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副業人材CSの立ち上げを振り返る。「人材サービスでもSaaSでも本質はなにも変わらない」と思った話

こんにちは! 岡上浩基(@okaue516)です。

現在(2019年8月)副業したい人と企業をつなげるサービス「シューマツワーカー」でカスタマーサクセスをしております。「ハタラクを自由化し、人生の可能性を広げる」をミッションに代表の松村直下で2019年1月(細かく言うと12月下旬あたり)から企業側のCSチームをもう一人のメンバーと2名体制で立ち上げています。

今回は前職でSaaSにいた1年間のカスタマーサクセス、8ヶ月の人材領域(副業)カスタマーサクセスを比較し、どれだけ違ったのかという自身の振り返りも兼ねて記載しようと思います。主にHowをメインに記載させていただきますが、本質的にはなにもかわらないと感じています。

SaaSではないカスタマーサクセスについて知っていただく、もしくは同じ人材業界にいる方、CSチームの立ち上げの方のお役に立てれば嬉しい限りです。


1.シューマツワーカーのビジネスモデルとチーム編成

まず、シューマツワーカーのビジネスモデルとチーム編成について記載します。(2019年8月現在)

他の人材サービスとの違い

副業開始までの流れ

チーム編成

CS=カスタマーサクセス
CC=コンシェルジュ
CA=キャリアアドバイザー


上記で注目していただきたいのは、シューマツワーカーではチャーン(以下:解約)の概念が2つあります。「カスタマーチャーンレート」と「レベニューチャーンレート」という意味合いではなく、誰が解約したかというものになります。

1.案件解約
企業で稼働中の副業の方(以下:ワーカー)が解約すること

2.企業解約
企業様がシューマツワーカーを利用しなくなること

案件解約が発生することで、最終的に企業解約へとつながります。そして自分は企業解約率がKPIとなっています。案件の解約率はCCチームが追っております。ただ、解約として重要なのは、企業にとって、ワーカー様にとって、「不満のある解約なのか(以下:ネガな解約)」が重要となります。意味としては言葉の通りではありますが、例をあげると…

「スキルミスマッチ」「コミュニケーション」「業務の進捗が見えない」
「諸々の条件や稼働について、充分なすり合わせができていない」など

こちらはCCチーム単体やCSチーム単体だけではどうすることもできません。全チームが密に連携を取ることでしか解決できません。

解約数や解約率に感して解約要因をもっと細分化して、どの解約要因を追うべきなのかなどは今後取り組み始めたい部分です。

そもそも、「企業解約率を追う必要があるのか?」という疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、我々は企業様からの「固定費×継続期間」で収益が成り立つため、継続期間(解約しない)が重要となります。企業解約率の間接KPIとして「顧客満足度」や「追加案件トス数」なども入ってきます。

2.立ち上げ初期に始めた、現状分析からのオンボーディング

ここからHowの部分に触れていきます。入った当初最初に行ったことはサービスや業界理解(当たり前ですね)からはじめました。同時に現状の状況把握のために解約分析を行いました。解約分析といっても簡単なもので、解約された理由と継続期間を収集し、仮設を立てて行動しただけです。

そこから取った行動は、企業が初めてワーカー様と成約したときのキックオフMTGにCSが必須で同席することでした。(立ち上げ当時の話)

なぜなら、契約してから数ヶ月でネガな解約が多かったからです。せっかく、時間を確保していただき、候補者のスキルチェック、面談して是非副業をお願いするという決断に至ったにも関わらず、お互い副業の仕方がわからないがために解約になるのは問題でした。

いわゆるオンボーディングに近い行為なのですが、当時はオンボーディングのプロセスや定義を定める前に、代表やセールス、CCからノウハウを得つつ、キックオフで抑えてべき点のみ決めて行動しました。その後、1ヶ月後に経過面談を実施し、ワーカー様の稼働状況やご評価を伺いつつ改善点などを探っていきました。これらを高速でPDCAを回し、ブラッシュアップしていきました。ざっくりと流れを書くと下記のようなものです。


