「朴前大統領の判決を破棄し2審に差し戻し」- ??? 政権転覆の予兆? それとも...

 今NY時間でドル・ウォンのレートを見ているが、アジア時間に1.216までウォン安に突っかけていたのが1.207当りまで急落している。どうも引金になったのが、タイトルの「朴前大統領の判決の破棄と差し戻し」のようだ。

 見方が2つあるらしい。

 1つはより重い刑を課すために差し戻した、というもの。同時に判決を言い渡されたサムソンの副会長は執行猶予から実刑になるのではないか、との観測もある。
 2つ目は、文在寅政権がスキャンダルや米国との対立により追い込まれており、司法が今後の保身のために時間稼ぎをした、という見立て。何しろ政権が変わると最高裁長官まで逮捕されてしまう国である。さもありなん。

 単純にドル・ウォンの急落を見ると、2つ目の見方が市場では強いと考えられる。介入の可能性もあるが、「実弾」が減ってきている中ここまで介入で押し戻せるものではなかろう。やはりアメリカを敵に回してしまったことの意味は重い

 「シナリオ」的に言うと、ウォン安シナリオの最大のリスクは「文在寅の失脚」である。もしそれが実現する可能性が高まっているなら、短期的な揺り戻しは大きく、反動で一時的に1.150ぐらいまで振れてもおかしくない。一旦コアのウォン売りポジションは閉じるしかあるまい。国内の富裕層も自国通貨をドルや円の外貨に替える動きを止めるだろう。

 リスクが一旦フラットになったらその後の動向であるが、現政権が粘ればまた元のウォン安シナリオに戻るし、仮に政権が転覆して新政権が出来てもすぐに日米と親密になれるとは限らない。それほど今回の一連の日韓の出来事は歴史に残りそうな事件だったし、失ってしまった信頼を回復するには相当の時間がかかるだろう。それこそすぐに「ホワイト国」復帰になどはなるまい。オリジナルのシナリオに戻る可能性だってまだ五分五分だ。

 日本のネット民は文在寅を支持する人が多い。なぜなら、彼のおかげで隣国の本質が白日の下にさらされ、日本人の目を覚まさせてくれたからだ。良い意味でも悪い意味でも日韓関係は今までとは違う、新たなステージに向かうだろう。

 *いい加減、日本も「平和ぼけ」からは脱するべきだとは思うが、その逆の極への振れすぎにも注意が必要だ。この「流されやすい」という性質は、実は日本人も韓国人も良く似ている。この国でも憲法改正や軍備の増強が進む傾向が見られるが、ここはぐっと腰を落として冷静に考えていくべきだろう。戦いの場にかり出されるのは年をとった政治家や官僚のお偉いさん達ではない。もっと若い世代の一般の人達なのだから。

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