損切丸

福島県郡山市出身。邦銀から某外資系投資銀行東京支店へ転職し、欧州通貨危機、リーマンショ…

損切丸

福島県郡山市出身。邦銀から某外資系投資銀行東京支店へ転職し、欧州通貨危機、リーマンショック、東日本大震災等に直面しながら何とか20数年生き延びた。後年は円の責任者として日銀、金融庁、財務省等ともやり取り。銀行間市場の資金・金利取引の元・専門家としての見解をご参考までに。

マガジン

  • 「損切丸」 ー 韓国編

    「損切丸」から2019年話題になった韓国に関する記事をまとめてみました。

  • 「損切丸」ー 金利編

    かつて「金利」を専門としていた「損切丸」がマーケットでの専門知識を生かして書いたnote。

  • 「損切丸」ー 暗号資産・デジタル通貨編

    昨今何かと話題になったビットコイン(BTC)やリブラなど暗号資産・デジタル通貨の「損切丸」note。

  • グローバル&地方編

    世界各地や日本各地を眺めてみて経済面から考えた note。

  • 「損切丸」- 「株・為替編」

    「損切丸」から株、為替のマーケットに焦点を当てた note。

最近の記事

  • 固定された記事

「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ1  筆者の自己紹介

 筆者は大学卒業後日本の大手都市銀行に入行。バブル全盛の頃は銀行業務の花形とまで謳われたディーリングルームで外貨の資金、金利取引に関わった。7年程勤めた後、外資系金融機関の東京支店に転職。いわゆる投資銀行業務で資金調達や金利トレーディングに22年間に渡って従事し、後年は日本円のグローバルな責任者として当局である日本銀行や金融庁、財務省とのやり取りを多くこなすことになった。  合計29年マーケット関連の仕事をこなす中、湾岸戦争、欧州通貨危機、アジア通貨危機、リーマンショック、

    • "積上がっているモノ" は何か? -「金利」との比較

       このところの日経平均の急落で「新NISA」を始めたばかりの方はマーケットからの "洗礼" を浴びているが、こういう時だからこそ「自分自身との対話」を深めて頂きたい。危機に直面した時①我慢する②ムキになって刃向かう③一旦「損切り」して出直す④横を向いて見ないようにする、等人それぞれ。最後の④だけは感心しないが自分の心がどう動いているかは判るだろう  日本人はとかくドル円や日経平均に目が向きがちだが、このところマーケットの至る所で "異変" が起きている。犯人はパウエル議長。

      • もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安」を止める "鍵"

         はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - ヘッジファンド ”恐るるに足らず”|損切丸 (note.com) を書いてきたが、どうやら ”ゲーム” のルールが変わってきたようだ。もう「円安」だけで「日経平均」は買えない  3月まであれだけ勢いよく買われてきた「無敵の日経平均」だが、今や見る影もないほど弱々しい。月2,000億円とも言われた「新NISA」の弾が切れつつあることもあろう。まさに実需の買い注文の先回りをして何万回も売買を繰り返すHFT(High Frequency

        • 「利下げ」が先か「株安」が先か

           予想を大きく上回った米小売売上高 ↑ をきっかけに米国債は急落。まあ物価が上がっているので名目値が上がるのは自然でもあるが、日本と違い ”買い控え” なんて起きない。いや、「インフレ」ならむしろ早く買わないと値段が上がってしまうので消費行動が活発になる。お給料が上がっているから成せる技でもあり、これが「インフレスパイラル」の怖い所  「利下げ」はやっと11月開始を織り込んでいるが、もはやその有無自体が問題となってきた  NY市場開始時には買い戻しで始まった米株式市場も金

        • 固定された記事

        「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ1  筆者の自己紹介

        マガジン

        • 「損切丸」-「日銀」編
          515本
        • 「損切丸」 ー 中国編
          310本
        • 「損切丸」ー「クライシス(危機)」編
          299本
        • 「損切丸」- 「株・為替編」
          830本
        • グローバル&地方編
          761本
        • 「損切丸」ー 暗号資産・デジタル通貨編
          261本

        記事

          "チャイナプレミアム" の出現と中国の苦況

           かつて日本のバブル崩壊後 "ジャパンプレミアム” という現象が起きた。筆者は英銀に転職した後だったので邦銀にドルを貸す立場になったが、社内でも邦銀向けのエクスポージャー(貸出資産)を厳格に管理する方向に転換。特に無担保でドルなどを貸し出す資金枠は厳しくなり、奇しくもグローバル管理を任される立場になった  最悪期で "ジャパンプレミアム” は@LIBOR+100~200BPにも及び、特に地銀などからは顔を合わせる度に「貸出枠を!」と要請されるので、営業が頼んできても面会を断

          "チャイナプレミアム" の出現と中国の苦況

          止まらない「過剰流動性」ゲーム - バローメーターはビットコイン

            "CPIショック" はちょっと大袈裟だが確かにマーケットの雰囲気は一変した。特に米国債とJGB(日本国債)。売り=金利に上昇に弾みがついている  米国債については「逆イールド」から一気に「フラットニング」(イールドカーブの平坦化)「スティープニング」に向かう勢い。「年内利下げ」期待は剥落しつつあるのが現状。このままCPIや雇用統計が上昇基調を維持すれば2年以降の米国債金利は@5%越え、下手をすると「利上げ」を言い出す市場関係者も出てきそうだ  虚を突かれたのはJGB。

          止まらない「過剰流動性」ゲーム - バローメーターはビットコイン

          続・想像以上にしつこい「インフレ」

           想像以上にしつこい「インフレ」|損切丸 (note.com) の続編  注目の米CPI ↑ が出た後の「損切丸」の正直な感想。特にコアの高止まりは(FRBにとっても)ショッキングで やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com) は健在。もう現実的に「利下げ」無しを考慮しなければいけなくなった  20年以上マーケットに関わってきたが、いつも 続・「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 株もタワマンも買いそびれ「円安」で物

