ジェネレーション_キルタイトル2

ツルでもガキでもわかる!『GENERATION KILL』の見どころはここだ!<後編>

まいど!ワイは鶴や!ツルヤナンボクや!

ええじゃろうだよ!

やあ皆さん、お元気ですか?僕おかえもんです。

今度こそ『ジェネキル』の見どころをたっぷり説明してもらうで!

ちなみに前半はこれや!

それにしても異色の戦争ドラマだよね…

戦場での海兵隊のありのままの姿をここまで再現しちゃって…

しかも全部実名だし…

そうだね。描くほうも描かれるほうも覚悟の要る作品だ。

よう米軍や政府も許可したな。

余計なメッセージを織り込んだり安易な反戦ドラマにしなかったことが良かったんだろう。

従軍記者エヴァン・ライトが見たままの光景だから、文句のつけようがない。

確かに、常に一緒だった下級の海兵隊員たちは、上官の悪口ばかり言っていた。「俺たちは敵兵に殺されるんじゃなくて、アホな上役に殺されるんだ」ってね。

でもエヴァン・ライトはありがちな「兵の命を駒扱いする幹部」と「しがない一兵卒」の対立構造にはしなかった。善悪や正否を情緒的に描くことは一貫して避けたんだ。バグダッド陥落後を描いた最終回で、それを意識してきたことがよくわかる。

へえ、そうなんだ

さて、ドラマはクウェート内にある米軍基地キャンプ・マチルダから始まる。

来たるべきイラク侵攻作戦に向けて米兵が訓練しているところからだ。

ちなみにこの冒頭シーンは、このドラマで唯一大きな嘘をついているシーンでもある。

リアルを追及したドラマって言うたくせに、アタマから大きな嘘ついてるんか?

『ジェネキル』は、偵察大隊の隊員がハンヴィー(米車ハマーの原型)に乗って砂漠を疾走し、敵に向かってド派手に重機関銃をぶっ放す訓練シーンから始まるよね。

あのシーン、実は全部嘘なんだ。

ええ~!?

あんなにカッコいいシーンなのに!?

彼らは偵察部隊だから、あんなことはしないんだね。

言われてみれば、確かにそうやな。

見つからんように潜入し、静かに情報を集め、出来る限り敵に遭遇しないよう帰ってくるのが偵察の仕事や。

あの重機関銃も出陣直前に取り付けられたらしい。だからイラク国内で戦闘に出くわし、そこで初めて撃ったそうだ。

エヴァン・ライト記者が乗り込んだハンヴィーのドライバーなんて、運転するライセンスすら持ってなかったそうだよ。

マジか!?

それくらいイラク侵攻作戦は”普通”じゃない戦争だったんだ。

偵察部隊の隊員は様々な特殊技能を買われて配属されているのに、あの時は偵察なんて悠長なことやってられなかったんだね。

一日でも早くバグダッドまで到達しなきゃいけなかったから。

でもそんなことは末端の兵隊には知らされていない。だから彼らはイライラしてたんだ。何でこんなことをさせるんだ、と。

彼らの特殊能力が発揮されるのはバグダッド陥落後だった。皮肉にも仲間である別部隊に対してなんだけどね(笑)

そうだったんだ…

ねえねえ、おかえもん。また地図とかないの?

イラクって言われても、パッとイメージ湧かないんだよね。

そうだね。

イラク侵攻作戦における海兵隊と陸軍の進攻経路を描いてみようか。

ほれっ、これでどうだ!?

ほう。米軍は大きく分けて三方向からバグダットを目指したんやな。

海兵隊は途中で二手に分かれたんか。

そうだね。3月17日の大規模空爆の後に、米国を中心とした陸上部隊がクウェートから進攻した。ていうか、内陸まで攻め込んだのは米軍なんだけど。

たったの三週間でイラクを制圧したって凄いよね…

イラクといえば中東の大国だからね。この電撃作戦は世界に衝撃を与えた。

ちなみに『ジェネキル』の”主人公”ともいえる第一海兵師団第一偵察大隊第二中隊(通称ブラボー・カンパニー)は、一番東側のルートで北上したんだ。戦闘部隊である第一海兵連隊(RCT1)の先行役としてね。

ほう。せやったんか。

そして、泣く子も黙る”デビルドッグ”こと米国海兵隊の、地上部隊の主戦力、第一海兵師団を率いていたのが…

ま、まさか…あ、あの男…?

そう…

アメリカの狂犬

((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル)

ジェームズ・”マッドドッグ”・マティス少将、現・アメリカ国防長官だ!

ひゃあ!!!

マッドドッグもやっぱ実名で出とるんか?

もちろん。本人じゃなくて俳優が演じてるけどね。

当たり前やろ!

直接の出番は多くないんだ。

2万超の戦闘部隊を率いる将軍が、偵察部隊の活動するような最前線に姿を現すことは滅多にないからね。

でも無線のやりとりやミーティングなどで、その存在は常に隊内で意識される。

中間管理職でもある士官たちは、マッドドッグのために手柄を立てようと必死なんだ。海兵隊魂の塊のようなマティスにトップまで登り詰めてほしいからね。

ちなみにジェームズ・マティスはこんな人

トランプさんがマッドドッグを国防長官に抜擢したおかげで、『ジェネキル』はDVD化の日の目を見れたのかもしれないんだね!

