第25回:WALK AWAY RENÉE(いとしのルネ)『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解説
さて、スリービルボードが修復された次のシーンは、回心して退院したディクソンがバーで恫喝男と遭遇する場面だ。
《貼り付け》シーンの解説はコチラ!
バーではフォートップスの歌『Walk Away Renee』が流れとったな。
うわあ!エルビスが歌ってる!
「エルビス・プレスリーは生きていた」って、やっぱり本当だったんだね!
子供は純真でいいな。
バーで流れるフォートップスといえば、コーエン兄弟のデビュー作『ブラッド・シンプル』ですよね。
マーティン・マクドナーめ…
どんだけ俺たち…いやコーエン兄弟が大好きなんだ…
今「俺たち」って言った?
ほ、翻訳ミスだ。
「ass」を間違って「us」で訳してしまった。
おかしいなあ…
さて『ブラッド・シンプル』の主題歌『It's the same old song』とは「旧約聖書」のことだったよね。
だからバーテンダーのモーリスはバーカウンターの上に立ち、人波を割って歩いてジュークボックスのところへ行ったんだ。
「海を割って渡り、シナイ山へ辿り着き、神の歌声を聞いたモーゼス」のようにね…
以前解説したように映画『ブラッド・シンプル』とは「旧約聖書」を元ネタした物語だ。
御存じの通りコーエン兄弟はユダヤ系で、この映画の制作資金を提供したも「在米ユダヤ人女性協会ハダッサ」の女性会員たちだった。
だから主要登場人物4人のうち、男性3人が死んで、フランシス・マクドーマンド演じる女性1人だけが生き残るんだったね…
「旧約」と呼ぶな。このケースでは「ヘブライ聖書」と言え。
映画の出資者はユダヤ教徒だ。
失礼しました。
さて、『スリー・ビルボード』の脚本を書いたマーティン・マクドナーは、『ブラッド・シンプル』と同じようにフォートップスの歌を効果的に映画に用いようと考えた。
心酔するコーエン兄弟のデビュー作に敬意を表してね。
そうして選ばれたのが『Walk Away Renee(邦題:愛しのルネ)』なんだ。
邦題があるってことは有名な曲なの?
もちろん。
あのピンクレディーもカバーした。
「ルネ」っちゅうたら「ルネ・クレマン」やな。
『太陽がいっぱい』の次は『禁じられた遊び』を解説するって言うたまま放置しとるで、オッサン。
ところでお前ら「Renee(ルネ)」という名前の意味を知ってるのか?
Reneeの意味?
知らねー(笑)
「Renee」とは「生まれ変わる」という意味なんだよ。
ええ!?
<続きはコチラ!>
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