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好きなものを好きと言えること(前編)

子どもの習い事を最低限にして、本人の好きなことを深めるためにお金を使おうと決めた。

まだまだ迷いながらの判断だが、これはちょっと良いなと思えたのでnoteに残しておきたい。

自分の幼少期を振り返ると、ピアノ・書道・体操教室・スイミング・英語と色んなことをやらせてもらったけれど、残念ながら何一つ身になっていない。

みんながやっているから、やった方がいい
くらいの気持ちで始めて、
みんなと同じくらいできればいい
と何にも考えずに続けていた。

万事そんなふうだったから、習い事に通わせてもらえる有り難みを感じたのは、恥ずかしながら自分が親になってからだった。

どんなことでも、練習して上手になって、初めて楽しめるのだと思う。けれど色んなものを感情なく練習していると、どれもそこそこの器用貧乏が完成する。一応できるけど、胸を張って得意だと言えることは何もない。

良い大学も、良い会社も、幸せに直結はしていない。もしかしたら、入った方が幸せの確率はあがるのかもしれないけど、「良い」の定義なんて曖昧だし、簡単に移り変わっていく。

そうして考えていくと、私はあるイメージに行き着く。

たとえ異国の何もない草原であっても、人生を楽しめる人。身ひとつで、幸せを感じられる人。
親として支援すべきは、そこなんじゃないかと思う。社会がどうひっくり返っても、幸せを自分の中に持てる人。

でも、そういう人に育てるって、なかなか難しい。どんな力があれば、そうなれるのか。
コミュニケーション能力?
健康?
0→1の創造力?
レジリエンス?
いや、まずは好きなことを好きだと胸を張って言えることかもしれない。

好きなことを語る人は人を惹きつけるし、溌溂として健康的だし、好きなものから派生して創り出したりするし、嫌なことがあっても好きなことで立ち直れる。

人より苦手なことがあってもいい。それを補えるくらい、熱量を持って好きことが1つでもあれば良いと思う。

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前置きが信じられないくらい長くなったが、そんな想いを持って、息子とライブに行ってきた。息子が愛してやまない、ゆずのライブ。

私も夫も、そんなに音楽は聞かないし、ライブも人生で3回くらいしか行ったことがない。どちらかといえば苦手かもしれない。それでも、連れて行かなくてはと思うくらいの熱量が、息子にはある。

3歳から、なぜか猛烈にゆずを好きになり、CDを必死に聞くようになった。カーナビを自分で操りながら、曲を覚えていく。

娘のときとは違い、一緒にドリルをやったことすら1度もないのに、平仮名もカタカナも、まさかの漢字も読めるようになってしまった。

そろそろそういう時期だから…と半ば強引に教わる字と、これはなんて読むんだろう?と自分で覚える字では熱量が違いすぎるのだ。

曲名で覚えているから、「大」は読めないのに「栄光の架け橋」は読める、という不思議。ちなみに「大」は「ウン」と読んでいて笑った。

車の中で寝そうなときも、ゆずの曲をかけてイントロクイズをすれば、テンションは爆上げ。見ているこちらが癒されるくらいに、あまりにも大好きだから、彼の名義でファンクラブにも入った。

ファンクラブの通信が来ていないか気になり、毎日ポストを覗きに行くようになった。CDや送られてきた冊子を見ながら、一緒懸命に文字を書き写す。

「TOWA」「YUZU」…気がづいたらアルファベットも書いている。くねくねの文字を皆に見せながら、息子は誇らしげだ。

そんな状態の息子と、手を繋ぎ、ゆずのライブに出かけた。今思い返してみても、夢みたい。

興奮して熱を出すといけないから、ギリギリまでチケットを買えたことは黙っていた。行くんだよ、と言った瞬間、まん丸に開いた口が忘れられない。

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開演の2時間前に到着すると、ドームの前にはすでにたくさんのお客さんがいて、みんなグッズを身につけて楽しそうにしている。

息子にしてみたら、もうそれだけで嘘みたいな光景。ゆずが好きな人が列をなす姿は、パレードのよう。どこを見ても、楽しさがこみ上げてくる。

さらに、物販コーナーでキッズのTシャツやタンバリンを買う。並び直して、ゆずガチャまで!
もう、ライブは聞かなくてもいいかもしれない…とすら思った。あまりにご機嫌で、満足そうで。

この小さな子どもの世界が広がる瞬間を、目の当たりにしている。それは眩しく、愛しく、感動的ですらあった。

いるよ そばに いちばんちかくいまは ただそれだけでいいから

私の心を知ってか知らずか、息子が歩きながらゆずの歌を絶妙なチョイスで口ずさむ。
やばい、泣ける、と思いながら、売店で買った熱々のチュロスを半分こして食べる。

開演まで、あと1時間。
長くなったので、後編に続きます。

✳︎後編はこちら
https://note.com/okariday/n/nea45e1481c4d



#令和元年にやりたいこと
#子育て #好きなこと #ライブ #ゆず

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