浜坂高校の「連携型中高一貫教育校」について

昨年末に新聞記事で浜坂高校の連携型中高一貫教育校の記事が出て、驚かれた住民も多かったと思います。住民や子どもから「中学校統合するの?」や「中高一貫校になるの?」「浜高にしか進学できないの?」といった声が私に届きました。
議会では、2023年12月14日の民生教育常任委員会において、新温泉町中高連携方針報告書の報告があり、その中で中高一貫教育制度の活用について述べられました。

本記事では、現時点で分かっている情報の提供および私の考えを述べたいと思います。


ざっくり説明

少子化が加速するなかで、浜坂高校の魅力化や持続可能な高校教育の方向性、町内中高の連携方針を検討する組織「新温泉町中高連携方針検討委員会」が設置され、一定の方向性を示した報告書が提出されました。

報告書において、中高連携を推進するための取組(案)として「連携型中高一貫教育校への移行」が示されています。

報告書に記載されているだけでなく、町の姿勢としても、将来的には連携型中高一貫教育校へ移行したいということが明らかになりました。


【最重要注意点】

連携型中高一貫教育校は、同じ敷地内で中学生も高校生も一緒に学ぶスタイルの中高一貫校ではありません
既存の夢が丘中学校も浜坂中学校も浜坂高校も校舎はそのまま残り、シンプルに連携が強化される形の体制整備になります。

また、中学卒業後の進路を狭めるものではありません。夢中、浜中からいろんな高校に進学できます


中高一貫教育制度の種類

中高一貫教育には3つの実施形態があります。

1.中等教育学校

一つの学校として、一体的に中高一貫教育を行うものです。
[県内の例:①芦屋国際中等教育学校 ②神戸大学附属中等教育学校]

2.併設型中高一貫教育校(併設型中学校・併設型高等学校)

高等学校入学者選抜を行わずに、同一の設置者による中学校と高等学校を接続するものです。
[県内・鳥取の例:①灘高等学校と灘中学校 ②兵庫県立大学附属高等学校と兵庫県立大学附属中学校 ③青翔開智高等学校と青翔開智中学校など]

3.連携型中高一貫教育校(連携型中学校・連携型高等学校

町立中学校と県立高等学校など、異なる設置者間でも実施可能な形態であり、中学校と高等学校が、教育課程の編成や教員・生徒間交流等において連携を深めるものです。

[県内の例:①県立氷上西高等学校と丹波私立青垣中学校・丹波私立氷上中学校 ②県立千種高等学校と宍粟市立千種中学校]


経緯・データ

報告書のなかで、町内高校と中学校の現状について、生徒数の推移や進路状況が示されておりましたので、いくつか掲載します。

中学高校の生徒数の推移

中学卒業後の進路状況

浜坂高校の入学者数


連携型中高一貫教育校化の目的と意義

前述しましたが、報告書において、中高連携を推進するための取組(案)として「連携型中高一貫教育校への移行」が示されておりました。
つまり、連携型中高一貫教育校化の目的と意義は、イコール中高連携推進の目的と意義となります。

では、中高連携の旨みはなんでしょうか。報告書の内容をピックアップしてみます。

  • 町内でコミュニティー・スクールが進められており、活動の輪が広がっている。

  • 子どもの学びがつながる一貫性のある支援体制を構築できる。

  • 探究」が教育において重視されつつあり、系統性・連続性のある探求を中心とした「ふるさと教育」を展開できる。

  • 異なる考え方や異なる言語・文化・習慣等を有する集団の中で主体的・協働的に行動し、新たな生き方や価値観を生み出せる教育を推進できる。

  • 地域性を生かした持続可能な中等教育を推進できる。


私の考え

兵庫県教育委員会が公開している「県立高等学校教育改革第三次実施計画」(2022年3月)において、「連携型中高一貫教育校については、生徒・地域の状況を踏まえ、1学年2学級以 下の学校において、改編を検討する」とあり、また現在設置している普通科については「改編に伴い、2025年度までにすべてのコースの募集を停止する」とあります。
よって、連携型中高一貫教育校になるのは県の基本方針かなと考えられます。

地域との連携や中高の連携は、個人的にはそんなに悪い方策ではないと思いますので、活かせるものは活かして生徒たちの資質向上に努めていけば良いものだと考えています。
とはいえ、合理的に考えて抜群に良いというものでもないと考えますので必要以上に入れ込む必要はないかと思います。特に「ふるさと教育」は、過去の実績から見るに多くやっても返ってくるものがないので、今以上に時間やお金をかけるものではないものと考えています。あくまでも地域を教育に活用するような、子ども中心で考えて教育を推進していただきたいです。

また、少子化のなかで議論されていることも重要な視点であると思います。高校存続問題にも当然繋がるわけですが、高校存続の視点で言えば、鳥取県東部(麒麟のまち圏域)の高校と相互進学できるように整備すべきだと考えています。


最後にまとめます。

  • 町の姿勢として、将来的には連携型中高一貫教育校へ移行したい。

  • おそらくは県の既定路線。

  • 連携型中高一貫教育校は、同じ敷地内で中学生も高校生も一緒に学ぶスタイルの中高一貫校ではない。

  • 既存の夢が丘中学校も浜坂中学校も浜坂高校も校舎はそのまま残り、シンプルに連携が強化される形の整備。

  • 中学卒業後の進路を狭めるものではない。夢中、浜中から浜高以外にも進学できる。



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