チャッターアイランド vol.21

『チャッターアイランド』はDJ/プロデューサーのokadadaとDJ/ライターのshakkeがしゃべったことを記録する、という趣旨のテキスト/音声コンテンツです。忙しかったりサボったりで長らくお休みしておりましたが、今後もボチボチやっていきます。(※2022年8月7日収録)

シャケは元気です!

okadada なかなか更新がない、と。
shakke はい、すいません。それはね……
okadada (チャッターアイランドは)終わったのか、と何回か訊かれましたが。
shakke あ、マジ? ハハハ。
okadada  “待ってます”と何度も訊かれましたが、あの、シャケちゃんがね。
shakke はい、6月の頭のほうに骨を折ってしまいまして。
okadada 右足?
shakke 右足のすねの骨を折って、そっから20日間くらい入院して、もう退院してるんだけど、ちょっとそれでバタバタしておりまして。
okadada 20日! 20日も入院してたん!
shakke そう、20日もいた。
okadada っていうことは3週間くらい。
shakke そうだね、それくらい。
okadada えぇ、めちゃめちゃでしたね……。なにして折ったんですか? そういえば経緯をちゃんと知らない。
shakke えっとですね、経緯としては、VaVaちゃんとOMSBくんの2マンツアーにライブDJで参加してまして、その新潟公演のとき、ライブ終わりでステージ袖から降りるときに、天井に頭ぶつけながらミニ階段みたいなやつでコケてしまいまして。コケた瞬間に“あ、もう折れた”ってなって病院に緊急搬送。そこから新潟でギブスをしてもらい、その時点からツアーを離脱。地元の病院に行っても“ここではすぐに手術できない”ってなって、八王子の大学病院を紹介してもらって手術、そんで入院、って流れっすねぇ。
okadada いやぁ、相当でしたね、それは。
shakke けっこうね、パッカリ折れてたね、レントゲン見たら。でも、おかげで変に関節とかに干渉しなかったから、それはよかったなって感じですけど。
okadada いやぁ、それにしてもねぇ……。
shakke で、まだリハビリ中。基本は松葉杖で、足に体重かけちゃいけない状態で。やっと再来週くらいからちょっとづつ体重かけて2本足で歩こうって感じだね。
okadada うーわっ、2本足で歩けへんねや、いま! 人間以下やん!
shakke そう、人間以下。
一同 ハハハハハハハハハハ!
okadada いやぁ、それは大変でしたね。おつかれさまです、ほんとに。
shakke いやいやいや、そのあいだにいろいろ滞ってしまい。聴いてもらってるみなさんにはご迷惑、ご心配おかけしましたが……元気です!
okadada わたしは元気です、と。お便りが届きました。
shakke ハハハ! 埼玉から。

