ツルガキHOSTILE1

BOX OFFICE全米映画興行収入ランキング1/26-28編

おまっとさんでした!

毎週月曜恒例のBOX OFFICE全米映画興行収入ランキング!

1月26日~28日のトップ10はこちら!


1)Maze Runner: The Death Cure

$23.5M($23.5M)1週目

2)Jumanji: Welcome to the Jungle

$16.4M($338.1M)6週目

3)Hostiles

$10.2M($12.1M)6週目

4)The Greatest Showman

$9.5M($126.5M)6週目

5)The Post

$8.9M($58.5M)6週目

6)12 Strong

$8.6M($29.8M)2週目

7)Den of Thieves

$8.4M($28.5M)2週目

8)The Shape of Water

$5.7M($37.7M)9週目

9)Paddington 2

$5.6M($32.0M)3週目

10)Padmaavat

$4.3M($4.8M)1週目


1位は『メイズ・ランナー3』だね!

主演のディラン・オブライエンの撮影中の事故により完成が一年遅れになったけど、ようやく公開にこぎ着けたそうだ。

原作では「3」のあとに話が過去に移る「4」と「5」があるんだけど、シリーズの興行成績が右肩下がりなんで、映画化は厳しそうだね。

日本でも「2」までしか小説が翻訳されとらんしな。

テレビシリーズならあるかもしれんけど。

2位は『ジュマンジ2』だぞ!

勢いがまだまだ止まらないね。

日本を除いた世界中で大ヒットしてる。10億ドルの大台も見えてきたぞ。

ソニー・ピクチャーズの北米市場歴代ヒット作の中でも3位に躍り出た。

① Spider-Man($403,706,375)
② Spider-Man 2($373,585,825)
③ Jumanji2($338,057,203)
④ Spider-Man 3($336,530,303)
⑤ Spider-Man: Homecoming($334,201,140)

てか、スパイダーマンばっかやんけ…

『スパイダーマン』シリーズも興行成績が右肩下がりなんで、SONYは何としてでも『ジュマンジ』を新たなドル箱シリーズに育てたいところだろう。

ドウェイン・ジョンソン次第やな。

3位はクリスチャン・ベール主演の『Hostiles』!

「Hostiles」とは「敵対者」って意味だね。

4位以下は、前回と同じ顔触れかな…

ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』が再ランクインやんけ。

ヴェネツィア国際映画祭での金獅子賞受賞とアカデミー賞ノミネート効果やな。

10位にはインド映画『Padmaavat』が入ったね!

この映画も、いろいろあった末、ようやく公開にこぎ着けたね。

いろいろ?

インドで主人公の末裔を名乗る人たちと右派政党による映画上映反対運動が巻き起こったんだ。

だから映画タイトルが『Padmavati』から『Padmaavat』に変更された。

へ?

このヒロインはインドの一部で強烈に神格化されているらしくてね。

詳しくはコチラで。

さてそろそろお別れの時間に…

早っ!

だよね。

じゃあ『Hostiles』についてちょっと喋ろうか。

OK牧場!

あらすじはこんな感じ。

19世紀末、ニュー・メキシコ州でアパッチ族と戦っていたアメリカ陸軍のブロッカー大尉(クリスチャン・ベール)は、ある時上司に呼び出され、大統領直々の指令を言い渡される。それは戦争犯罪人として収監されていたシャイアン族の元酋長イエロー・ホーク(ウェス・ステュディ)を、居留地で死を迎えさせるためにモンタナまで連行するという任務。実に1000km以上の長旅だ。ちなみにブロッカーには、シャイアン族との戦闘で多くの仲間をうしなったという暗い過去があった。

モンタナへの旅の途中で、一行はロザリー(ロザムンド・パイク)という女性と出会う。彼女の夫と子供たちはコマンチ族の襲撃で殺されていた。しかしロザリーは、家族を殺したのはシャイアン族だと思っており、イエロー・ホークに敵対心を抱く。その後に一行はコマンチ族に襲われ、死傷者を出しながらも、なんとか目的地まで辿り着く。

旅の中でブロッカーは、様々なものを目撃し、幾度も困難な状況に陥る。そして最後にブロッカーがとった行動とは…

なんか、いろんなインディアンが出てくるね!

『スタア誕生』に出て来とったショショーニ族はおらへんのんか?

