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ある視点(コラムやエッセイ)

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2019年7月の記事一覧

なんか青春が来そう、そんな予感。

なんか青春が来そう、そんな予感。

 30代後半の男が何を青いことをと言われるかもしれないが。なんかちょっとした予感があるんです、青い時期が再びやって来そうな気が。でもそれはすぐそこの未来にある感じではなくて、まだもう少し先のような気がしていて。(ちょっとBLUE GIANTに影響されてる説ありますがそれはいったん置いておきましょう。)

 思えば部活などはやっていたものの、いわゆる「青春」を過ごした記憶、もしくは認識がないんですよ

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【フツーの人々(5人目) / カセットテープの男】

【フツーの人々(5人目) / カセットテープの男】

 夕方の混んでいる電車に、その男は乗って来た。

 肌や髪の質から見ておそらく年は50代。ぼろぼろのトートバッグを肩にかけ、気づかう気配は微塵もなくほかの乗客たちですでにいっぱいの車両にグイグイ乗り込んでくる。もちろん、周囲は迷惑そうに男を見るが一向に気にする様子はない。むしろ、「そっちが何で動かないんだよ」とでもいうような視線を投げかけてくる。けれど男とほかの乗客の視線が交わされることはない。

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働き方を考えていたら、遊び方を考えていた。

働き方を考えていたら、遊び方を考えていた。

 現状について正直に話そう。

 誰にも求められていないし、それが何のため、誰かのためになるとも思えない。家族は僕がこんなことを思っているとは深くは知らないし、会社の同僚や上司はもちろん知る由もない。そもそも、自分のことを口頭で話すのが不得手なのだ。だから正直に話すというのは、自分としてはなかなかのハードルだ。

 最近、働くことについて考えている。もちろんそんなことばかりを考えているわけではなく

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引っ越していった友人に。

引っ越していった友人に。

 最近、友人が引っ越しをした。
 同じ沿線に住むわりと近所に住んでいた友人だったのだが、となりの区とは言え電車で1時間程度はかかる場所へと越したのだ。

 引っ越したい、という話は少し前から聞いていた。友人は昨年、とある大企業に転職をしたのだが、そこでの縦割りぶりや同僚とのコミュニケーションに四苦八苦しているらしかった。ときどき会うと、冗談めかしてよく愚痴を言い合っていた。本気でグチをこぼせばそれ

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今までずっと、外で引きこもっていたようなものだった。

今までずっと、外で引きこもっていたようなものだった。

 あなたには、どれくらい親友と呼べる人がいますか?

 ちなみに僕は多く見積もっても2人くらいです。高校からの付き合いで今はロンドンで仕立て屋をしている男と、今の会社にお互い中途入社した同い年のデジタルプランナーの男と。どちらも僕にとっては珍しい太く長く続いている関係です。(10年以上前に飼っていた犬も親友かつ弟のような存在でしたがそれは割愛します。)

 親友もなかなか少ない僕ですが、友だちもか

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今は凪いでいる。

今は凪いでいる。

 今月で定年退職したプロデューサーがいました。

 背が高くとても定年するくらいの年齢には見えないその人は、とにかくいつも明るくオープン。キビキビという言葉が歩いているような感じです。
 決して洗練はされたはいないんだけれどスッと伸びた背筋でスーツを着こなし、毎日寸分の狂いもなく七三にセットされたヘアスタイルで、朝は会う人会う人に「おはようございます!」と挨拶をするような人でした。
 髪があまりに

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