大人の遊びとは

shakke 大人の遊びみたいなの、ないねえ。
okadada 大人の遊びね。いままでなにしました?
shakke たとえばどういうのがあるんだろう、大人の遊びって。
okadada ゴルフとか。
shakke あぁ~……大人だねぇ!
okadada  ハハハ! “大人だねぇ!”っていう言い方がもう大人じゃないもんな。
shakke 部屋とかに置くパターゴルフみたいなやつしかやったことないね。そのレベル。
okadada 社長室とかにあるやつね。
shakke そうそう。えっ、オカダさんもゴルフしたことないでしょ?
okadada あります。
shakke あるの!
okadada 親と行ったことあります。
shakke ……おっとなじゃ〜ん!
okadada  言い方すごいな。
shakke  打ちっぱなしとかも行くんだ、じゃあ。
okadada 1回くらいは行ったことあるかなぁ。
shakke おいおい……おとなぁ~。
okadada ハハハハハ。
shakke えぇ、ヤバイ! 大人っぽい遊び、ひとつもしたことないかも。浮かばないもんね、まず。
okadada なんやろ? 葉巻とかじゃないっすか?
shakke あぁ、もらったことがあるくらいで、自分で買うのとかはないねぇ。
okadada たしかにあんまりわかんないですね、大人の遊びっていうのも。
shakke 芸者?
okadada あぁ!いやぁ、ないなぁ。
shakke あれもね、いろんな問題を孕んでるって最近はわかってきたけど。芸者遊びとかはもう階級がちがう感じがあるっていうか。
okadada というか、こんなこと言うと元も子もないっすけど、そもそもしたいかっていうね。
shakke そうだよ、それでいったらキャバクラもよくわかんないしね。
okadada オレも行ったことないなぁ。
shakke なんか1回行ったことあるけど……“う〜む……”って感じだったな。
okadada ちょっと無理なんじゃないですか、我々は。気ぃ使うでしょ、たぶん。
shakke うん、気ぃ使う。
okadada オレも絶対そうなんですよ、行ったら。“ありがとうございます、気を使っていただいて……”みたいになるじゃないですか、嬢に対して。あそこで“オイーッス!”みたいな感じになれないでしょ。
shakke オラオラな感じでいけないよね。
okadada オラオラもそうだし、もてなされ慣れてない、みたいなのないですか? もてなされることに……警戒心みたいのがあるじゃないですか。
shakke ハハハ! でも、たしかになくはないね。
okadada リスのように震えてるじゃないですか、基本的には。
shakke 完全に震えてる。
okadada “うむ、苦しゅうない”みたいな顔できますか? できないでしょ、たぶん。
shakke いやぁ、むずかしいね。
okadada “苦しゅうないぞ、こっちゃ来い”みたいな。
shakke 行く人からしたら“そういうのもコスプレの範疇だから楽しめ”って言われるけど、それも柄に合わないっていうね。
okadada こないだ、ひさしぶりに会った友達と飲んでて。そんときに“できひんことってあるけど、殻を破んのってむずかしいよね”って話になって。 
shakke そうねぇ。
okadada “どうですか、1回縛られてみたらどうですか?”みたいな話になって。首輪とか付けられてみたらいいんじゃないですか、みたいな。
shakke あぁ、なるほど。
okadada それされて“ありがとうございます!”みたいにいまはぜんぜん思わないですけど、やってみたらなにか変わるんちゃうかと。思わないですか、やっぱり。
shakke でも、それで“自分のなにかが変わる!”とか考えてるうちはできないんだろうなって思うね。
okadada ああ、なるほどね。
shakke なんかそこに付随するものを貧乏性込みで開眼させるとか、そういうマインドじゃあ楽しめないんだろうなって思っちゃう。
okadada ハハハ。そうか、こんなこと考えてる時点でおまえは無理だと。
shakke そうねぇ。ああいうの楽しめるひとは柄としか言いようがないという気が……。これはディスでもなくね。楽しめるひとはうらやましいとも反面思うし。
okadada やっぱ臆病者やと。
shakke 臆病者……我々は臆病ってことに尽きるね。
okadada ハハハハハハ!

