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素人がボードゲームを製作、販売する方法 〜写真と動画でわかるハードルが上がるタイミング〜

 2024春のゲームマーケットに4/28(日曜)のみ1年ぶりに参加します。この記事シリーズの過去記事を読まれた方はご存知かもしれませんが、たった一つのUNOZEROというボードゲームのみを製作し、時間をかけて育てていくことで徐々に認知度を上げていきたいと考えています。未だにボードゲームを一緒に楽しむ仲間は家族しかおらず、相談相手のいない孤独なプロジェクトでした。
 しかし、認知度を上げるために昨年ゲームマーケット2023春に参加し、その後noteを始め、ほぼ話したこともないものの、たぶん仲間と言って良いのではないかと勝手に思っている方々に出会うことができました。ボードゲーム関連について調査する際、一般的な書店で買える書籍が少なく、ゲームマーケット参加者のご意見やnote記事は本当に貴重な情報源となっています。
 自作ボードゲームの開発から3年半経ちましたので、皆様のおかげでUNOZEROがどのように変化してきたのかをご報告し、改めて感謝を伝えつつ、ボードゲーム製作を検討している方々の参考になればと思います。


写真と動画でわかるUNOZEROの変遷

第一形態

 ・エクセルで製作し、A4普通紙に印刷。コンポーネントは他ゲームのものを使っており、ボールコマのみです。
 ・子供がくしゃみをすると振り出しに戻るおそろしいゲームでした。

第二形態

 ・家族内で評判が良かったため遊びやすく改良しました。
 ・サッカーのフィールドをイメージして色を付けました。また、A4普通紙2枚を合わせてA3になりました。
 ・矢印をマグネットシートに印刷することでくしゃみで吹き飛ばされるのを防止しました。
 ・直前に動かした矢印がわかるように目印としての選手コマがコンポーネントに加わりました。

第三形態

 ・ゲームマーケットに出展するためにプロにデザインしてもらいました。やはりプロは違います。
 ・こちらで2023春ゲームマーケットに初出展しました。購入、試遊頂いた方々からの貴重なご意見により、非収束の無限ゲームであることが魅力であり課題でもあることを改めて認識します。

第四形態

 ・ボードゲームは完成していました。しかし、収束性が悪いという課題を抱えていました。
 ・課題を解決するため1年かけてnote記事や市販の書籍等を参考にしながら、勝ち方や公式戦ルールといったソフト面を整えました。
 ・1年の集大成として上記のイメージ動画とブログ記事を製作しました。

ハードルが上がるタイミング

 第二形態まではほとんどハードルが無いです。面白いからゲームマーケットに出展してみたい、有名になったらどうしようと子供達と無邪気に盛り上がっていた頃です。
 第二形態から第三形態への変化からお金というハードルが爆上がりします。私はデザインが出来ないので、デザイン料プラス印刷代で確実に数十万となります。事業を営む父親に相談し、UNOZEROを永続的に販売していけるような無理のない継続性のある長期計画を策定することとしました。その際、参考にしたゲームマーケット参加者のnote記事の内容をまとめました。
 ・ゲームマーケット初参加での完売は中々難しい。
 ・たくさん売るためには事前の試遊会でセールスポイントを確認したり、早い段階から広告を出したり、ブースのインテリアを整える等の必要があり、勝負はゲームマーケット以前に既についている。
 ・仮に完売しても、ボードゲーム製作の原価は高く、利益が出るかは微妙。
 自分の能力では毎年新作を製作して出展し続けることは難しいと悟り、継続性を担保するために毎年新作を製作することを諦め、UNOZEROのみを製作し、時間をかけて育てていくことで認知度を少しずつ高めていくこととしました。
 第三形態から第四形態への変化のハードルはゲームメカニクスへの知識不足です。ただ自分がボードゲームを楽しむのと他人に楽しんでもらうためのボードゲームを製作するのでは全く別の話であることを製作途中で痛感しました。自作ゲームの魅力が伝わるような広告動画を作成したいと思いましたが、そもそも自作ゲームの魅力と課題が自分でも正確に理解できていませんでした。ゲームマーケット2023春で購入や試遊頂いた方々からの大変貴重なご意見により、非収束の無限ゲームであることがこのゲームをより奥深いものにするという魅力をもたらすと同時に、中々終わらないことがあるという課題ももたらしていることを明確に認識します。その後、その課題克服のためにnoteの記事でアブストラクトゲームやゲームメカニクスについてこれまで以上に深く学び始め、最終的には将棋の歴史や現在、そして将棋AIについて独学で研究するようになりました。

