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人生は自分の想像した通りになる

高校生になりたての頃、中学時代からの友人がこんなことを言い放った。

「俺、なんとなく自分の人生この先もうまくいく気がするんだよねぇ。」

おう、ずいぶんと思い上がった発言だなコノヤロウ。こちとら15歳にして早くも将来に暗雲立ち込めてる身だってのに。

まあでもわかる。その友人の桑田は、さして努力をしている風でもないのに、何事もそれなりに順調なようだった。金持ちで立派な家に住んでるし、成績は中の下だが無難な高校にサラッと推薦で潜り込んだ。当時親しくしていた仲間内で誰が一番最初に彼女作るだろうな~、なんて話をしていた矢先、いち早く彼女をゲットしたのも桑田だ。一緒に釣りに行けば、桑田はだいたいそれなりの釣果を残す。俺なんてボウズ(釣果0)はしょっちゅうなのに。

「それ、努力を人に見せてないだけでしょ?」と思ってはいけない。そんなことはない。桑田は勉強嫌いで、学力は俺とほぼ同等のちょいおバカさんだったけど、高校は推薦ですんなり受かった。対して俺は担任に県内最下位レベルの高校をものすごい圧力で推された。なんとか抵抗して、そこよりもう少しマシなバカ高校で勘弁してもらったが。で、もちろん推薦は無事落ちて一般でなんとか潜りこんだ。

部活は桑田と同じ陸上部(俺は2年2学期にバレー部から転部)だったが、彼は練習サボってばかりなのに持って生まれた身体能力を発揮して地区予選上位くらいには食い込んでいた。俺なんて吐きそうになりながら、ボロボロになるまで練習して地区予選最下位レベルだってのに。

釣りだって当時、俺らはアホ面晒して何も考えず、ただルアーを巻き巻きするだけだった。そこまで大きな腕の差があったとは思えない。

まあ、もって生まれた能力は平等でないし、そこから努力でどこまで伸ばすか次第で人生が変わってくるのはわかる。そこで生じる他人との差は、もはや抗いようが無いし仕方ない。

ただ、俺はそういった能力面以外の運的要素においても、「なんとなく順調マン」の桑田とは正反対で、目に見えないイヤガラセ神の力が働いているんじゃないかと疑いたくなるくらい「なぜだか上手くいかないマン」なのであった。

思い起こせば中学に入学した初日から俺の出鼻はくじかれたのだ。

俺は小6まで、カズキ、リョウ君、ヨウジ君と俺の4人でよくつるんでいた。そして俺はチヒロちゃんという女の子に恋をしていた。

中学に入ったら、全員とは言わないまでも、せめてこの中の誰か一人とでも同じクラスになれたらいいなぁ、とぼんやり考えていた。まあ、この話の流れからもうこの先の展開は読めるでしょうけども。そう。

カズキ、リョウ君、ヨウジ君、チヒロちゃんは同じクラス。俺だけ別クラス。

こんな残酷な仕打ちってある?それぞれがバラけるならまぁ納得できるよ。でもさ、仕組まれたようなこの偶然。イヤガラセの神、悪趣味すぎるぜ。この時に俺はなんとなく感じたね。「今後の人生の縮図だ」って。

その後の学校生活は、予想通りロクなもんじゃなかった。

友達にイタズラで突き飛ばされ、よりにもよって偶然後ろにいた学年最凶ヤンキーの森田にぶつかってしまい、その場でシバかれた上、しばらく目をつけられてしまった。1年くらい怯えて過ごす日々だった。

とある部員の勘違いから、部活内の同学年全員から無視されるというイジメを味わったこともあった。結果的にそれは俺に非が無いことが分かったのだが、その時、一人で練習する俺に対してのある部員の一言
「ヒロオカ、もう許してやるから皆のとこ来いよ」

流石に頭にきて「はぁ!?テメェらの勘違いで勝手に人をシカトしといて許してやるだと?ふざけんなハゲ!」
・・・・なんて啖呵切る度胸もなく、言われるがまま皆のトコに戻ったけど、これは今思えば強気でキレてやってもよかったよなぁなんて思ってる。多分逆ギレされてボコられて終了だろうけど。

あと、自分のお腹の弱さで大恥をかいたこともあった。

これは自業自得だけど、中二病を患って恥をさらしたりもした。

恋の予感は盛大に砕け散った。

細かいことを挙げたらキリないけど、とにかく中学時代は人生最大の暗黒期だった。(今も暗黒期だけど)入学してクラス分けの結果を見た瞬間に全身に走った嫌な予感は、見事に当たっていたのだ。

というわけで、桑田のように「自分の人生なんとなく上手くいきそう」などとは露ほども思えず、この中学時代を過ごした俺は、15歳にして早くも人生の先行きが暗いことを見越してしまったのだ。


そうして現在43歳。

まさかホントに予想どおりの人生になるとはなぁ。

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