okadada (大人の遊びの紹介サイトを見ながら)グランピング、キャンプ、釣り、ピクニック……ピクニック? なんかこのサイトすごいな。こどもやん。海水浴、美術館めぐり……
shakke えー、ちがうちがう! そういうのじゃないんだよ!
okadada ハハハ! どういうのや。
shakke もっと金のかかる無益な遊び、みたいなさ。なんにもならないような。
okadada それいうならギャンブルとかになるんじゃないっすか?
shakke ギャンブルもしたことないねぇ。
okadada パチンコは行ったことあるけど、なんにもわからんかった。
shakke オレも1〜2回くらいかな。
okadada 競馬は行ったことあります?
shakke 親父が競馬好きで、こどものころに場外馬券売り場とか付き添ったことあるけど、自分が買うのはやったことないね。
okadada 競艇、競輪とかね。
shakke 今度チャッターアイランドで行ってみてもいいかもね。
okadada あっ、それは意外といいかもしれない。
shakke 場外馬券場とかでさ。
okadada いや、競馬場行ったほうがいいんじゃないすか?
shakke でも競馬場だと素直に公営ギャンブルって感じにならないじゃん。いまの競馬場って楽しめるらしいし。
okadada あぁ、馬を見る楽しみみたいなのが余計だってこと。
shakke そうそうそう。やっぱ公営ギャンブルをフルで浴びるには場外馬券場のいなたい感じがいい気がする。
okadada 昼間から飲んでるジジイとか見て。
shakke そうそう。渋谷とかにもWINSあるでしょ。
okadada ありますね。大阪住んでたときもなんばのWINS近かったんで、前を通ったら、本当にベタな、あの例の帽子みたいなんわかります? なんか四角いヤツ。
shakke ハハハハ、はいはい。
okadada あと灰色のジャンパーと。なんかユニフォームなの? って思うくらいベタな服装のひとがいっぱいいたの覚えてますねぇ。
shakke 東京のWINSでもひざから崩れ落ちてるひととかいるからね。
okadada ひざから崩れ落ちてるひと、見たいな!
shakke いやぁ、でもかわいそうっていうか、いたたまれなくなっちゃうような気もちょっとするけどね。
okadada でもこんなこと言ってるからダメなんでしょうね。さっきの話で言うと、自ら膝から崩れ落ちに行かなあかん、ってことですよ。
shakke そうね。こちら側がね。
okadada そうそう。“ぐわぁ! 今月の給料が!”みたいな体験をね。
shakke ハハハ! そうだよね。やっぱどっか物見遊山なところがあるね。
okadada そうなんですよ。もっと破壊的にならないと。自分を……自己破壊。
shakke それはあるね!
okadada 自分を壊していかないとダメですよね。やっぱ、クラブとかでもずっとうしろで見てたらダメなんですよ。たまには参入しないと、場に。
shakke たしかにそれはそう。ずっとうしろで腕組んでね。
okadada いわゆる後方腕組み彼氏ヅラね。別にいいんですけどね。自分も大体はそんな感じですし。でもやっぱ参入するときはしないと。
shakke やっぱチャッターアイランドで(馬券を)50万1点買い、みたいな。
okadada うぅわ、50万も行く?
shakke ヒリヒリするな~!
okadada ハハハハハ。
shakke でも50万とか払わないと生活が心配にならないじゃん。
okadada たしかにそうっすね。それぐらい払ってやっとヒリヒリ感出ますよ。

