは大変なことだと思う訳よ。
👩そうだね、
👱ちょっと後ろの方の席で観て他のだけど、子供達がみんな固唾をのんで観ているのよ。
👩凄い、夢中にさせたんだ。
👱そう。夢中になったということはとても大事で。絶対にそういう記憶って忘れないじゃないですか。
👩うんうん。
👱もうひとつだけお芝居の話をするとさ、昨日劇団ダブルデックという団体の公演を観てきたの。

シアター風姿花伝


👩うん。
👱それなりに実績のある団体らしいのだけれどコロナで暫く公演ができなくて4年ぶりだったらしいのね。
👩はいはい。
👱私は初見の団体なのだけれど。ストーリーはちゃんとあってね。
👩うん。
👱でも、時々ドリフターズが顔をだすのよ。
👩えぇ?
👱2020年のオリンピックになぞらえて、いろんなゲームというか競技をやらせて、デビ婦人がついていて優勝者には1億円プレゼントみたいな話なのだけれど、それがコロナで一旦中止になってしまって、新たに作り直そうとするけれど、参加者それぞれに事情があってみたいに進んでいくのね。そこに物語の確かさとは別腹で差し込まれるいろんなことがいちいち凄くおもしろいのよ。あのセンスってなんか嵌りものになりそうな気がして。
👩ほうほう。
👱ちゃんと密度があって笑いがしっかりととれるというのはコメディのひとつの理想じゃないですか。まあ、一作だけではわからないのだけれど、また観たいなぁとは思った。
👩うん。ところで、私、割子そば2枚はちょっと多かったかなぁ。おじさん、食べられます?
👱はい、私はせいろそばとかも2枚盛りで頼む人なんで、この量をもう一枚だったら全然大丈夫です。
👩割子そばってあんまり東京にはないように思うのだけれど。おじさんは割子そばって初めてですか?
👱多分まっとうなやつは初めてじゃないかなぁ。あの、新潟の方にへきそばってあるじゃないですか。
👩海藻とかを練り込んでいるお蕎麦でしょう。
👱私は一時期出張で季節ごとに新潟とかにいっていた時期があって、そのたびにへきそばをごちそうになっていたから今でも時々食べたくなる。まあ、一応ご接待じゃないですか。相手のことを考えるとお蕎麦って丁度よいし私も好きだったから。
👩なるほどね。相手もよかれとおもって。
👱ということで、そば好きのおじさんはおねえさんのおそばを一枚いただくね。
👩よろしくお願いいたします。
👱・・・やっぱりおいしい。3枚だったら楽勝でいけるわ。ところで劇団ダブルデックの話に戻ると、おかしさを編み込むには、やっぱり基礎の物語がしっかりできていることが大切だと思うんだよね。作家さんがそこをきちんとできてるから、日替わりゲストでいろんな人がきてもヘタレないでその良さを引き出すこともできるのだろうし。私が観た日には昼がさんなぎさんで夜がNACK5などでパーソナリティをされている斉藤百香さんというフリーのアナウンサー兼女優の方だったのだけれど、夜を観て斉藤さんが生かされているなって感心したし昼も評判がとてもよかったみたいだし。喜劇を作るというのはセンスの部分って大きいじゃないですか、作家のゴロ六郎さんにはそのセンスをとても感じて、またひとつ良い劇団に出会ったと思った。
👩新しい劇団とも出会っているんですね。
👱それもお芝居を観る楽しさの一つだしね。
👩なるほど。それにしても食べた。
👱まあ、あの牡蠣の大きさだとそうなるよね。
👩満足です。
👱あと、今後のお勧めをすこしだけしておくね。
👩はいはい。
👱9月に入ると大川企画の公演がありまして。中野坂上デーモンズをされていた松森もへーさんの作・演出・出演でね、もへーさんの作品としてはこれまでとはまたひと味違った俳優があつまったりもして、面白そうだなと。
👩うんうん。
👱あと、劇団MCRもまたあるしね。
👩うわぁ、それは!!
👱ところでおねえさんは最近なにかおもしろいものを観ましたか?
👩歌舞伎、落語。そのほかにオンラインで舞台をみたり。改めてオンラインで舞台を観ることができるのはいいなぁ。最近はけっこうクオリティの高いものも増えてきたんだよね。TRPGが元の舞台とか。朗読劇。『異説狂人日記』とか。
👱はいはい。野口オリジナルさんが凄くよかったですよね。
👩あれは何回もいうけれど、とてもとてもよかったですよ。
👱そういえば、たまたま小松台東を観たときに次回公演のポスターが貼ってあって気がついたのだけれど、なんかスズナリで『観るお化け屋敷』みたいな企画もあるみたいで。これがアップされるころには終わってしまっていると思うけれど。
👩???
👱劇場ではあんまりお化け屋敷って言わないじゃないですか。
👩ふんふん?
👱私はいけないのだけれど、ちょっと何をやるのかなぁって。
👩気になる。
👱ちなみに、小松台東もとてもよかったよ。松本さんの時間の組み上げ方にはほんといつも惹かれる。
👩うんうん。
👱そうして、それらが一段落したらほんともう9月ですものね。そのころには少しは涼しくなっているとよいけれど。
👩そうですね。では、名残りおしくはありますが本日はこのあたりにしましょうか。
👱そうですね。それでは演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。
👱また次回をお楽しみに。

