スナックふかよみ_セプテンバー_ソング_完結篇1あ

深読み セプテンバー・ソング 完結篇1 ~EW&Fの『セプテンバー』の「9月」も「4月」のことです


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2019年9月1日(日曜)
スナックふかよみ


こうして彼は完全に悟った。

彼女が「現実化」を望んだ「計画」とは何なのか、ということを。

セプテンバー…

つまり、第7の月ニサン15日の処刑と、二日後の復活…

そして歌は最後のサビに突入し、ドラマもフィナーレを迎える。

ステージはもちろん、彼女が落書きをした工場のシャッター前だ…

その前にもう一度ミュージックビデオを見ておきましょう。

2分45秒からです。

屋上で彼はすべてを悟り、彼女とのキスを思い浮かべていた…

すると突然、場面は夜の裏路地に戻る。

行方をくらましていた彼女が帰って来るシーンだ。

彼女は、あの夜によじ登って消えた街灯の上から、飛び降りて再び姿を現す…

あの街灯は「十字架」だったわよね…

つまり彼女は「復活」した…

彼女は「ポリエチレン袋の工場」まで歩き始める。

「ポリエチレン」とは「十字架のキリスト」を意味していたね。

いっぽう、部屋の窓辺でウトウトしていた彼は、気配を察知して目を覚ます。

工場前に辿り着いた彼女は、被っていたフードを脱ぎながら、シャッターを呆然と見つめる…

そこに描かれていたものは…

完成されたメッセージね…

Be Realistic:
Plan for a Miracle

「:(コロン)」は、前と後の文が内容的にイコールであるという意味…

つまり「奇跡への計画」が「現実的・実在的であれ」というメッセージです…

だから消えた彼女が帰って来て、目の前に現れたのね。

弟子たちの前に現れたイエスみたいに…

そして「Be Realistic」は「写実的・本物そっくりにやれ」という意味にも取れる。

このMVが「イエスの死と復活」を遠回しに描いていることへの「メタ自虐ツッコミ」にもなっているんだよね。

「オチ」としては最高のメッセージです。

そして彼女は視線を感じ、振り返って彼を捜す。

彼は窓から手を振った。

それを見た彼女は、微笑みを浮かべ、手を振りかえした…

ここでシャッターの上の看板も一緒に映って、すべての完成ね。

救世主キリスト
現実的・実在的であれ
奇跡への計画

最後に流れる歌詞も完璧。

And I, I remember the chorus
They were singing it for us

「the chorus」は、福音書のクライマックス…

つまりイエスの死と復活の奇跡…

それは彼と彼女のことを歌っていた…

奇跡を信じるすべての人たちのために…

日本代表も再び奇跡を起こしてほしいです。

2015年W杯の南アフリカ戦のような奇跡を。

奇跡って一度しか起きないから奇跡なんじゃないの?

そんなことはありません!

信じる力があれば奇跡は起きるのです!

この歌じゃないけど、大前提として、明確なプランが必要だけどね。

『創世記』から神が伏線張ってたみたいな。

日本はワールドカップ開幕前の最終テストマッチとして南アフリカと再び対戦するらしいから楽しみにしていよう。

きっと完璧なプランを準備しているはずだから。

そうね。何せホスト国として4年間みっちり準備してきたんだもんね。

そ、そうですよ…

ところで…深代サン…

なあに?

喉が渇いたのでドリンクのお代わりをください…

今度は山崎12年のリポビタンD割りを…

相変わらずリッチなマイケルさんだこと(笑)

でも…

いくら何にでも合うリポDでも、サントリーとの組み合わせは、さすがに今の時期マズいんじゃなくて?

あ…

W杯メインスポンサーのハイネケンとサントリーは競合だからね。

ハイネケンの日本提携先であるキリンのウィスキー「富士山麓樽熟50度」のリポD割りにしたら?

そ、そうします…

深代サンと岡江サンもどうぞ…

ごちそうさまでーす💛

さて、これでJPクーパーの『September Song』の解説は終わりだ。

最後に、この曲の元ネタになった「セプテンバー・ソング」について話しておこうか。

そうそう忘れてた!

どんな9月の歌なの?

誰でも知ってる有名な「9月」の歌だよ。

Earth, Wind & Fireの『September』…

アース・ウィンド・アンド・ファイアーの『セプテンバー』が!?

マジで!?

そう。

この歌の「September」もユダヤ政治暦の「第7月」のこと…

つまり秋ではなく春の季節に当たる「ニサン(Nisan)」のことなんだよね。

12月に9月のことを回想する歌じゃなかったの?

違うんだな。

「1978年」の「12月25日未明」に「4月21日の夜」を回想する歌なんだ。

年も月日も決まってるの!?

12月25日はクリスマスだからわかるけど、「4月21日」って何の日?

『セプテンバー』がリリースされたのは「1978年」の11月のこと。

そして「1978年」の「4月21日」は、ユダヤ暦では「ニサン14日」だった…

つまり「最後の晩餐」や「イエスの十字架刑」の日なんだ…

ホントに?