時間で確実に収束するシステムを採用した理由

 魅力を残したまま課題を解決するために、非収束の無限ゲームを時間で収束させるというアイディア自体は早い段階からありました。家族内での試遊でもチェスクロック方式を採用することで劇的に面白いゲームに変化することは認識していました。しかし、ボードゲームとして、それが許容されるものなのかについて中々自信のある答えが出せずにいました。
 資料が豊富な将棋の歴史、現在、そして最新のAI動向を研究し続けた結果、最終的にある国民的漫画の独自解釈に背中を押され、非収束の無限ゲームを時間によって有限ゲームとする点をセールスポイントとしていくことを意思決定しました。

「鬼滅の刃」鬼舞辻無惨戦の独自解釈

 将棋はチェスと異なり、取った相手の駒を使うことが可能なので、UNOZEROと同じ非収束の無限ゲームに該当します。プロ同士の対局を成立させるために、同一手順・同一局面が4回続いた場合は引き分けとして収束させる千日手というルールを事後的に設定することで収束性のある有限ゲームとなりました。その将棋の歴史、現在、将棋AI等について研究したうえで鬼滅の刃を読み返した結果、鬼滅の刃が将棋の棋士とAIの闘いを擬人化したものとしか思えなくなりました。そして、様々な角度から検証した結果、物語最後の鬼舞辻無惨戦について下記の独自解釈に至りました。
 ・将棋を有限ゲームとする千日手という明確なルールが無かった大正時代であれば、即ち、将棋という非収束の無限ゲームを時間で収束させるルールであれば、同一局面をループさせ続けることで最強将棋AIに棋士が勝てる可能性が残る。またAIとの共闘が可能になる。そして、その先に時間をも克服する第三の知能が発現する。
 この独自解釈やボードゲームでAIに人が勝つ可能性について興味がある方は下記2つの記事に詳細を記載していますのでご確認ください。

 この独自解釈に辿り着き、非収束の無限ゲームを時間によって確実に収束する有限ゲームとするゲームシステムを採用することを決め、2024春のゲームマーケットに二度目の参加をすることとしました。このゲームシステムにより、無限ゲームであることがもたらす奥深さという魅力を残しつつ、課題であった収束性の低さを完全に払拭することが出来ました。開発当初から3年半を経て、自信を持っておすすめできるボードゲームへと進化させることができたと自負しています。

最後に

 一人ではここまで辿り着くことは出来なかったと思います。勝手にボードゲーム仲間だと思っている皆様の貴重なご意見やnote記事が私のボードゲーム全般に関する理解を大きく進めてくれました。本当に感謝しています。私もこれからボードゲーム製作をしてみたいと検討されている方々の何かしらのお役に立ちたいと思い記事を書いています。
 もちろんこれで終わりではありません。ゲームマーケット2024春に参加し、2023春と同様に購入や試遊頂いた方々の貴重なご意見をしっかりと聞き、次の課題を見つけ、引続き皆様に助けて頂きながら時間をかけてUNOZEROを育てていきたいと思っています。
 ちなみにUNOZEROは「考える、試す、修正する」というプログラミング思考を子供に身につけてほしいという思いで開発しており、開発当初、家族内ではプログラミングサッカーと呼ばれていました。UNOZEROはイタリア語で10(イチゼロ)のことであり、コンピュータの二進法に由来しています。子供に興味を持ってもらうためにサッカーをテーマとした経緯もあり、1対0で勝つ事を示すサッカー用語のウノゼロも意識しています。
 これからも何卒よろしくお願いします。


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