ニューメキシコからモンタナまでの旅っちゅうたら、途中にショショーニ族のエリアも通るやろ。


ショショーニ族は基本的に非好戦的な部族なんで、あまり映画には出て来ないよね。

『スタア誕生』で解説した「酋長ポカテッロの改宗」のように、ショショーニ族はキリスト教を受け入れた者も多く、州政府や連邦政府に従うことが多かったんだ。

映画では、やっぱり有名な戦士がいた「シャイアン、スー、アパッチ、コマンチ、モヒカン」あたりがよく取り上げられる。

日本でもお馴染みの名前やな。

「モヒカン族」は人気の髪型として定着しとるやろ…

実際にしてる人は少ないけど…

「アパッチ族」のコメディアン「アパッチけん」も日本で有名やな…

その人、日本人…

しかも1990年に本名に変えてるけど…

「スー族」は、国民的アイドル「スーちゃん」として愛された…

その人もスー族とは絶対に関係ないと思う…

そして「シャイアン族」は、日本を代表する国民的アニメの主要キャラの名前として、老若男女に親しまれとる。

それ「ジャイアン」…

でもね、「ジャイアン」って「シャイアン族」から名前をとったらしいよ。

ええ!?

ジャイアンの口癖「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」って、インディアンのセリフのパロディなんだ。

インディアンって「共有」文化だからね。

そして「ジャイアン・リサイタル」もインディアンの儀式が元ネタなんだ。

マジですか?

「ジャイアン・リサイタル」って、召集されたら絶対に断れないものだよね。

どんなにジャイアンのことが嫌いでも、参加しなければいけない。

これってインディアンの聖なる儀式「サンダンス」を元ネタとしてるんだ。

大自然に感謝する「サンダンス」は最も聖なる儀式で、たとえ普段は敵対してる部族でも、サンダンスを一緒に行うと決まれば絶対に参加しなければいけない。「NO」とは言えないんだ。

そうだったのか…

そして「アメリカ版ドラえもん」でジャイアンの名前が「BIG G」になったのも、由来となった「シャイアン族」が影響してる。

アメリカ人が「理不尽で乱暴なジャイアン」と聞くと、どうしても「シャイアン族」のステレオタイプイメージを想起してしまうんだ。かつて西部劇では、シャイアン族をそういう風に描いてきたからね。

なんだか「シャイアン族」に親近感わいてきた…

シャイアン族をはじめ、さっき名前を挙げた部族は、長らくアメリカ政府に敵対していたこともあり、西部劇の「悪役」といえば彼らと相場が決まっていた。

ダコタのブラックヒルズ戦争でも…

ダコタのブラックヒルズ?

ディランの『Day Of The Locusts』で最後にドライブで向かう先やんけ!

あそこはインディアンの聖地なんだよ。しかも最高レベルの聖地だ。

アメリカ連邦政府は「ララミー砦条約」でブラックヒルズを含むサウスダコタのほぼ全域を「白人の侵犯の許されない、スー族の不可侵の領土」(偉大なるスーの国)と確約したんだ。

でも、その後に金鉱が発見され、アメリカ政府は条約を反故にして土地を奪うことにした。

ひどいな…

複雑な問題なんだよ。

インディアンと一言で言っても、さまざまな部族がいる。同じ部族の中でも細かな集団(バンド)にわかれていて、ひとりの酋長が決定したからといって、それが部族の決定とはならない。酋長は統治者ではないからね。

これが問題を複雑にした。

基本的に白人たちは代表者の間で交わす「契約書」を重要視したんだけど、インディアンにとっては「契約書」なんて何の意味もなかった。そもそも一人の判断にグループ全てが従うなんて風習が無いんだから。

だから白人からしても「お前ら普段は契約に従わないんだから、俺たちが条約を無視しても文句言うな」って感じだったんだね。

まあ、そもそもアメリカの白人たちはインディアンを「同じアメリカ人」だとは思っていなかった。当時の「アメリカ人」というのは、「合衆国憲法」を受け入れ「キリスト教を信仰する者」のことだから。それを受け入れない者は、人間扱いされなかったんだね。

イギリスとパレスチナの関係に似とるな…

そうだね。

イギリス人もアラブ人のことをよく理解しないまま様々な約束を交わしてしまい、事態をややこしくしてしまった。

そしてヨーロッパが数百年という長い年月をかけて作り上げた「国境線」という概念を、いきなり中東やアフリカに導入してしまった。

これが今も尾を引いてるわけだ。

さて、ブラックヒルズ戦争では、インディアンの諸勢力も敵味方にわかれて戦った。

インディアン側の主力はスーとシャイアンの戦士たちだ。

ショショーニ族は、長年シャイアンと対立していたこともあり、アメリカ陸軍側についた。

でも協力の見返りは酷いもので、居留地が増やされるどころか、ますます減らされてしまったという。

いろいろ複雑なんだね。

スー族といえばケビン・コスナーの『ダンス・ウィズ・ウルブズ』やな。

でも原作ではコマンチ族なんだよね。

なぬ!?

