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ある視点(コラムやエッセイ)

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#コラム

ときどき心を換気しよう。

ときどき心を換気しよう。

先が見えないと、どうしても塞ぎがちになる。
けれど、今が5月でよかったと改めて思う。

空は青々と抜け、緑はまぶしくそよいで、
葉桜となった樹からは緑の虫がぶら下がっている。
なんとも言えず気持ちがいい。

5月は、1年でいちばん好きな季節だ。
こんな状況だからこそ、そんなことを強く思う。 #STAY HOMEという言葉は綺麗な言葉だけれど、
違う角度から見れば #軟禁 のようなものだ。
家にいる

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アンパンマンの孤独

アンパンマンの孤独

『おそれないで みんなのために
 愛と勇気だけがともだちさ
 ああ アンパンマン
 やさしい君は
 いけ!みんなの夢守るため』

 子どもたちと車で遠出をするとき、
彼らはアンパンマンのCDをオーダーする。
不意に明るく流れ出した歌に合わせて、
子どもたちも嬉しそうに合唱する。

 けれどこのアンパンマンのマーチを聞くと、
父である僕はなぜかとても切ない気持ちになってしまう。
だって、愛と勇気だけ

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人生に親友は必要か。

人生に親友は必要か。

 今年、職場で唯一とも言える友人の結婚式に出席した。
 ほかの、ただの同僚であれば体良く断ったと思うのだけれど、彼は同い年でなおかつ転職組ということもあり、なぜだか最初から馬が合った。仕事の話だけではなく、くだらない話から下ネタまで、おおよそ同じ波長で話せる人間と出会うのはなかなか難しいことだ。特に下ネタはそもそもが下世話な話題のため、ともすると直截すぎるというか品がなくなるというか、そのあたりの

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忙しいのは正義か。

忙しいのは正義か。

忙しいということはいいことだ。これまでの時代、そう言われて来た。

貧乏暇なし、ともいうけれど、忙しいということは仕事がたくさんある、ということだ。フリーであればその分、大小の差こそあれ収入もわかりやすく増える。ただ会社員だと給料制なので、残業代は増えるものの大きなメリットはそこまでない。むしろある程度限られたレンジで、やる気やらやりがいやらを半ば強引に見つけて、その忙しさと対峙することになる。

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トイレのときどこ見るか問題

トイレのときどこ見るか問題

 まったくもってくだらない問題について書いてみよう。
 そう思って見つけたテーマがタイトルの「トイレのときどこ見るか問題」だ。

 女性のトイレ事情には当然疎いんだけれど、男性の小を足すとき、大きくは2つのパターンに分類されると思う。

 1つは(これが7割くらいのイメージだ)、下を向く人。つまり自分のムスコを覗き込む人々だ。これをやる人々は多くの場合、猫背になる。その小さく縮こまった後ろ姿から漂

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女性が走れば思い出す

女性が走れば思い出す

 今朝、通勤途中に走る女性を駅で見かけて、ふと中学生のころを思い出した。記憶というのはいつも脈絡なく、唐突にフラッシュバックする。女性はしっかりと後ろで結ばれたポニーテールが、走るテンポに合わせてゆらゆらときれいに揺れていた。

 当時、僕は胸が大きい女の子と付き合っていた。中学時代なので、胸の大小などで好きになったわけではなかったけれど、友人たちからも「岡本は巨乳好き」などとからかわれたりした。

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いくつかのスイッチについて

いくつかのスイッチについて

 以前から、高田純二のような人になりたいと思っていた。「適当教典」をパラパラめくったこともあるが、適当すぎて笑って数十ページで閉じた。あの人は意図的に適当にしているのだろうか。頭は良さそうな感じを受けるので、おそらくあえて適当な高田純二を演じているのだろう。どうすればあのように振る舞えるのか。その秘訣はいまだに解明できていない。

 どこかの塾か何かのCMで「やる気スイッチ」を謳っていたけれど、あ

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【フツーの人々(7人目) / ルービックキューブの少年】