3.顧客データ管理

キックオフ同席や経過面談がないときは…データ作成を行っていました。これまで、契約関係のデータは管理されておりましたが、企業ごとのデータ管理がされていない状態でした。そのため、CSチームで管理するために下記スプレッドシートで顧客管理シートを作成しました。(下記画像はデモで作成しなおしてますので、企業名や数字などすべてデモとなっております)

元々案件ごとの成約データはございましたので、そこから関数や他のデータを駆使し、足りないデータは別で入力しました。当時の過去のSlackのやりとりや他の情報を遡って手入力する作業が1番辛かったです。。。
上記画像は「属性」「企業ごとのこれまでの成約数」「ワーカーの継続期間」などが記載されており、これは企業ごとのマスターデータとなるようなものです。

他にも別シートで…属性ごとの「成約数」「継続数」「解約率」「CS担当者の企業数」「CS担当者の稼働ワーカー数」などが記載されたダッシュボード。「解約率推移」「継続期間の傾向推移」「職種ごとの傾向」などが記載された分析用グラフ。などを作成して、方向性を決断するためのデータの見える化を行いました。

4.副業人材活用ガイダンスの作成

副業社員を活用する企業ということで、副業を活用する上でのプロでなくてはいけません。副業される方の大多数はエンジニアの方が多いのですが、他にも需要はあります。それらをパターン化し、「職種一覧」「副業社員に適している業務」「副業社員を活用する理由」などで組み合わせ、どのような目的でどのように活用すべきか資料に落とし込みました。(下記は22枚のうちの1ページ)

また、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会様の「フリーランス・副業人材活用」の資料作成のための情報提供で積極的にMTGに参加してお手伝いをさせていただきました。

これらによって、CSチームの副業に関するノウハウが蓄積され、また社内に展開することによって会社全体がより副業に関するノウハウを得ることができ、新入社員のオンボーディングにも活きてくるものになりました。


5.他チームとの連携

CSチームが他チームとの連携は必須ということはご存知だと思いますが、シューマツワーカーでもかなり重要になります。例えば、セールスチームとは、既存顧客になった場合でも、その後の追加案件については最終的にセールスにトスすることになります。「契約後の企業様がどのような状態なのか」「どのように営業を行うべきなのか」などのフィードバックも都度行っております。他にもCCチームとは1番連携を取っている部署となります。CCチームは、ワーカー様のご状況については1番理解しているため、「企業様で稼働しているワーカー様の状況共有」や「契約終了時の振り返りMTG」「都度都度発生するワーカー様への依頼」「企業様への対応依頼」などがあります。

また、既存顧客のデータや副業人材活用についてのノウハウなどもCSチーム主導で行うことが多く発生しているので、全チームのハブとなることも多くあります。プロダクトがある場合は、1プロダクト利用の先にある成功提供や、シームレスなカスタマー体験のために、日々プロダクト改善するかと思います。ではシューマツワーカーに関してはどうでしょう。

企業様は「リソース不足の解消」「人件費の変動費化」「ノウハウ不足」「コア業務の生産性向上」と企業様が解決したい課題がいくつかありますが、最終的に解決するのはワーカー様で「人」となります。そして、ワーカー様には「性格」「コミュニケーション能力」「強み弱み」「専門スキル」「本業の勤務形態」「生活環境」など、似ていることはあっても同じことは絶対にないのです。だからこそ、初回に行うCAのワーカー様の情報ヒアリングや、セールスが行う候補者との面談設定、CCのワーカー様への状況共有などが重要となりますので、他チームとの連携は力を入れています。

6.やらなかったこと(検討、考慮しているものも含む)

■ヘルススコア設計
ヘルスルコア設計は行っておりません。当時はGainsight社が提唱する「DEAR Framework」を活用したヘルススコア設計を行うか迷いました。(2018年12月頃に山田尚孝様が記載していた記事を参考)

「DEAR Framework」とは下記4つの状態から顧客の健全性を計るものです。

・Deployment(最適な利用条件の充足度)
・Engagement(顧客との関係値)
・Adoption(ユーザーを優良顧客化するために必要なKPI)
・ROI( 費用対効果)

