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素人がボードゲームを製作、販売する方法〜PnP(プリント&プレイ)の可能性と法的な問題点〜


前回記事(〜市場調査、黒字化への戦略編〜)に書ききれなかったのですが、市場調査した際に大変興味深い販売方法があったので、共有します。前回記事で書きましたが、ボードゲームの原価はとても高く、販売価格も高くならざるを得ません。子供への知育の観点でたくさんの優良なゲームで遊ばせてあげたいと思っても、どうしても買う時に躊躇してしまいます。


PnP(プリント&プレイ)とは


販売価格が高いという問題点をクリアできる可能性があるのがPnP(プリント&プレイ)という販売方法で、データをダウンロードしてもらい、各家庭で印刷し、切り取ってもらうというものです。販売サイドにとっても初期コストは極小化でき、在庫リスクを抱えないというメリットがあります。数百円での販売が可能となり、日本においてもbooth等で実際に販売されています。

UNOZEROという自作ゲームを販売してみたいと思った際、いきなり数十万かけて製作するのはリスクが高過ぎると思い、PnP(プリント&プレイ)での販売を真剣に検討しました。初期コストをかけず、数百円で販売しながら、もし大手ベンダーから製品化の声がかかったら最高だな、と夢のような未来を想像したりもしました。

法的な問題点


結果的に法的な問題点をクリアできなかったことから断念し、コストをかけて製品化することとしました。ボードゲーム製作者の権利を守ってくれる法律は主に以下二つです。
商標権:自社商品を他社商品と区別するために名前やロゴを保護するもの。特許庁への申請を要し、出願料がかかる。
著作権:著作物を他人が無断に利用できないように保護するもの。著作物を創作した時点で発生し、手続きは不要。
私自身、調べるまで勘違いしていましたが、ゲームメカニクス、ルール等のアイディアについては法的に守ってもらえません。

例えば、ゲームメカニクス、ルールに自信のある作品をPnP(プリント&プレイ)で発表したところ、赤の他人が名称、デザインを変えて製品化し、その後大ヒットしたとしても法的に主張できる権利は存在せず、傍観し続けるしかありません。何らかの権利を主張するためには、名称やロゴを商標登録する、製品化しコンポーネントに著作権を生じさせるといった必要があります。

ストーリーやキャラクターではなく、これまでにないゲームメカニクスやテーマを売りにしたかったUNOZEROについては製品化する必要があることを認識し、PnP(プリント&プレイ)での販売を断念しました。

愛着のある自作ゲームを守る現実的な方法


ちなみに製品化したとしても、法的に権利を主張していくのには限界があります。また、法廷闘争するとしても、弁護士費用等で大きなコストがかかってしまいます。愛着のある自作ゲームを守る現実的な方法は、製品化し、様々なメディアへ露出していくことで、マーケットやファンに広く認知してもらうことでしかないという結論に至りました。即ち、法的に守るのではなく、世間を味方につけ、悪意をもって模倣しようとする製作者に抑止力を働かせるという方法です。具体的には製品化したうえで発信力のあるゲームマーケットに出展し、ボドゲーマやbooth等で販売しつつ、Twitter、youtube、Instagram等でなるべくコストをかけずに広告活動に注力するというのが現実的なのだと思います。

言うは易しですが、動画一つ作るのも大変苦労します…。40歳を超えたオジサンがiMovieを勉強しながら作成した動画です。

慣れて面白動画を作れるようになると子供達からの人気があがるという副次的な効果もあったので頑張って良かったです。

最後に


ボードゲームの関係者は純粋に面白いゲームを広め、盛り上げていきたいと考えている方が多く、また、ルールを重んじるボードゲームデザイナーが安易に模倣するとも思えず、考え過ぎではないかとも思っています。ただし、内容的に問題が起きてから考え始めるのでは遅く、デザイナー同士の無用なトラブルを避けるという観点でも知ってもらうきっかけになればと思い記載しました。自力で出来ることとしてボドゲーマに登録されているアブストラクトゲーム約1000種類に目を通し、UNOZEROと類似するゲームが無いことを確認しました。それでも悪意無く他のゲームを真似してしまっている可能性はゼロではなく、万が一問題が顕在化した場合、大変難しい議論になると思っています。

記載したような問題点があったとしても、PnP(プリント&プレイ)は魅力的な販売方法だと思います。ストーリーやキャラクターに重点を置いた作品であれば、記載したような問題点もクリアできる可能性がありますし、幼児であれば切り取って自分でゲームを作るという楽しみもあるのではないかと思います。より多くの方々に良質なゲームを届けるためにも、色々な形でボードゲーム市場が盛り上がってくれればと願っています。



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