この西暦とユダヤ暦の対応表を見てごらん…

ちょっと待って。

「最後の晩餐」や「十字架刑」の日は「ニサン15日」だったでしょ?

14日は前の日じゃん。

そうじゃないんです深代サン…

え?

最後の晩餐と十字架刑が「ニサン15日」なのは、四福音書のうち「マタイ・マルコ・ルカ」の三書…

残る一書『ヨハネの福音書』だけは「ニサン14日」なのです…

ええ!そうなの!?

岡江クン、なんで今まで教えてくれなかったのよ!

だって毎回いちいち「ニサン15日(ヨハネの福音書では14日)」なんて説明してたら面倒でしょ?

確かにそうだけど…

それに、特に断りがなければ、普通は「最後の晩餐=ニサン15日」とするマタイ・マルコ・ルカの共観福音書を基準に話をすることになっている。

『ヨハネによる福音書』といい『ヨハネの黙示録』といい、ヨハネ関連の書は内容がちょっと特殊で、ちょっとややこしいんだ。

まあ、だから面白いんだけどね。

そうなんだ…

だけどホントに『セプテンバー』の「セプテンバー」は「4月」のことなの?

そうだよ。今から解説しよう。

1番の出だしはこんな歌詞だった。

Do you remember
the 21st night of September?
Love was changing the minds of pretenders
While chasing the clouds away

「キミはニサン14日の夜を覚えてる?」

ってこと?

その通り。だからこう続くんだ。

愛は心を偽る者たちの考え方を変えた
空を覆っていた雲が晴れていく間に

あ、そっか!

イエスが十字架にかけられた時、分厚い雲が空を覆って、昼なのに辺り一面暗くなったんだっけ!

だから「夜」だったのね!

そして絶命した時に天変地異が起こり、その後は普通の空に戻った…

聖書を元ネタにした歌は、よくこの「夜」のトリックを使う。

だから以下の歌詞でも「night」は「夜」ではない…

Our hearts were ringing
In the key that our souls were singing.
As we danced in the night,
Remember how the stars stole the night away

ボクらの心は高鳴った
魂が奏でる調べに乗って
ボクらが踊った、あの夜…

ん?星が夜を盗む?

最後の行は、どう訳したらいいのかしら?

「the stars」は「宿命」という意味…

つまり人間の罪を背負い十字架で死ぬために地上へ生まれてきたイエスのこと…

映画『The Greatest Showman(グレイテスト・ショーマン)』の挿入歌『Rewrite The Stars(運命を書き換えよう)』でもお馴染みだね。

元々は占星術用語なんだけど、Earth, Wind & Fire(土・風・火)というバンド名も占星術から取られたものなんだよ。

そして「steal away」とは「主に身も心も委ねよう」という意味…

黒人霊歌(ゴスペル)の名曲『Steal Away』でお馴染みです…

この歌では「鳴り響くラッパ」という歌詞が何度も出てくるのですが、EW&Fはそれも踏まえて曲作りをしてます…

つまり最後の行は…

贖いの小羊イエスが、どのようにして天の父に引き上げられたのか思い出そう

という意味になっているんだね。

なるほど!

だけどマイケルさん、こういうことにも詳しいのね。

わたしはニュージーランドのクライストチャーチ生まれですから。

そして最後の歌詞で、この曲が「12月」に歌われているものであることがわかる。

Now December found the love we shared in September.
Only blue talk and love,
Remember the true love we share today

ニサン14日に別れたイエスと「12月」に再会するってことは…

やっぱりこの日はクリスマス・イブだわ。

そして何と言っても「blue talk and love」というフレーズが絶妙すぎる。

「blue talk」というのは、一般的には「エッチな話」とか「愛のささやき」という意味になるんだけど、それだと「love」と被ってしまう。

それもそのはず。ここでの「blue」は別の意味なんだ。

「空・天」もしくは「悲しみ」という意味なんだよね。

イエスが降誕した夜、空にはひときわ輝く「ベツレヘムの星」が出ていた…

そしてイエスは旧約聖書の『イザヤ書』で預言された「悲しみの子」…

だから最後のフレーズが、

今日ボクらが共有する真実の愛を忘れないようにしよう

なのね…

かなり深い歌です『September』は。

数多くのアーティストに影響を与えたのも頷けるというもの。

ただのキャッチーでノリのいいディスコミュージックじゃなかったのね。

だってEW&Fが『セプテンバー』の次にリリースした曲は、『ヨハネの黙示録』を題材にした『石の刻印』という曲なんだよ。

しかもその曲が1曲目に入ったアルバムの邦題は『黙示録』だった。

もともとゴスペル色の強いグループなんだ。

そうだったのね、知らなかったわ…


カランカラン♫
(ドアの開く音)



あれ?お客さんだ…

あら、五郎ちゃん!久しぶり~



最終回へつづく







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