ヘルススコアとは顧客の健康状態を計るものです。また、利用されることが前提となりそれらを定量的に常に計測することが必要です。人材ではそれが叶わないため設計しないということを少しだけまとめてみて、立ち上げ初期に検討しましたが、早々にやらない判断にしました。(下記画像で簡単に整理してみて、やらないことにした)

ただ、NPSのような顧客満足度は検討しておりますが、NPSだけでは本質的な顧客の状態を取れるとも限りませんので、諸々定義や運用などを決めて今検討している最中です。


■コミュニティ運営(ユーザー会)
シューマツワーカーの場合、CCチームがワーカー様側でエンジニアの勉強会コミュニティを運営しており、エンジニアの方の技術レベルの底上げに積極的となっております。(ワーカー様以外も参加可能で運営)

一方、企業側でのコミュニティとなった場合に難しかったのが、マーケ施策のイベントとまったく同様の内容となることでした。SaaSの場合のユーザー同士(一部新規)がプロダクトの活用後の実績や現在抱えている課題を共有し解決するなどが結果として現れるかと思います。そしてこれらはユーザーの職種(ターゲット)や業界が共通していることが多く、共通の話題が多いため成り立つことが多いです。シューマツワーカーの場合、外部人材活用方法(副業やフリーランス)がそれにあたり、既存顧客に登壇していただいたりしていますが、参加者は顧客ではない方が多数です。そしてこちらはコミュニティ運営とは違ってきて、イベント運営となり、参加される方もバラバラです。当初は既存もこちらのイベントで行えればいいという考え方になってましたが、最近は既存顧客だけのものを行うか考慮している最中です。(まずは小規模でもいいのでユーザー会を実施する、分科会を実施する、新たなコンテンツを用意しイベントを行うなど)

7.人材サービスでもSaaSでも顧客への価値提供が重要

ここまで手段について記載してきましたが、SaaS CSの頃と比べ、人材サービスCSでもSaaS CSでも本質である「顧客への価値提供(成功)が、事業の成長につながる」ことはなにも変わらないと感じています。

企業様へ「優秀な人材」「要望にマッチした人材」をつなぐ。ワーカー様へ「自身の経験を活かし、さらに成長が見込める企業」「自分のスキルに見合った報酬の案件」をつなぐ。シューマツワーカーがその架け橋となり、「両者が幸せになり続けることで、事業の成長につながる」ことが自分たちのサービスです。

そのための手段として様々なものがあり、自分としてはSaaSの経験(他のSaaS企業の施策)などが活きてきたというだけです。SaaSではなかった分、他社の手段や施策をそのまま真似ることはほとんどなかったです。自社のビジネスモデルや特性、事業フェーズで、今できること、やらないことを決めるのも重要だと思います。なので自分はこのフェーズで、人材サービスだからできる新たな方法などは求めませんでした。基盤が整った今なら、考案し始めてもいいかもしれませんが、その前に手が回りきっていないので、オペレーション改善をしないといけないです。

◆最後に

今回はこれまでのすべてを記載すると文字数が多くなりすぎたので、ある程度制限したのですが、細かい施策や、最近取り組み始めたもの(CS主導の導入事例インタビューやコンテンツ作成、候補者リスト作成、リレーション構築など)については記載しませんでした。そのため、記載不足な部分もあるかと思いますが、気になる方はぜひ直接聞いてください!

8ヶ月を振り返り、顧客のために「もっとやれたこと」や「これからやらなければいけないこと」も多いと感じています。また、社内からは数字として少しずつではありますが、成果も見えてきて基盤は整ってきたと認められてるCSチームです。しかし当初はオペレーションが悪くスピード感が出せなかったり、人材ならではの特性を掴みきれてなかったり、自身の未熟な部分などで、苦戦を強いられたりした部分もありました。今ではなんとか乗り越えることもでき、大変やりがいを感じました。今後目先ではなく、そろそろもっと先の将来のことも考えながら行動していこうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!また、Twitterでも少しずつ情報発信していきますので、よかったらフォローやよろしくお願いします!


P.S.
副業に興味があってこのnoteにたどり着いた方、ごめんなさい。このnoteでは参考にならなかったかと思いますので、下記サイトで副業に関するノウハウを発信したり、副業アンバサダーの方へのインタビューも行っておりますので、ぜひ参考にしてください…!


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