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さくらみみの黒猫キキ!どっちが長生きするか、競争しよ♡


いままで、何匹の保護猫と暮らしてきただろう。

人生の大半を保護猫と共に生きていた私は、猫の居る生活が当たり前で今日まできた。

人生最初の猫ライフは、中学生のころ。向かい入れた保護猫は、みーちゃん。たしか、中学校裏手にある神社の境内で保護された子猫。

次は、結婚直後に向かい入れたミャー。とにかくとにかく、ミャーミャーと泣くので、ミャーと名付けた。

そのあとは、リリ。ハチワレの賢い子で、当時小学生だった娘と一緒に通学して、帰宅時間が近づくと、角のパン屋さんまで迎えに行っていた。近所では賢い猫とランドセルを背負ったおさげのお嬢とのデコボココンビは、有名だった。

そして、その次。嵐の夜に向かい入れた、ちーちゃん。

コンビニ裏手で何年もふらふらしているところを保護され、そして縁あって我が家で向かい入れた。

このちーちゃんは、推定5歳で保護され、推定21歳で虹の橋へ向かって旅立った。

我が家で向かい入れた保護猫の中で、このちーちゃんが一番長く家族でいてくれた。

16年間、片時も離れずに過ごしてきた。私の大病をした時も、お嬢が登校拒否になった時も、いつも力になってくれた。

お嬢の浪人時代、私の激務時代・・・すべてを共に過ごし、ちーちゃんの一生懸命挑戦する姿を毎日眺めながら、自分たちも日々挑戦する力をもらっていた、だから、ちーちゃんがいなくなったとの私の落ち込み様は、それはそれはひどいものだった。

私ももう50代後半にさしかかる。

もう、猫ちゃんとの生活は、これで終わりかな・・・

そう思っていた。

そんな私の姿をみた友人が、知り合いの保護猫活動家さんを紹介してくれた。

実は、推定2歳のクロネコちゃんを保護し、保護猫施設として開放している活動家さんの個人宅で、数匹の先住の保護猫ちゃんたちと暮らしているが、とにかく、ほかの猫ちゃんたちと折り合いが悪く、里親を探しているとのことだった。

一度、会ってみない?

友人は、私のあまりにも憔悴しきった様子をみて、私と保護猫活動家さんとその保護猫との橋渡しをしてくれたのだ。

今までの猫ちゃんたちは、私のもとに来たその日から、私の布団で寝るくらい、人懐っこい猫ちゃんたちばかりだった。

猫の居ない生活が1か月以上続くと、夜のベッドが広く感じて、そして寂しさも増してくる。

そろそろ、やっぱり、一緒に猫ちゃんとねんねしたいなぁ。

なんて思ってきたころでもあったし、

落ち込んでばかりいてもいかんしな・・・

もう一回猫ライフ、始めてみるか!

と、思い始めていた。

保護猫活動家さんと私とそのクロネコちゃんとのお見合いの日がセットアップされたのは、2021年秋のある晴れた日曜日の昼だった。

一台の車から、二人の保護猫活動家さんに連れられて、クロネコちゃんがやってきた。

全部の部屋を閉め切ってください!

そういわれて、ある程度部屋のドアを閉めたが、洗濯機置き場へのドアと寝室とのドアは、開けっ放しのままだった。

キャットキャリアのジッパーを開けた、その瞬間。

突然そのクロネコちゃんは、一目散に走って逃げたのだ。

それも、洗濯機の裏に!

さあ、大変。

保護猫活動家さんが、色々な捕獲グッズのようなものを持ってきていて、それで何とか捕獲?。

家の中で捕獲って・・・

今までの猫ちゃんたちと、大きく違うので、保護猫のベテラン里親と自負する私でも、正直びっくり。

そんなこんなしている間に、捕獲?した洗濯ネットの隙間から、またまた脱走!

ものすごい速さで逃げまくり、今度は私の寝室のベッドの下に。

またまた、捕獲?して、キャリアに戻そうとしたとき、


あ、大変!!!


コロナ禍でほんの少し換気のために開けておいた、窓の隙間(網戸は閉めてあったけど)から、外へ逃げようとしたのだ。

外に逃げたら、事故に遭う!

とっさにそう思った私は、思わず両手で、しかも素手でクロネコちゃんの体をつかまえたのだ。それも後ろから。


一瞬のことだった。

痛い!

見ると、腕、指、手のひら、何か所も思いっきりかまれたのだ。

みるみるうちに腫れあがり、大出血!

咬んだ歯が、私の手の甲に食い込んでいたが、離せば外へ逃げてしまうかもしれない。

出血したまま、なんとか抱きかかえ、キャリアに戻してジッパーをしめた。

すぐに、キッチンへ行き、流水で洗い流すも、どんどん傷口の色がかわっていく。

保護猫活動家さんが、バツが悪そうに、

本当は、とってもいい子なんです。本当です、とってもいい子なんです。


そう何度も何度も繰り返した。

わかっている。私はわかっている。クロネコちゃんは、怖かったのだ。本当に怖かったのだ。

聞けば、コンビニの裏手の路上で生活をして約2年。その間に2度ほど出産したらしい。

酔っぱらいのおじさんが、気まぐれで買って与えてくれる「からあげくん」を食べて上をしのぎ、子供を育てていたところを、保護されたのだ。

保護されたといっても、クロネコちゃんには「保護」なんて言葉は理解できていない。


突然、数人の人間に囲まれ、網のようなもので捕まえられ、そのまま獣医さんのところへ連れていかれ、そして避妊手術を受けさせられたのだ。


痛くて、怖い思いしか、記憶にないのだろう。

よーくみると、片耳が切れている。

桜の花びらみたいに。


これはなんですか、どうしてこんなお耳なんですか?虐待されたのですか?


