お茶の時間

毎朝起きると、まず緑茶を飲んでいます。

小さな湯呑み三杯分くらいのお茶を、何も考えずに、ただゆっくり飲む。

時間にすると15分ほどですが、私はその時間があるだけで、とても心穏やかに一日を始めることができます。


20代前半くらいまでは紅茶党で、特にTWINIGSのLADY GRAYはいつも家に常備して、喉が乾いたら水代わりのように飲んでいました^^;

当時の緑茶への印象は、色々な意味で「渋」く、当たり前のように在り過ぎて、そもそも好きとか嫌いとか自体を考えたこともありませんでした。


それが数年前、母の買い物に付き合って行った新富町の新緑園さんで、お店の方に淹れて頂いたお茶を飲んだとき、私の中の緑茶の印象が、がらりと変わりました。

試飲としてご好意で淹れて頂いたものですが、ひとり用の小さなお盆の上に、緑茶と、ちょっとしたお茶菓子、そしてその時は、そこに小さなビオラの花が添えられていました。

お盆の優しい木の色、お茶のさわやかな緑、そして優しい紫に黄色のアクセントが入った小さなビオラ。

目に入った瞬間に、心の中が明るく照らされた感じがしました。


戴くと、とろりとしていて、ちょうど飲み頃の熱さのお茶が滑らかに口に入ってくると同時に、さわやかな香りが鼻を抜けます。

味わうとお出汁のような旨味を感じ、喉を通った後には優しい甘みが余韻として残りました。

一杯のお茶を、味わいながらゆっくり飲んで、飲み終わったとき、お湯呑みの底に薄ピンクの桜の花が現れました。

思わず顔がほころび、母と、可愛いね〜と言いながら幸せな気分になりました。


それまでの私にとっては、お茶を飲むこと=喉を潤すこと、であったように思います。

五感で味わうことで、こんなに豊かな時間が過ごせることを、その時初めて知りました。

もちろん紅茶も、コーヒーも、目、耳、鼻、舌、肌で感じて楽しむものだと思います。私はたまたま、そういった楽しみ方を知ったきっかけが、緑茶になりました。


今私は、お茶は自分だけで楽しむことがほとんどです。

お店の方が淹れてくださったお茶のように、あくまでもさりげなく、ささやかに、それでいて相手の心を明るく照らすような、

「OMOTENASHI」ではない本来の「おもてなし」ができる人になりたいな〜と思う、今日この頃です^ ^






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