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何はともあれ肉まんを包もう

ここ数日、心がすさんでいる。

10歳以上年上の知人に突如LINEで叱られたり、凡ミスで同僚に迷惑をかけたり、なんか色々あって萎える。身から出た錆なんだろうけど、だからこそ萎える。できることなら、布団を被って冬が終わるまで寝ていたい。

しかしそうも言ってはいられない。仕事は繁忙期に向かっていて、ジェットコースターで言うところのカタカタカタカタカタ坂を登っていくところだ。まだ何も起きていないのに落ちつかない。

目の前に転がる嫌なことを、正面から対峙したり、上手いことかわしたり、コツコツやり過ごすほかないのだ。いらいら、そわそわ、もやもや。

あ、でも。
そういうときは、肉まんを包むときだ。
そうだ。それがいい。

思いついた瞬間、天から光が差してきたような気がした。嫌なことは包んで食べてしまおう。別に餃子でも焼売でもにら饅頭でもいいんだけど、私は小麦粉と蒸篭が好きなのだ。このもやもやは、湯気とともに天に召されてしまえ。

大きな銀のボウルに、小麦粉、強力粉、ベーキングパウダー、お砂糖、塩、油、イーストを次々に放り込む。リビングでは子どもたちが小鼻を膨らませて、肉まんだイェーッと盛り上がっている。

お湯を少しずつ入れて混ぜる。こねる。可愛い可愛い皮のできあがり。固く絞った布巾をかけて寝かせるまで、15分もかからない。肉まん作りは、赤子の寝かしつけより容易い。

生地を寝かせている間に、冷蔵庫から豚ひき肉を取り出す。中身の餡はシンプルに、豚肉、玉ねぎ、ネギ、醤油、お砂糖、オイスターソース、ちょこっと味覇、ごま油。

こちらも愛情を込めて、しっかり捏ねる。もしかして私の前世は中国の東北のほうの人なのかもしれない。肉まんを作るだけで、癒されすぎている。

皮と餡を八等分にしたら、小さな姉弟を召喚する。一緒に綿棒を握り、1つずつ皮を伸ばしていく。

息子は真剣な眼差しだが、皮はいっこうに伸びない。口元はにやにやと緩んでいて、まるで力が入っていない。どうにかこうにか、ひとり二個ずつ包ませる。

あとは私のお楽しみ。ひだをぎゅっぎゅと寄せる工程が何より好きだ。可愛い、可愛いすぎる肉まん。二つ目にはチーズも忍ばせる。

蒸篭の1段に4つずつ。2段並べて、20分蒸す。もう私の脳内では、蒸篭の蓋を取るところ、辛子をつけて頬張るところをエンドレスリピートしている。他に何も入り込む隙間などない。ただ、肉まんのことだけ。

20分後、蒸篭をそのまま、テーブルへ運ぶ。全員が勢いよく集まってきて、娘が蒸篭の蓋に手をかける。ぶわり。湯気が舞い上がり、愛しき肉まんが登場する。そこからはもう、書くまでもないだろう。

娘は、「ああっ、しあわせってかんじがする!100個たべたい。せめて、割って2つにして?まだあるなっておもえるから。」と身をよじらせている。夫は淡々と、しかしものすごいスピードで食べ切ってしまった。息子はもう、肉まんとニャンちゅうを足して2で割ったような顔をしている。

食後に、息子がニクまw(肉まん)と書いた肉まんカード何枚も書いて、「にくまんカード、ひとりいちまいでーす。おもちかえりでーす」と配布していた。

私はもう、大丈夫。

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