涙目で詰問する私に、保護猫活動家さんが答えた。


これは、さくらみみと言って、避妊手術済みの地域猫ちゃんですよ!という証なんです。

と。

ん? ということは、この子、またお外に戻されちゃうんですか?

私はまた、きつく質問した。

まだ、わかりませんが、そうなる可能性もなくはないです。そうならないためにも、どなたかに家族として向かい入れていだたきたいのです。

と。

一緒にいたオットや妹は、奥のようで、活動家さんにわからないように、首を横に強く振っていた。

やめときな、と言いたいのだ。

でも・・・

私は、流血している手を水にさらしながら、


この子、うちの子として向かい入れたいと思います。

そう、答えた。


保護猫活動家さんは、私の気が変わらないうちに…と考えたのだろう。


翌週の日曜日に譲渡したいといった。

私は、大丈夫です、と即答。

名もないクロネコだった彼女を、我が家に来るまでの1週間、「キキ」と呼んでもらうようお願いした。

何度も何度も「キキ」と呼んでもらえたら、彼女は「キキ」になる。

翌日、腕や手が腫れた。少し熱を持った。すぐにかかりつけの病院に行き、処置をしてもらった。

こりゃまた、ずいぶん、派手にやられたね。

その子、本当に迎えるの?やめておいたら?

ドクターに、そう言われた。

コロナ禍ということもあり、熱っぽさがあったため、大事をとってカルチャースクールの仕事をお休みさえてもらった。

その翌日には、まだ腫れは残っていたものの、体調は完全復活したため、カルチャースクールの仕事に向かった。

事務所のスタッフさんや講師仲間には、

やめときなよ、無理だよ、そんな子。またケガするよ。


ここでも、私の気が変わることを願うようにそう言った。

それでも、私の気持ちは揺らがなかった。

なんでだろう。ガブっとされた時の、あの不安そうでだれも信用していないというもの悲しげな目をみてしまったからかもしれない。

翌週の日曜日。

彼女ややってきた。

キキ!


と呼んでみた。が、ずっと下を向いている。


キキのために、2階建ての大きなゲージを用意し、私の寝室に置いた。

同じ部屋で寝たかった。

我が家に来た初日。

水も飲まず、餌も食べない。ゲージの2階部分の隅っこに、震えて座っている。なでると小さい声で鳴く。

こんにちは。貴方はキキちゃんだよ。キキ、キキちゃん、キキたん・・・

そう言って、毎日毎朝毎晩声をかけて、なでなでした。

3日が経った。

それでも、水も飲まず、餌もたべない。

不安になって、チュールをあげてみた。

なめた。たべた。完食した。

よかった。生きてくれる。

ほっとした。涙が出た。キキも小さい声で鳴いていた。

5日目、やっぱりチュールしか食べない。

トイレもいかない。

このままでは、死んでしまうかもしれない。

不安が不安を呼んだ。

やっぱり、無理なのか・・・

ベテランの里親なんて、うぬぼれだったのか・・・

やっぱりこの子は、お外がいいのか・・・

そんなことを思いながら7日目。

真夜中のことだった。コトっと音がした。

そっと目を開けると、黒い物体が、ゲージの外にいた。

気づかれないように薄目を開けて、その姿を眺めていた。

そろそろと寝室内を歩き、そして、カリカリの餌とウェットの餌を食べ始めたのだ。

そのあと、べちゃべちゃと音がした。

そっと見ると、水を飲んでいる。


そのあと、トイレの砂をがりがりとかく音が。

やった、やっとだ。


キキちゃん、よかった、ほんとによかった、

起き上がって、そう言って、キキちゃんのところへ近づくと、一目散にゲージの2階の隅っこへ走って行ってしまった。

私は、真夜中、くすっと笑い、そして、布団の中で泣いた。


1か月がたった。

少しづつ少しづつゲージの外に出てくる時間が増えた。それでも近くい寄ろうとはしなかった。

3か月がたった。

一日のほとんどをゲージの外で過ごすようになった。時折私のそばに寄ってくるようになったが、抱っこしようとすると逃げた。

4か月目。

私が仕事で留守をしている間、ソファーの上やキャットタワーの上で過ごすようになっていた。

5か月目には、プリンターの上が定位置になった。背伸びをしたり、お腹を見せたり。時には、窓越しにカラスやすずめ、ヤモリとも遊ぶようになった。

半年たったころには、私の布団の中で眠るようになった。

我が家にきてから10か月の今、私の足に絡みつき、私の腕に絡みつき、好みでない餌を出すと、ふーん!としてプイっとしてすねる。

私は、ささみが欲しいのよ!

と催促までするようになった。

穏やかで、優しい目になった。

やっと、人間である私に心を許してくれたのだ。

さあ、ここからが本番。

女二人暮らし・・・いや、一人と一匹暮らし。

共に子育て経験もあることだし、女同士の生活を楽しみますかね。

ね、キキたん♡





#うちの保護いぬ保護ねこ

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