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幸せな舌

いわゆる美食家と呼ばれる人たちよりも、私のほうが舌は優れている、と思っている。

高級なお寿司には心が躍るが、スシローも美味しくいただける。

産地直送の生牡蠣も、やっすいカキフライも等しく美味しい。

行列ができるラーメン屋と、カップヌードルも然り。それはそれ、これはこれ。

料理に上も下もない。なんでも美味しい。
そもそも不味いという概念があまり存在しない。

家族が寝静まったあとに飲む安い赤ワインは格別だし、そこに4つ100円のチーズがあればそれだけで美しい。

書きながらハッと思い出したけれど、大学時代、琵琶湖で泳いだ帰りに行ったびっくりドンキーは、美味しさの象徴みたいなものだ。

ふわふわとした疲労、空腹と暗闇、それを出迎えるびっくりドンキーの陽気さとハンバーグ。ポテサラチーズパケット。

主人とよく、子どもが大きくなったら、カウンターで天ぷらが食べたいね、金沢でお鮨もいいね、なんて話す。
でもきっと、子どもたちが巣立ったら、ちょっと、だめ!ポテト2回はだめー!と叫びながら食べたスシローの味をうっとりと思い出すだろう。

私の舌は優れているのだ。
バカ舌ではない。
幸せな舌。

#雑記 #食べること #子育て #グルメ

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