映画では変更されたんだ。

最近よく、映画で登場人物が原作と違う「人種」に変更されると問題になるけど、今だったら『ダンス・ウィズ・ウルブズ』は大問題になっていたかもしれないね。

コマンチ族とスー族の現在の関係性はよくわからないけど。

『西郷どん』を熊本県民として描くようなもんやな。

「同じ九州やし、わからんやろ」って感じで。

いや、さすがにわかるでしょ…

それは日本人の感覚や。

アメリカ人の大半はニューヨークがどこにあるかすらわかっとらん。

コマンチとスーの区別なんか、つくわけがないやろ。

さて、『Hostiles』でシャイアン族の元酋長イエロー・ホークを演じたウェス・ステュディを紹介しようかな。

Wes Studi(1946~)

彼は『ダンス・ウィズ・ウルブズ』で恐ろしいポーニー族の戦士を演じて、注目されるようになった俳優なんだ。

『Dances with Wolves』(1990)

めっちゃ笑顔w

別の意味で『Dances with Wolves』って感じやな。

そして『ラスト・オブ・モヒカン』ではモヒカン族のライバルであるヒューロン族の戦士を演じて、「インディアンの戦士役」の第一人者となった。

『The Last of the Mohicans』(1992)

なんでオフショットばかりやねん。

「恐ろしいインディアン」って役なんで、映画のシーンだと凄い形相ばかりなんだよ。

普段の彼はとっても温厚で紳士的な人だからね。

役作りだから仕方ないし、普段はいい人ってことくらいみんな知ってるよ!

そして人気アーケードゲームの映画『ストリートファイター』では、悪役サガットを演じた。

『Street Fighter』(1994)

その後も、こわもての悪役で映画に出演することが多かったんだけど、日本ではイマイチ「西部劇&インディアン映画」の人気が無いんで、あまり劇場公開されることはなかった。

でも、あの超大作『アバター』で老戦士を演じ、再び脚光を浴びる。

『 Avatar』(2009)

おお!あのカッコいい戦士か!

だけど日本で「ウェス・ステュディ」ブームが起こることはなかった…

再び彼の出演作は、日本で日の目を見ない日が続く…

ロバート・デ・ニーロと共演した『Being Flynn』も劇場公開されなかった…

『Being Flynn』(2012)

デニーロ主演でも?

そうなんだよ。

しかもこの作品、日本ではまず動画配信されたんだけど、その時のタイトルは『ビーイング・フリン 〜僕と父さんをつなぐもの〜』だった。

そしてその後にDVD化されたんだけど、タイトルは『ロバート・デ・ニーロ エグザイル』に変更された。

ロバート・デ・ニーロがEXILE!?

たぶんEXILE人気にあやかったんだろうね。

でも、こういう「原題・邦題・ビデオタイトル」が全く違うものになってしまった映画って、忘れられていく傾向が強いんだよね。

タイトルがバラバラだと、覚えづらいし、愛着がわかないから。

でも、作品自体は素晴らしいものなので、ぜひ見て欲しいな。

随所に『タクシードライバー』入っとるな…

そして2014年には、西部劇コメディ映画『A Million Ways to Die in the West』に出演。これまで自分が演じてきたインディアンキャラクタ―のパロディを披露した。

『A Million Ways to Die in the West』(2014)

日本では『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』という邦題で単館上映されたけど、ほとんど話題にならなかったね。

西部劇ネタとかインディアンに関するジョークとか、日本では馴染みがないからかな…

今度は寅さんに便乗?

このパターンで行くと、今度の『Hostiles』も何かに便乗したタイトルになりそうやな。

「hostile」っちゅう単語も日本人にはイメージが湧かんし。

何に便乗するだろう?

クリスチャン・ベール主演作だから『アメリカン・ハッスル』に便乗するってのはどうだろう?

「Hustle(ハッスル)」と「Hostile(ホッスル)」は発音がほとんど一緒だから…

『アメリカン・ホッスル』!

アカンやろ。

まあ、どんな邦題になるにせよ、いい映画なんでぜひとも劇場公開して欲しいね。

ってことで、また来週!


『Hostiles』

監督・脚本・製作:スコット・クーパー
製作:ジョン・レッシャー、ケン・カオ
出演:クリスチャン・ベール、ウェス・ステュディ、ロザムンド・パイク、ジェシー・プレモンス、アダム・ビーチ、ロリー・コクレーン、ベン・フォスターほか


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