9/12 どんぐりを煮る日々
ぐつぐつと、どんぐりを煮ている。
これこそ、秋ですね。
どんぐりの煮沸は、秋のはじまりを告げる風物詩。「こんなにどんぐり、いる?」と困惑しながら、鍋いっぱいのどんぐりを見下ろす。
子どもという生物は、どんぐりをポケットに詰めて持ち帰り、当たり前のように隠す。空き箱の中、ままごとの鍋。勘弁してくださいよ、と泣きを入れたって通用しない。
息子の保育園は園庭が完全に森なので、秋はお持ち帰り天国(または地獄)。みんなお散歩の帰りに下駄箱へ色々と詰め込むから、どんぐり・枝・葉っぱが幅をきかせて下駄箱がショーケース化している。
そうして、丸みを帯びた可愛いはずのどんぐりから、虫が湧く。本当は家に入る前に庭に放ってくれればいいんだけど。でも息子はどうしても、ポケットにいれて持ち帰りたい。嬉しそうに手をつっこんで、それを食卓に置いてひとつぶずつ並べる。とても残念だけど、可愛いとしか言いようがない。降参。
だから私はこっそりと、熱湯にどんぐりを落とし、5分茹でてざるに上げる。そうすれば、虫は湧かないらしい。
これを書きながら思い出した。娘が小さかった頃、息子ほどどんぐりを持ち帰る頻度は多くなかったけれど、「りすさんにあげる」ために、どんぐりの皮をむいて公園の木の下にまとめていた。
どんぐりの皮って硬くてむけなくて、割れているものを一心不乱に探したり、大きい石なんかを持ってきてガンガン叩いたりしていた。割れた亀裂から皮をむくときにも、短い爪にくいこんで痛かった。
でも娘が「りすさんが、むいてあるー!ってよろこぶかなぁ」とわくわくしているから、途中で止めれなかった。今思い出しても指先が痛い。原始的拷問のような遊びだった。あれに比べたら、煮沸くらいどんとこい…かもしれない。
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