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第12回:ウィロビー署長の吐血の意味 『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解説

さて映画序盤の山場「ウィロビー署長によるミルドレッド取り調べ」を解説しよう。

ここで交わされる会話は、この『スリー・ビルボード』という物語を正しく理解する上で非常に重要だ。

署に連行される経緯は前回で詳しく解説してます。

ウィロビーの前にディクソンとの笑えるやり取りがあったな。

あれも大事なんか?

そうだね。

あのやり取りは、アンジェラ殺害事件の真相に迫るカギである「吐血」への布石なんだ。

ディクソンはミルドレッドが発した言葉「Niggerいじめ」を「Persons of color(有色人種)への虐待」と言い換えさせた。

「黒んぼイジメと言うな!《肌に色の付いた人》への虐待と言え!」と。

あんまり言い換えになってないよな(笑)

でもね、よく考えてみて。

《肌に色の付いた人》って、まさにウィロビーがアンジェラをレイプしてる際に、彼女の肌へ血を吐いてしまい、その血痕を消すためにガソリンをかけて徹底的に燃やしたことに重なっているんだよ…

ああ、確かにそうだ…

しかもミルドレッドが最初に言った「黒人への虐待」とは、黒焦げになったアンジェラにも重なっている。

つまりディクソンが強調するセリフ「黒人虐待と言うな!肌に色の付いた人への虐待と言え!」とは…

「黒焦げ死体と言うな!肌に赤い血が付いたからガソリンかけて燃やしたと言え!」

という意味にもなっているんだな…

うわあ…

そしてディクソンは、途中で入って来たウィロビーにも「肌に色の付いた人への虐待」を力説する。

アンジェラの肌に色を付けた張本人だとも知らずに…

さすが狂言回し役のディクソン、完璧な前フリだな。

サム・ロックウェルは、この映画の中で最も重要な役を見事に演じている。

アカデミー助演男優賞も納得だ。

ウィロビーの取り調べの前にディクソンとミルドレッドのやり取りが挿まれたのは、そうゆうことだったのか…

ちゃんと深い意味があったんだ…

さて、ウィロビーは軽くホモセクシュアル蔑視のジョークを言ったあと、ミルドレッドへの取り調べを始める…

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