スナックふかよみ_サカナクション_後篇A

深読みサカナクション後篇「恋文」



前回「不快」はコチラ



2019年6月21日
金曜深夜
スナックふかよみ にて


なぜ…

「君は深い」だと決めつけるかな?

え?

だって「君は深い」でしょ?

ホラ、この歌詞カードにも書いてあるし…

でも「音」だけ聴いてたら…

それが「君は深い」だとは言い切れないよね?

は?どゆこと?

もしも事前情報なしで聴いたら…

「君は不快」って聴こえてもおかしくはない…

君は腐海?

ナウシカってこと?

その「腐海」じゃなくて「不快感」の「不快」だ。

え?

君は…

不快?

・・・・・

先入観なしで、もういちど聴いてみてごらん。

そう聞こえるから…

ホントだ…

「君は不快」って連呼してる…

しかし…

それも「先入観」なのでは?

岡江君に「君は不快と聞こえる」って言われたから誘導されて、そう聞こえただけとも考えられる。

確かにそうかもしれないけど…

でもやっぱりただの「きみはふかい」じゃないような気がする…

『ワンダーランド』という曲は長さが4分54秒あるんだけど、そのうち2分間が「きみはふかい」の連呼なんだ。

他の歌詞は繰り返し部分を全部合わせても1分30秒程度しかないのにね…

曲全体のうちの4割が「きみはふかい」である以上、この歌の最重要ワードは「ワンダーランド」ではなく「きみはふかい」という言葉だと考えるのが自然だろう…

尺の4割を占める「きみはふかい」という言葉…

そしてそれは「君は不快」とも聴こえる…

そんな曲を山口一郎は news23 のオープニング曲として提供した…

そういうこと?

そう。

アルバム発売日まで1ヶ月を切っていたにもかかわらず、わざわざ曲のテーマや構成を変え、歌詞を書き換えたんだ…

それによって発売日が延期になってしまうことも厭わずに…

どうして?

違和感ありまくりよ…

いったい山口一郎は何がしたかったの?

TBSの夜の看板番組「news23」の新キャスターとなった小川彩佳アナのためだよ。

繰り返される「きみはふかい」とは、彼女に向けられたメッセージなんだ…

ハァ!?

小川彩佳が「不快」ってこと!?

その通り。

・・・・・

そして「君は不快」という言葉も「二通り」の解釈が出来るようになっている…

まず1つは「君は不快(に思っていた)」というニュアンス…

小川彩佳が不快に思っていた?

もしかして、それってさ…

報道ステーションのコメンテーターのおじさんが「テレビ朝日は会見したのでギリギリセーフ」って発言した時のこと?

生放送なのに誰の目にもわかるくらい「不快感」を露わにしてたもんね…

その後に報ステを降板させられて、テレ朝の子会社 AbemaTV の番組へ「左遷」になった時も、きっとそうだったと思う…

去年の10月からスタートしたばかりなのに、2月に突然の退社発表だもんね…

相当「不快」に思ってなければ考えられないスピード…

口には出させない色々な思いがあったに違いない。

ニュースキャスターとして、ジャーナリストとして、そしてひとりの人間として…

じゃあ、もう1つの「君は不快」の解釈は?

「君は不快(に思われていた)」だね。

ハァ…

予想はしてたけど、やっぱり…

知っての通り、彼女はいろいろバッシングされていた…

彼女って、綺麗だし優等生っぽいしプライドが高そうに見えるから、バッシングされやすいタイプなんだよね…

上の人間にもハッキリと物を言いそうだし…

それにあの熱愛報道で一部のジャニーズファンからも…

でもさ…ちょっとひどくない?

これまでたくさんバッシングされてきた彼女に「君は不快」を連発するなんて…

山口一郎って性格悪いの?もしかしてドSとか?

やっぱりひどい…

ねえ、魚進さんもそう思うでしょ?

う、うん…まあ…

これはね、ある種のテクニックなんだ。

テクニック?

そう。相手の心をギュッと掴むためのね。

まず最初に相手の「完全否定」から入り、心理状態を不安定にしておいてから、タイミングをみて一気に持ち上げる…

すると「この人は私の全てを理解して受け入れてくれた!」と思うんだ…

はあ?

タチの悪い自己啓発セミナーみたい。

悪用すればそうなるね。

ちなみにこの手法は、相手が「優等生タイプの美人」の場合、非常に高い効果を発揮する。

普段「言われ慣れていないこと」をズバッと言われて動揺してしまうから、精神的に一気に無防備になり、通常なら起こり得ない判断を下したりするんだよ。

どこか一生懸命自分を作っているように見える女性を落とす時のセオリーでもある…

「不快や不安なドキドキ」が「恋のドキドキ」にすり替わってしまう「吊り橋効果」じゃん。

そんなのを口説きのテクニックとして使うわけ?

岡江クン、最低…

魚進さんはそんなことしないよね?