歌舞伎座 2階ロビー

(ご参考)
・八月納涼歌舞伎第二部
2023年8月5日~27日
ー新門辰五郎ー
作:真山青果
演出:小田紘二
出演:
新門辰五郎 幸四郎
会津の小鉄 勘九郎
芸妓八重菊 七之助
九紋龍の定五郎 男女蔵
秋葉屋のお六 廣太郎
堂前の庄吉 廣太郎
三春の猪之吉 橋之助
花川戸の小竹 中村福之助
海苔屋の久次 虎之介 
馬道の清五郎 歌之助
天狗党都築三之助 染五郎
辰五郎伜丑之助 勘太郎
寄席の女主おとめ 梅花
用心棒黒部六之進 吉之丞
会津巡邏隊佐瀬得司 宗之助
茶屋亭主万兵衛 錦吾
金看板の源次 猿弥
目明し弥太吉 片岡亀蔵
山谷堀の彦造 隼人
山井実久 獅童
絵馬屋の勇五郎 歌六

ー団子売ー
杵造 巳之助
お福 児太郎

・ KAATキッズ・プログラム2023
『くるみ割り人形外伝』
2023年8月5日~13日@KAAT神奈川芸術劇場 
脚本・演出:根本宗子
音楽・演奏:小春(チャラン・ポ・ランタン)
振付:山之口理香子
出演:大橋凜乃(Wキャスト、澤田杏菜(Wキャスト)、
中村鶴松、一色洋平、もも(チャラン・ポ・ランタン)、
山之口理香子
演奏:
小春(チャラン・ポ・ランタン)[アコーディオン]
―カンカンバルカン楽団―
ふーちん[ドラム] さくらん[ベース] オカピ[サックス]

・劇団ダブルデック『2020ネンマツ?』
2023年8月⒒日~13日@シアター風姿花伝
脚本・演出:ゴロ六郎
出演: 吉川瑛紀、ワタナ・ベリヨ(劇団美辞女)、
マタハル(坊ちゃん嬢ちゃん)、加藤将隆、
小山ごろー、田口ともみ、星ノ谷夏々、
サミゾノタカシ(正直者達)、きしみとり、
鶴たけ子(声の出演)、
中川慎太郎(8/11・13:00のみ)、松島やすこ(8/11・18:00のみ)、
さんなぎ(8/12・13:00のみ)、
斉藤百香(俳協)(8/12・18:00のみ)、
松原圭(8/13・12:00のみ)、
中野直重(中野直重興業)(8/13・16:00のみ)

(今後のおすすめ)
・大川企画『笑う』
2023年9月6日~10日@王子小劇場
脚本・演出:村松モヘー
出演: 踊り子あり(はえぎわ)、宝保里実(コンプソンズ)、
奥泉(あんよはじょうず。)、松森モヘー(中野坂上デーモンズ)

・MCR『絡め取りプリンセス投げ』
2023年9月13日~17日@中野 劇場MOMO
作・演出:櫻井智也
出演;稲葉捺月、樋口双葉(マチルダアパルトマン)
瀧澤依由(BuzzFestTheater)。若月海里。夏アンナ
堀靖明、日栄洋祐(キリンバズウカ)、
櫻井智也、おがわじゅんや、北島広貴
上田房子、伊達香苗

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