          続・想像以上にしつこい「インフレ」

          「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」

           「投資」の考え方としては大きくこの2通りになる:  A.「インカムゲイン」(Income Gain)  「金利」「配当金」など定期的に得られる収入を目的とした「投資」。 ”サラリーマン大家” など家賃収入を目的とした賃貸アパートなどもこれに当るが、日本人はとにかくこっちが好き。「高利回り」と言われるとつい手が出てしまう。定期収入 ≓ 安定利益と勘違いしている点も多分にある  B.「キャピタルゲイン」(Capital Gain)  買った「投資」資産の値上がりで得られ

          「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」

          "金利のメッセージ" (Message in a Yield)

           前稿.続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) で 政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険|損切丸 (note.com) だから、マーケットの動きに反してFRB・ECBが6月にも「利下げ」を敢行するリスクに触れた。それはそれで仕方が無いことだが、こういう時大暴れするのが金利市場  発せられる "金利のメッセージ" とは?  もっとも分かり易いのが長短金利の差を表す「イールドカーブ」。中央銀行は政策金利としてO/N金利

          "金利のメッセージ" (Message in a Yield)

          続・米国経済本当は強い?弱い?

           米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) の続編  もう1年余りNFPにマーケットは悩まされ続けている。ISM非製造業指数を見ると価格等「インフレ」や景況感に減速の兆しが見えているが、とにかく「人が足りない」。平均時給が+4.3% → +4.1%と和らいでいるのが救い  雇用統計発表直後は「米国債売り」(ドル金利上昇)+「ドル買い」で反応したが徐々に落ち着いてきている  一方思わぬ急落に見舞われたのが「日経平均」。原因はこれ ↓  予想通り さらば

          続・米国経済本当は強い?弱い?

          共感が多く得られた「損切丸」

           note. の "エゴサ" みたいで恐縮だが、共感が多く得られた( "スキ" 28~)「損切丸」を集めてみた:  何と言っても「コロナ危機」真っ只中。そんな中書いた「コロナ後の世界」シリーズだが、大筋では外していない。「金利」に関してもその後のFRBによる大幅「利上げ」が "おかしい金利" を証明  ジワジワと「インフレ」が始まって「実質賃金」の低下に日本人が気付いてきた時期。重くなる社会保険の負担はタイムリーだったのだろう  「円安」がクローズアップされた時期。「円

          共感が多く得られた「損切丸」

          続・「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 株もタワマンも買いそびれ「円安」で物価は上がる一方...

           「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 一体誰が困るのか?|損切丸 (note.com) の続編  さあ、いよいよFRBの「年内利下げ」の雲行きが怪しくなってきた。2月までは16カ月連続で50を下回っていたがISM製造業指数が "水面下" に浮上。生産指数が54.6と2022年6月以来の高水準で前月比+6.2ポイントは2020年6月以来の大幅な伸び。2月に縮小圏となっていた新規受注も50を上回った  燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.c

          続・「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 株もタワマンも買いそびれ「円安」で物価は上がる一方...

          政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険

           ”政策金利は中央銀行が決める”  「損切丸」は「金利の基本」をこう言い続けてきた。身に染みたのは1994年2月から始まったグリースパン元FRB議長による+1.5%もの「利上げ」。当時まだ非農業雇用者数(Non-Firm Payrolls、NFP)がマイナスで推移している状態から突如「利上げ」を始めたため:  こう言う「声」が市場の大勢を占めた。筆者は迂闊にもこの「声」に乗ってしまいドル金利が下がる方に ”逆張り” 。まさに ”若気の至り” なのだが、市場予想を嘲笑うかの

          政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険

          溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

           2023年、シリコンバレー銀行(SVB)やシグチャー銀行を吹き飛ばした米国債の "暴風雨” 。早期「利下げ」騒ぎで「逆イールド」を形成したが今や完全に行き詰まり。相場のダイナミズムを失っている。大やられした米銀もFRBの監視の目が厳しくなり米国債の "器" は一杯。商売あがったりである  低調な米国債市場と歩調を合わせるように、相場を牽引してきたナスダックや ”マグニフィセント7” も上が詰まっている。アップルやテスラの株価の不調は象徴的であり、ファンド、投資家の手詰まり

          溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

          「欲望」と「客観性」のバランス

           これは1987年のヒット映画「ウォール街」で主演のマイケル・ダグラスが演じていた有名なスピーチだが、いかにも ”アメリカらしい”  一方日本には:  なんて歌もある。日本的思想では「欲望」は抑制した方がいい  どちらが "正しい" のだろうか?  20年以上マーケットで仕事をした感覚で言えば、「リスク」「投資」に関しては「欲望」もその抑制も両方必要。トレーダーの仕事なんてその間のせめぎ合いがほとんどと言っていい  「投機」と言われようが「儲けたい!」という「欲望」

          「欲望」と「客観性」のバランス

          「新NISA」は「投機」?

           立場上色々言わなければいけない事情はわかる。だが年初からの「円安」を「投機」というなら、月間2,000億円近くもの「オルカン」(オールカントリ-)やS&Pなどの「新NISA」は「投機」なのか?  どうも「投資」と「投機」の定義が曖昧だ  良く出て来る ”ファンダメンタルズ” もそう。優秀な官僚がついているのだから、もっと*データに基づいて定量的分析など具体的な説明をすべき。一般庶民にはわからないとタカを括られているのだろうが、少なくとも良く勉強している「Z世代」は納得し

          「新NISA」は「投機」?