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「お金のマニュアル」-損をしないコツ- 其ノ4  昭和世代

 <右肩上がりの高度成長期とお金の教育> 

 団塊世代とその上、いわゆる昭和世代は、1964年(=私の生まれた年!)の東京オリンピック以降、いわゆる「右肩上がり」の経済成長を謳歌してきた。住宅ローンを組んでマイホームを買い、テレビ洗濯機冷蔵庫などの新しい電化製品を買い揃える。

 其ノ3デフレの説明を全く逆にすると分り易いが、給料も物価も毎年上がり続ける昭和の時代は、借金して物を買うのはまさに鉄板の必勝スキーム。例えば3,000万円の家が翌年4,000万円になるとすると、8%のローン金利を払ってもおつりがくる事になる。

3,000万ローン× 8%=年間支払利息    収支  -240万円          4,000万円-3,000万円=値上がり益    収支+1,000万円    差引+760万円

 実は個人レベルの借金は大変なリスクを負っていた訳だが、問題はそのリスクの本質をほとんどの人が理解していなかった事である。しかし、まあそれも宜なるかな、みんな儲かるので深く考える必要もなかった。だから、学校教育でもあまりお金の教育は重視されてこなかった。というより、おそらく国民全般が金融に無知の方が都合が良かったのだろう。特に生活に直結する「お金」の教育は皆無だったと思う。

  そして時代が折り返した時に問題は突如顕在化し、個人差が現れる。

 <トレンドサイクルとその反動-しっぺ返しを食らう可能性>

 マーケットの仕事に長く従事してきた経験からいうと、相場や社会情勢というものは不思議なもので、トレンドは一定期間続くと、その後必ず同程度、あるいはそれ以上の反動がやってくる。儲かったからと言っていつまでも同じやり方を続けていると強烈なしっぺ返しを食らうことがままある。

 だから長期に渡って「お金」を増やしていくには、日々緊張感を持って状況を検証し、変化を見逃さない事が大事失うときは一瞬。そういう意味では少し臆病なぐらいが丁度よい。儲かった、儲かったとその時だけ諸手を挙げてバンザイしているようでは生き残れない。だからプロは儲かった話はあまりしたがらない。- 逆に一般の人は損をした話をしたがらない

 昭和世代に話を戻すと、繁栄をたっぷり享受してきたものの、なぜ自分達が豊かになれたのか、またどれだけのリスクを背負ってきたのか、気がつかないままに過ごしてきた。その後平成デフレに突入すると変化に対する対処方がわからず、昭和で享受した繁栄の大部分、あるいはそれ以上を吐き出してしまう人が続出した。誠に気の毒とは思うが、中には生き延びた人達もいる。運なのか学習努力の差なのかわからないが、歴史的にもこういった生存競争は繰り返されている。人生は戦いなのである。

其ノ5は <お金って何?>

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