ドルウォン5day_

人為的相場操縦の限界 其の3 - 今度は突然反落したドル・ウォン...。

 韓国の休日を挟んで、今度は実質たった1日で1206から1195近辺まで急落したドル・ウォン...。3日間かけてあげた分を全部一気に戻してしまった。今回のこれは明らかに何かの「仕掛け」だろう。関心が高いのをいいことに、振り回して儲けようという魂胆だったように見える。

 同様の例では、一昔前ドル円でも「介入を装った仕掛け」が出ていた時期があった。丁度ボラティリティーが落ちて収益性が落ちた時期だったように記憶している。トレーダー達は自分の首がかかっているから何とかしようとしたのだろうが、その後ドル円相場は困難な時期を迎え、取引としての収益性が低下。魅力がなくなって現在に至っている。

 投資銀行業務全般も利益があがらず今も厳しい状況にあるが、その中でも特にクラシックな為替相場は10年以上も前から困難に直面していた。規制の影響でリスク量に見合う資本を求められていることもあり、金融機関のトレーダーでも円高、円安などディレクショナルなポジションを大きく張らなくなっているのが現状である。非常に儲けにくい市場になってしまった。

 そこで降って湧いたようなウォン相場であるから、アジア通貨担当の為替トレーダーが張り切るのはわかるが、このような「フェイク相場」が出現すると衰退の兆候となることが多い。今年の前半は結構このウォンで儲けたのだろうが、ここへ来て日本でも韓国への関心が急低下しメディアの露出も激減している。(首がかかっている)トレーダーにしてみれば、ここまで大きな収益源だったものを何とかしようとするのは、まあ有り得る話だ。

 *ちなみにKOSPI(韓国株式総合指数)については、本日は個別株がしっかりで指数だけ引け際に落ちた状況を見ると、個別株売・KOSPI指数(先物)買の裁定ポジションの解消が主因かもしれない。政府・年金系が株価の買い支えで現物買いに出動していたとすると、現物が先物に対し割高になり、このような裁定ポジションが組まれることになる。その間、KOSPI先物指数には裁定取引により断続的に買いが入っていたはずだ。今はHFT(High Frequency Trade、高頻度機械取引)が普及しているので、証券会社やファンドでこういった裁定取引のプログラムをAIで走らせているところがあるかもしれない。

 なので、前稿に挙げた「キャッシュフローの仮説」は今後も別途検証するとして、相場がこうなってしまったら一旦距離をおいた方が賢明だと思う。なにせ仕掛けている側は「損切り」してくれる人を必死に探しているわけだから。こういう時こそ「何じゃこりゃ!」と感情的になるのは禁物である。それこそ向こうの思う壺。

 「休むも相場」。ここは本線の動きがでるまでじっくり待った方が良い。

 折しも世界景気全般に変調が出てきそうな今、韓国やアジアだけでなく、全般に気を配る必要が出てきた。世界景気にそこまで悲観的でなかった「損切丸」も、米国のISM指数が47台(50を下回ると景気悪化傾向と判断される)というのは、さすがに無視するには低すぎる数値だ。NYダウ、DAX、FTなど主要国の株価も微妙なところに来ている。

 場合によっては、メインシナリオの書換えが必要になるかもしれない

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