レディオ・デ・ニーロ

shakke ロールプレイしていったほうがいいのかぁ。
okadada 演劇やります? 演劇ワークショップみたいなの行ってみるってどうですか。
shakke あぁ……ちょっと興味あるかも。でもそれは舞台をいかに見るかっていう観点がほしいからっていうか。自分がロールプレイしたいっていう欲望は皆無かも。オカダさんは演劇とか、たとえばこういう役で出てほしいんだけどってオファーが来たら受ける?
okadada フフフ……“本当にいいんですね?”とは訊きますよ。“ド素人でいいんですね? 本当にできると思ってないですよね?”って。それでよければ出ます、って感じ。オレのせいでもないし、逆にいうと成功しても自分のおかげでもないっていうか。それがはっきりしてればいいんじゃないですか。
shakke それでも最大限がんばる所存?
okadada もちろん、もちろん。おもしろそうじゃないですか? そんなこと、なかなかできないことやし。
shakke これで速攻でオカダさんにオファー来たら笑うけどね。
okadada ハハハ! うわ、でも舞台はめんどくさいな! 時間かかるやん。
shakke えっ、オカダさんが想定してるのって映画とかってこと?
okadada あぁ、そうですね。
shakke まあね、舞台は責任の比重がすごいもんね。
okadada ほら、ごっこ遊びって楽しいじゃないですか。これもそういうくらいのテンションで言ってますけどね。
shakke そういえばオカダさんはtofubeatsくんのMVとかですでにちょっとロールプレイしてるもんね、スーツとかで。
okadada べつにああいうのイヤじゃないですしね。
shakke 意外とオカダさんってもうやってるんだ……役者だ!
okadada ハハハ! 飛躍するなぁ。
shakke でもオレは慣れてないからなぁ。
okadada シャケちゃんはちょっと演技するとかでもできないでしょ、たぶん。
shakke 相当できなさそう。でも前に『ODD TAXI』ってアニメのトークイベントで司会やったんだけど、司会のロールプレイは楽しかった。
okadada 司会のロールプレイってどの程度の?
shakke “はい、どうも!”みたいな。進行係というかね。“それではフリップをどうぞ!”みたいな感じ。
okadada それはむしろシャケちゃんは向いてる気がするけどな。むしろ司会タイプじゃないっすか。
shakke 自分ではそうは思わんけど、できなくはなさそうな気はちょっとしてる。やっぱりほかの人格になるっていうのは大変かなって思う。
okadada あぁ、それはオレは楽しいなっていつも思うな。自分じゃないものになるのは楽しいことだって思ってますからね。
shakke それはDJもそんな感じあるねぇ。そうね、自分としてはそこに対してそこまでこだわりがないっていうのと、あんまり引き出しがないっていうのがネックですな。
okadada 引き出しってたとえばどういう?
shakke たとえば自分がぜんぜんちがう人格になるってときに、それに対するリテラシーとか引き出しとか経験値があったほうがいいんだって思っちゃうタイプだから。
okadada ああ、“こんな(経験の少ない)オレではこんな大役は務まらん”的なことですか。
shakke そうそう。なんていうの?……デ・ニーロ・スタイルだから、オレは。
okadada フフフ……。メソッド・アクティングなんや?
shakke そう。
okadada ハハハハハ! テキトーなこと言いやがって……。
shakke フフフ。でも実際あると思う。“こんなオレなんかが……”って言ってるのは、経験値のなさとかも加味されて言ってるとこもあるから。自分が通ってきたとこじゃないとできませんよ、ってことだね。
okadada そんなこと言ったらなんもできないっすよ。
shakke まぁ、そうだね。だからオカダさんは幼少期からいろいろやってきたことがメソッドとして蓄積されてるわけですよ。
okadada あぁ……デニーロでした? オレ。
shakke そうそう、西部劇もできるじゃん。乗馬の経験を活かして。
okadada すごいな、デ・ニーロ・ラジオじゃないですか、これは。我々ふたりともデ・ニーロ。レディオ・デ・ニーロですよ。
一同 ハハハハハハ!
shakke しょうもねえ!
okadada 我々、チャッターアイランド改めレディオ・デ・ニーロとして。
shakke 本当にしょうもねえ……。でも、この録音中ももしかしたらポッドキャスターとしてのメソッドで演じてるかもしれないしね、おたがい。
okadada 聴いてるひとは思いもしないかもしれないですけど、我々の喋り方、普段は全然違うとかやったらすごいですけどね。
shakke ぜんぜんちがうよ。もっとへにょへにょしてる。
okadada 普段ものすごいゆっくりしゃべってるとかね。
shakke あとオカダさんも関西弁じゃないしね、普段。
okadada それは言うなよ!せっかくキャラ作ってきたのに……(標準語で)それは言うなよ~!
shakke ハハハハハ!
okadada (標準語下手すぎて)どこでもない言葉になってしもた……。演技へたくそ!
shakke わかんないけどね。どっかでつねに演じてるとこがあるかもしれんけどなぁ。見せたい自分って言うのはあるじゃん。
okadada そうっすねぇ。でも、どっちかっていうと見せたくない自分のほうが多いなって思いますけどね。ここだけは他人にバレるわけにはいかんというか、いくら仲よくてもこの側面だけは自分のものにしておこうというか。死守してる部分が。
shakke 本人が気づいてないだけでまわりは見えてる可能性があるかもだけど、自意識としてはあるよね。
okadada もちろん。自分でもその部分に気づいてなかったりね。
shakke でもそれって自分でフタしてるから明文化してないし、したくないけど、それを自分で明文化できたらひと皮むける気がするな。本当に深層心理で“絶対ここ見せたくないな”って思ってるとこって、自分でもわかってないもんね、たぶん。
okadada どうやってそれを出しますかね……演劇か!
shakke ハハハハ!
okadada 演劇ワークショップやってみたら、号泣して“……それ以降、わたしは変わりました”みたいなね。
shakke わぁ、イヤだなあ……。

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