【フツーの人々(7人目) / ルービックキューブの少年】

 少年は小学生だった。おそらく4年か5年か。胸に校章が入った白い半袖シャツとグレーのショートパンツの制服を着ていた。パッと見ただけではあまり特徴のない子だった。色白で短い髪にほっそりとした腕。いかにも都会で育った男の子といった感じだった。もう一度見かけたとしても、ほかの小学生と見分けがつかないだろう。少年は渋谷から乗ってくると、おもむろに立方体の物体を取り出した。

 それは、ルービックキューブだ

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もう制服化は諦めた(たぶん)。

もう制服化は諦めた(たぶん)。

 僕はミニマリストでもなんでもない。
 こんまりメソッドが海の向こうで大流行しているようだが、よけいなものをすべて断捨離しシンプルに生きる、というのは、それはそれでいい生き方だと思う。
 自分はというと、むしろ今年買っている古着などだけ見ても、真逆へ全速力で行っている。令和に浮かれているわけではないだろうが、この夏などは持っている夏服はあらかた入れ替わってしまったほどだ。
 にも関わらず、特に夏が

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秘密は、誰にでもある。

秘密は、誰にでもある。

 たとえ愛する家族や親しい友人がいたとしても、その誰にも打ち明けていない秘密の一つや二つはあるだろう。それが、気安く言える類ではない内容であったり、まあ隠すほどのことではないものであったりしても。

 僕の場合は、それが煙草だった。結婚するときまで、僕は隠れるでもなくデートの時などにも煙草を吸っていた。妻は(当時は彼女)煙草を吸わない人だった。煙草どころか、酒も飲まない健康的な人だ。当時の彼女は、

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纏っているオーラについて。

纏っているオーラについて。

 話しかけるなオーラを纏っているよね、とよく言われる。
 それに加えて、飄々としているとも言われたり、感じ悪いと思われてもいると聞いたこともある。

 そこまで自分で意識したことはないのだけれど、確かに自分を他人として想像してみると、決して話しかけやすいタイプではないだろうなと思う。
 特段ニコニコもしていないし、ぼうっともしていない。オープンな雰囲気は微塵も感じさせない(だろう)し、むしろ印象と

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もういくつ寝ると。

もういくつ寝ると。

 気がつけば、自分の誕生日まであと数日になっている。

 例年だとだいたい9月に入ったあたりから、「あーもうそろそろ誕生日だな」とか思ったりしていたんだけれど、今年は本当に「あれもう数日で誕生日やんけ」感が強い。まるで、まだだいぶ先に信号があるなと思いながら運転していたら気づけば頭上にそれがあった、という感じだ。

 というのも、7月に子ども2人の誕生日があるからだ。ここに意識が集中するようになっ

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「羞恥心はトイレが1人でできるようになると生まれる」説

「羞恥心はトイレが1人でできるようになると生まれる」説

 うちには子どもが2人いる。小1の娘と3才の息子だ。
 僕が小さかったころと同じように、トイレがまだ安心できない場所みたいで、それぞれのトイレスタイルがある。

 姉のほうは最近ようやく扉を閉じられるようになったけれど、できれば少しでも開けておいてほしいタイプ。一方、トイレトレーニング中でやっと大小ともにトイレで行えるようになってきた弟はと言うと、自分から「閉めてくださーい」と言う(いやむしろ叫ぶ

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「はいチーズ」が、死語になる未来。

「はいチーズ」が、死語になる未来。

 写真を撮られるときの自分について。どうも不自然に見える。というか、不自然極まりない。変に撮られることを意識し過ぎてて。これもまあ、自分の声を録音して「変な声だ」と思うのに似ているかもしれない。

 一方、家族を撮るのはとても好きだ。でも家族といっしょに映る時、1人だけおちゃらけたり変に畏ったりしていることが多いのだ。普通にしていればいいのに。でもその「普通」や「自然」が案外難しいのもまた事実。

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