日本でも一気に知名度上がったし!

わたしのおかげだ!

トランプ大統領、どうもありがとう。

中東や朝鮮半島情勢が厳しい局面を迎えてる今、マティスのような叩き上げの人物は適任かもしれないね。

さて、お次はマティス少将に心酔する男”ゴッドファーザー”を紹介しよう。

ゴッドファーザー?

第一偵察大隊を率いるフェランド中佐だ。

映画『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドみたいな”かすれ声”なんで、自分のことを”ゴッドファーザー”と呼んでいる。

彼がマティス少将の意を汲み、偵察大隊に本来の任務以外の危険な仕事を行わせるんだ。

ほう。ヤな奴か。

でも、なんだか憎めないキャラクターなんだよね。

威厳と酔狂さをも併せ持ってる感じなんだ。『ジェネキル』の登場人物の中で、最も重要な存在かもしれない。

演じた俳優のチャンス・ケリーはグッジョブだね👍

もう笑えるくらい本人にそっくりなんだよ!

ホントだ!

これは海兵隊基地で上映会した時に盛り上がっただろうね!

だろうね。

そしてゴッドファーザーの下に中隊長がいるんだ。

記者が同行したブラボー・カンパニーの中隊長は、兵卒連中から”エンシノマン”って呼ばれてる。

なに?エンシノマンって?

B級コメディ映画『エンシノマン』の主人公の名前だよ。カリフォルニア州エンシノで発見された架空の原始人なんだ。

ブラボー中隊長は知能が原始人並みで、顔も猿人っぽいんで”エンシノマン”と呼ばれている。

おお!

”狂犬と猿人”の猿人のほうやな!

いや、これは関係ない。

しかもキャラとしてあんまり面白みもないから次へ行くよ。

”エンシノマン”の部下、第二小隊のナタニエル・フィック中尉だ。

原始人の上司をもつ悩める若き下士官やな。

そうだね。

部下思いで正義感が強く、上司の指示に疑問を抱いてしまい、いろんなことを背負い込んでしまう青年将校だ。

戦争ドラマに欠かせないキャラやな。

絵に描いたように実直な性格の人だ。

この動画でも、それがよくわかる。

なんか軍人さんって感じがしないね。

いい人オーラが出まくってる…。

他の登場人物が濃過ぎるってのもあるんだろうけど。

そうだね。

そしてフィック中尉が最も信頼する部下、チーム1アルファのリーダーがブラッド・コルバート軍曹。

通称”アイスマン”だ。

エヴァン・ライト記者はコルバート班のハンヴィーに同乗していたので、”アイスマン”の登場シーンが最も多くなっている。

このドラマの実質上の主人公みたいなものだね。

”アイスマン”ってことは、氷のように冷徹な男ってことか?

そう。彼はアフガニスタンの激戦地をくぐり抜けた猛者なんだ。非情なまでの冷徹さは、チームの命を預かるリーダーに相応しい。ちょっとやそっとじゃ動じない男だね。

だから責任感の強いフィック中尉のことを上司として信頼しながらも、戦場における軍人としては少し心配してるんだ。中尉は氷のハートを持っていないから、いざというときに非情になりきれない。

アイスマンは本当に頼れる男だ。

そして…

例の”猿人”とは彼のことなんだよ!

えっ!なんで!?

”アイスマン”だから”氷人”でしょ?

ふふふ。

この”アイスマン”を演じた俳優は、スウェーデン出身のアレクサンダー・スカルスガルドって人なんだ。

『ジェネキル』出演当時は全くの無名だったんだけど、これでプチブレイクしてね。

2016年の映画『ターザン:REBORN』でターザン役に抜擢され、ついに大ブレイクしたんだ。

おお!セクシーマッチョ!

と、いうわけで…

『ジェネキル』日本版DVDが発売されることになったのは、

狂犬マティスと猿人ターザンのおかげなんだよね!


なるほど!ガッテン、ガッテン!


あとの見どころとしては、本人役で出演してるルディ・レイエス軍曹の肉体美だね。

体だけじゃなくて演技も素晴らしい。今では俳優・格闘家・ビジネスマンとして活躍している。

海兵隊員っちゅうのは、ホンマ多才やな。文字通りタレント集団や。

マジ、敵に回したらアカン連中やで。

ははは。そうだね。

他にも紹介したいことがいろいろあったような気もするんだけど、もうこのへんにしておこうかな。

最後は『ジェネキル』唯一の挿入歌でお別れすることにしよう。

Johnny Cashの『The Man Comes Around』だ。

せっかくだからトランプ大統領バージョンで行ってみようか。

じゃあ、またね!

バイビー!


『GENERATION KILL』(2008年:HBO)
原作:エヴァン・ライト
監督:スザンナ・ホワイト、サイモン・セラン・ジョーンズ
脚本:デヴィッド・サイモン、エド・バーンズ、エヴァン・ライト
出演:アレクサンダー・スカルスガルド、ジェームズ・ランソン、チャンス・ケリー、他

DVD・ブルーレイは8月9日発売予定

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