私たちが失ったものは、思っていたより大きかった話
私は音楽が大好きでたぶん、息を吸うように音楽を聴いている、という自負があるくらいには音楽が好き。
音楽の好きは人によって種類があると思っていて、どういう接し方をしているかに優劣はないとおもう。
だから当たり前かもしれないけど聴き方も楽しみ方も絶対に想像できないくらい種類があると思っている。
わたしはライブが好きだった。
生の音がわたし全部で好きだった。
身体の全部を使って音を浴びて、血液みたいに身体中を音が巡る感覚が好きだった。
言うまでもなく、こんなご時世でかれこれ1年以上、生の音楽を聴いていなかった。でも音楽は聴き続けていた。
サブスク、YouTube、CD、友達のレコード。
音楽が手軽に聴ける時代に生きていてよかったなあと思ったのは、多分コロナが流行ってくれたおかげだと思う。こんなことを言ったら不謹慎だけど。このコンテンツがなかったら失っていた感情がたくさんある気がする。
おかげで私の生活から音楽が消えることはなかったしありきたりかもしれないけど音楽が隣にいてくれていて豊かであるなと思えた。
4月の末に大好きなバンドのファンクライブ限定ライブに行った。1年3ヶ月ぶりのライブ。ライブハウスじゃないし声も出せないし動き回れない。
初めてライブに来たみたいな緊張感みたいなのに包まれて開演を待つ間、人の熱気とライブ独特のスモークがかかった空気を嗅いでほっとした。
あ、しってる。
開演直前にスピーカーの音がマックスになるあの瞬間、全身で音楽を浴びたあの瞬間、勝手に溢れた涙が止まらなかった。
制限されていたはずなのに、なのに、何よりも幸せだった。
私音楽を生で聴けていなかったことは全然嫌じゃなかったはずだけど、こんなにも大きいものをコロナで失ったのだと気がついた。
ライブなんて趣味と思っていたけど私にとっては、心が揺れ動かされて感情を掻き乱すほど愛おしい大切なものなんだってことに気づけた。
だからこそ音楽を気軽に聴ける時代に生きていて良かったし、音楽を消費するんじゃなくて愛して向き合って、価値のあるものにはお金を払えるくらい余裕のある時代に生きててよかったなあと思う。
まだまだ気軽に行くには気が引けてしまうご時世だけど
この気づいた心をちゃんと大事にしてあげたいな。
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