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コーヒー豆を作るおっちゃんから学んだ「本当のクリエイターとは」

兵庫県三田市のとある小さなコーヒ屋さんを訪れた。コーヒーが飲める訳でもなく、小さな小さな小屋でコーヒ豆を作っているお店だ。

お店に着いた瞬間、雨の中屋内に入った訳でもないのに、とても香り豊かなコーヒー豆の香りが漂っていた。

中に入ると、焙煎機の眺めては紙になにかを書き続けるおっちゃんが居座っていた。

最初はちょっと取っ付きにくいなという印象だった。でも、それは一瞬で払拭される。

コーヒー豆を焙煎し続けて8年。独自の理論を築き上げ、中国の富裕層にも愛されるコーヒー豆を作り上げるとんでもない方だった。

その理論がとてもおもしろい。ネットはもちろん他のコーヒー屋さんでも聞けないさまざななお話が飛び込んでくる。

一から独学でひたすら焙煎をしては、記録を続けてきたからこそたどり着いた、彼だけの理論だ。

何よりも驚いたのは、豆を焙煎してから一番おいしくなるタイミングのお話だ。

豆は焙煎してすぐ挽いて飲んでも美味しくないとのこと。魚と同じように、数日間休ませて馴染ませるのが必要だと、彼は語る。

そこで彼が気になったのが、種類にとって馴染む時間が違うこと。なぜ違ってくるのか、生産地でもなければ、豆の品種や焙煎の具合でもない。

結果、馴染む時間を決める要素として、豆の皮の硬さだった。硬ければ硬いほど馴染む時間が必要だという法則に気がついた。それも誰から聞いた訳ではない。コーヒーミルで粉を作る時の音の違いがあることがきっかけだったそうだ。

それを聞いた僕は、「とんでもない人だ!」と驚くばかりだった。これぞ職人、クリエイターだ。

彼曰く、「最初に理論を聞いても、その仕組みがわからないといけない。でも、それを自分で実践して自分で気づくのがおもしろい。」と。

だから、日頃から物事に問いを投げかけているとのこと。例えば、10時間かけて一滴ずつ水を垂らして淹れる方法(器具だけで数十万もする!)があるのだが、それも仕組みが気になり、結果独自の淹れ方を開発してしまった。実際そっちの方が美味しいとお店の方からも言われているそう。

「豆の立場で考えたらそこに行き着いた。」と彼は言う。

今では、コーヒー豆の作り方とハムの作り方に共通点があるらしく、ハムも作っているとのこと。友達曰くそれがもうとんでもなく美味しいらしい。そんなん食いたいに決まってるやん。。

そんなとんでもない方が作るコーヒー豆だが、価格は他のお店と変わらない。いやもう、倍の価格払っても良いです。

今の時代、いろんなノウハウが飛び交っている。それを学んで近道できると思う。でも、彼から学んだことは、結果は8年もかかるけど、そこに行き着くまでのプロセスがとても楽しいということ。

結果だけではなく、プロセスもとことん楽しむ。本当の意味でのクリエイターに出会った。

たった30分の時間だったが、僕はも彼のお店以外ではコーヒー豆を買わないことにした。

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