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「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ24 仮想通貨編①

 <ビットコイン詐欺?>

 ビットコイン(BTC)と言えば、2014年にフランス人若社長の「マウントゴックス」で約480億円ものBTCがハッキングにより盗難され引き出し不能になった事件が記憶に新しい。被害のほとんどが北朝鮮によるものとの推測もあり、その社長は最近無罪放免となった。

 そもそもBTC「サトシ・ナカモト」なる日本人(日系人?)が発表した論文をもとにプロトコルが開発され2009年1月に誕生したそうである。さしずめ日本はBTCの故郷ということになるからまだまだ捨てたものでもない。

 BTCが注目され始めたのは2013年のキプロス危機がきっかけと言われている。当時キプロスの銀行は高金利を提示して多額のお金を集めていたが、ギリシャ危機をきっかけに急速に資金流出が進み経済危機に陥った。特に多額のお金を預けていたロシア人が資金移動にBTCを使ったため価格が20ドルから200ドルに跳ね上がった

 BTCは騰勢を強め、2018年末には何と2万ドルに達したが、その後暴落して半値近くになっている。ドル円も個人が参入した当初激しい値動きをして、新規参入者が随分喰われた。まあ、市場創世記にはよくある初期現象で、そのこと自体は驚くようなことでもない。次章では仮想通貨についてより本質的な部分に焦点をあてて見よう。

 <仮想通貨本位制?-その本当のポテンシャル>

 BTCで財をなした若者もいたようであるから、このご時世仮想通貨に夢を抱くのも分からなくはない。ただ、フィンテックやブロックチェーンの本当のポテンシャルはもっと大きい。

 キプロスがきっかけだったように、まずは経済規模が小さく国家の信用も低い国を中心にその威力を発揮しそうだ。現在ハイパーインフレに見舞われているベネズエラでは実際「ペトロ」という仮想通貨によるICO(Initial Coin Offering、仮想通貨による資金調達)が行われ、原油資産を担保に実に50億ドルもの資金が集った。信用のない自国通貨よりまし、という事か。

 またアフリカではケニア国営のサファリコムという携帯会社の運営する「エムベサ」が広く流通している。90%以上の人が銀行口座を持たず、電気もない地域も多いアフリカでは、携帯電話だけでお金を動かせる利便性が普及の原動力になったようである。これによりケニアでは「エムベサ」による送金を利用する人が激増し、成人人口の70%を超える2,300万人に達したという。まさに仮想通貨が国家の貨幣を凌駕した実例であろう。

 果たして仮想通貨がドルや円などの主要通貨を凌駕する日はくるのだろうか? 状況次第では、今後インフレ対策の有効な投資先になるかもしれない

 其ノ25では引き続き仮想通貨編。国家の関与などについて。

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