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ドナベディアンモデル

今回は人材育成について少し・・・
難しい話です。難しいとは実際行うには〜という意味です。

もくじ
1 やはり目的は大事
2 ドナベディアンモデル
3 新たなモデルを目指し

1 やはり目的は大事

人材育成や教育モデルは、実際の運用はとても難しいものです。
キャリアラダーやクリニカルラダーの指標が

業界特有のものがありそうでないのが現状

で、このことは山下らの研究者も指摘しています。

●山下淳一 堀本ゆかり リハビリテーション専門病院における臨床能力評価尺度(CEPT)を用いた初任者教育の効果検証 理学療法学 34(1):47ー51.2019


まずきちんとした教育システムを運用しようとすれば、それは実際には教育システムの立案からはじまり、試行錯誤を繰り返さなければならないので、実に労力がいる仕事です。

一人で考えるには不十分な面もあるため、企画実行委員の立ち上げが必要でしょうし、グループ施設なら複数の代表者が一堂に集う会議が必要です。

そこでやはりどうしても大切だと感じるのは、どこに向かうのかという、到着地点の設定だと思います。

接遇やコンプライアンスなど、身に付けるべき項目は複数あれど、どこに向かうのか?という落とし所となるゴールが必要不可欠です。

いわゆる目的と目標、長期ゴールと短期ゴール、という設定です。

このことはコンピテンシーなどとして近年随分と意識されてきました。

●堀本ゆかり 勤務領域間でのコンピテンシー特性の比較 理学療法学 31(4):575ー580.2016
●吉岡由喜子 現代の医療現場を生き抜くために、看護師に求められる人間力の検討ー「生きる力」・社会人基礎力・「キー・コンピテンシー」の比較考察を通じてー 太成学院大学紀要 論文 第16巻(33号)PP.157ー165.2014


私たち理学療法士は、患者様の目標設定は仕事柄得意分野です。複数の職種と協同し、より良い目的(ゴール)を目指して今取り組むべき目標(短期的なゴール)を軌道修正しながらクリアしていきます。

しかしながら自分たち自身の進むべき目的のゴール設定に関しては、十分ではないと実感しています。


2 ドナベディアンモデル

医療業界、リハビリ業界、理学療法分野の「質」の低下が叫ばれている現代。
質を上げましょう、質を上げましょう…と非常によく聞くようになりました。

聞き慣れない言葉に「ドナベディアンモデル」というものがあります。

恥ずかしながらかく言う私もつい最近耳にしました。
管理者研修や生涯学習プログラムで学びました。
どちらも、人材育成・教育管理における第一人者である亀田グループの村永信吾先生から拝聴させていただきました。
簡単には以下のURLも参考になります。

https://resilient-medical.com/nurse-management/medical-quality-evaluation

ドナベディアン(Dona-bedian,A.1919-2000)
レバノンのベイルート生まれ。ベイルートアメリカ大学で医師免許を取得。卒業後にハーバード大学公衆衛生大学院で公衆衛生学の修士を取得。ベイルートアメリカ大学、ハーバード大学公衆衛生大学院、ミシガン大学、ニューヨーク医学校などで教育者として活動。米国国立科学アカデミーのメンバー。ミシガン大学で教授をしていた時に医療の質評価のドナベディアンモデルを提唱した。

ネット上ではドナベディアンのことを先のように記されています。

ドナベディアンモデルは「医療の質の指標化」を重要視しています。
ドナベディアンモデルの本質は、

「構造(structure)」→「過程(process)」→「結果(outcome)」

という3つの側面から成り立ちます。


例えば・・・
一杯のおいしいラーメンで表現してみますね٩( ᐛ )و

おいしいラーメンを作る本質は、
構造(structure)・具材はどうするか?
基本的なスープの味は、醤油?塩?味噌?
豚肉?鶏肉?
トッピングは??
過程(process)・仕込みの手順は?
まずスープの材料を集める→寸胴に具材、水などを入れる→など…
結果(outcome)・美味しくて客が集まる指標とは?
1日あたりの売上・アンケート調査…

という感じです。


では医療(リハビリ)業界ではどうしょう?

良質なリハビリテーション提供の本質は?
(個人としての成長戦略として)


構造(structurge)指標
・自身の目指す分野・方向性
・情意領域、認知領域、精神運動領域
過程(process)指標
・新プロ履修、生涯学習履修
・学会発表、論文投稿
・大学院進学
結果(outcome)指標
・認定、専門などの修了証
・学位取得
・ラダーレベル、コンピテンシー達成度

と表現できるでしょうか?


3 新たなモデルを目指し

いずれにしても簡単なことではありません。

まずざっくりとですが、目指すべき理学療法士像(人材育成の目的)をどのように設定するのか? これが定まらないことには目標が決まりません。

先に示しましたドナベディアンモデルも、目指すべき理学療法士像を定めることによって、何通りもの設定ができてしまいます。

これを実際に運用しようとなれば、代表的なPDCAサイクルを回して軌道修正したり、自身の気づきを増やすことをしていくと思います。

ラダーにしても、より丁寧に、より専門的に、と高みを目指せば確認項目も増え、自身も評価者も段々と疲弊してしまうと考えられます。

この業界は質が落ちた、質が落ちた、とよく言われてしまいます。こう言われないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?

組織は個人を守ってくれますが、個人は組織を守ろうとはしないものです。
組織は個人を守ってくれないよ!って思う人は、少し考えを広げないとなりません。

複雑なルールより、出来るだけシンプルで、かつ本質的であり、実践的である仕組みづくりが望まれます。

最近注目を集めているGoogleの人材育成戦略である、心理的安全性。

まさにこのことは、我が業界に非常に重要な示唆を与えていると感じます。
さらに、人の悩みの全ては人間関係である、と唱えたアドラー心理学の理念を加えると、より自律的に各人が行動に移していけるのではないかと考えています。

人材育成、ラダー、PDCAサイクル、どれを取ってもつまり最終的には、自分が気づいて自分が行動に移せることがとても重要であると思います。そうでないとずっと他者依存のままであり、自尊感情の高い幸福な人生を歩んでいくことは難しいのではないかと想像できるからです。

新しい人材育成のためのツールとしてアドラー理論を推奨したいです。
次回そのようなことを中心にお示しします。

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