あ、ああ…

まあ落ち着いて、深代ママ。

山口一郎が『ワンダーランド』で表現しようとしたことを、細部を分析しながら考えてみよう。

うん…わかったわ。

まず冒頭で5秒ほど、砂の上を歩く足音と、風を切るような音が聞こえるよね。

そして長いイントロが流れ出す…

そう、イントロが長いのよ。

シンプルで明るい感じのリフなんだけど、それが1分間も繰り返されると「これって、いつまで続くの?」って思ってしまうわよね。

軽く欲求不満というかイラっとする感じ。

おそらくこれは「規則正しさ・生真面目さ・清潔感」であると同時に「単調・マンネリ」といったイメージを想起させるためだろう。

テレ朝時代の小川彩佳像に違いない。

なるほど…

そして1分5秒あたりから「きみはふかい」という言葉が重ねられ、それが1分間延々と続く。

これも長いのよね。

やっぱり「きみはふかい」を1分間言い続けるって違和感ありまくりよ。

「もしかして不快?」って思わせるためとしか思えない…

そして不安になりかけたところへ、突如激しいギターノイズが立ち昇ってきて、「きみはふかい」の時とは全く違った力強いボーカルの声と共に、聴く者を一気に絶頂まで持って行ってしまう…

卵の殻を破った雛
初めて見たのさワンダーランド
甘えた声で鳴いた雛
遠くに消えた蜃気楼
明けてく空に待ったした雛
確かめたのさワンダーランド
寂しい声で鳴いた雛
遠くに消えた蜃気楼

フレーズの最後が全部「雛・ワンダーランド・蜃気楼」なのね…

「ヒナ」はもちろん小川彩佳でしょ…

「遠くに消えた蜃気楼」って何のことかしら?

森喜朗?

たぶん2つの意味が込められてると思う…

まず1つは…

蜃気楼の「楼」に似た字がつく人…

さく…!?

そしてもう1つは…

テレビ朝日。

なんで「蜃気楼」がテレ朝なの?

「しんきろう」をアルファベット表記にすると…

SINKIRO?

そうじゃない。

ラテンっぽく「CINCIRO」だ。

そして「CINCIRO」の中には「CINCO」が入ってる。

しんこ?

スペイン語で「5」だよ。

つまり5チャンネルのテレビ朝日…

ちょっと強引じゃない?

それに何でスペイン語なのよ。

たしか彼女は…スペインに留学してたな…

え?そうなの?

てか魚進さん、何でそんなこと知ってるのよ?

ひょっとして女子アナ好き?まさか彩佳ラブとか?

い、いや…

たまたまどこかで耳にした程度で…

そしてこの「遠くに消えた蜃気楼」は「明けてく空」と、ほぼ同じ意味合いで使われている。

「雛」は「明けてく空に待ったした」というんだ…

雛が明けてく空に待ったをする?

明けてく空…

つまり「朝日」に「ちょっと待ってよ」と言ったわけだ…

あ!これか!

・・・・・

もう…ちょっと待ってよ…

じゃあ「ワンダーランド」ってどこなの?

明けてく空に待ったした雛
確かめたのさワンダーランド
寂しい声で鳴いた雛
遠くに消えた蜃気楼

「明けてく空」も「蜃気楼」もテレ朝だとしたら…

「ワンダーランド」は…

もちろんテレビ朝日のことだろう。

「ワンダーランド」は「ワンアンダーランド」を早口で言ったもの…

つまり「数が1つ少ない国」だ…

数が1つ少ない国?

6チャンネルのTBSから見て「数が1つ少ない国」といえば…

5チャンのテレ朝!

・・・・・

そして再び「きみはふかい」が淡々と1分間繰り返され、さっきと同じように2番が始まる。

news23 のオープニングで使われた部分だね。

羽ばたく雛 鳥になった
小さく見えたワンダーランド
大きな声で鳴いてみた
遠くに揺れた蜃気楼
震える羽でタッチしたんだ
確かめたのさワンダーランド
悲しい声で鳴いてみたんだ
夢から覚めた蜃気楼

勇気を出して羽ばたいてみたら…

ずっと大きいと思っていたワンダーランドは、意外と小さかった…

そして思い切って大きな声で鳴いてみたら…

蜃気楼が遠くで揺れた…

意味深だね。

・・・・・

ねえ、魚進さん。なんでずっと考え込んでるの?

米津玄師の歌の時は、あんなに嬉しそうに喋ってたのに。

いや…

岡江君の深読みの切れ味の鋭さに、ついつい聴き入ってしまって…

でもね、話半分くらいで聞いといたほうがいいわよ。

おだてるとすぐ調子に乗るんだから(笑)

ひどいな深代ママ…

ここまでの僕の深読み、信じてくれてなかったんだ…

だってさ…

ホントに山口一郎がそんな思いを込めて曲を提供したんだったら、もっと噂になってるはずでしょ?

でもそんなこと聞いたことないもん。

岡江クンの深読みし過ぎ、思い過ごしだって。

思い過ごしも恋のうちであるように…

深読みもまた恋なんだ…

僕は常に対象に恋をしながら深読みをしているんだよ…

常に真剣に…

え?

だから山口一郎だって…

曲を誰かに提供する時は恋をしているはず…

本気で誰かのために詩を書くなら、恋をしなきゃ書けないんだよ…

岡江君…

僕の深読みは、その対象者への恋文、ラブレターなんだ…

米津玄師への深読みは、米津玄師への恋文…

サカナクションへの深読みは、サカナクションへの恋文…

だから山口一郎が書く詩も…

必ず誰かへの恋文であるはず…

そうじゃなきゃ、噓だ…

でもさ…

そこまで行為に思いを込めても、相手に何も伝わらなきゃ意味なくない?

恋文だって、まず相手に読んでもらって、伝えたいことがそれなりに伝わって、それで初めて意味があると思うの…

もし山口一郎が書いた歌詞の本当の意味が岡江クンの言う通りだとしても、何の意味もないと思うんだ…

せっかくアルバムの発売日を延期してまで作り直した曲だけど、残念ながら無駄骨だったわよね…

そうじゃない…

そうじゃないんだ…

は?

小川彩佳は気付いたんだよ…

山口一郎の「作為」に…

え…?

・・・・・



完結篇につづく




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