「Samnolence」の午前。

イトウさんの写真集「Samnolence」が再販されるというので、この機会に私の脳内妄想を消化しておこうと思います。関係者に怒られたら、消します。

作品は、Velvet ValetというPharfaiteさんが発売したメイド風の衣装を、イトウさんが2種(2色)着ていて、柔らかい光と、透明感のあるまどろみの午後を感じさせる素敵な写真集です。Pharfaiteさんの衣装なので、セクシーな印象もありますけど、綺麗さの方が強いですね。

普通の人はそこで終わるのですが、私はアフォの子なので、「こんなに素敵な午後が訪れるなら、午前中は酷いことがあったに違いない!」と勝手に妄想を進めるわけです。で、それをこれから垂れ流します。一応の設定とか、雰囲気は残っていますが、二次創作ってレベルじゃねぇーぐらい何から何まで勝手に作っているので、心の広い方だけお読み下さい。怒られたら、消します(2回目)。


古い洋館に、red(以降、レッド)とnavy(以降、ネイビー)の二人はメイドとして住んでいる。正確には3人、二人の主人であるイトウは深い眠りについたままずっと目覚めていない。彼女が最後に残した言葉「コウシキノキョウキュウガタリナイ」が、主人を救う手掛かりと信じて、日々を過ごしている。

「レッドちゃん、おはよー」
「ネイビー、もう9時よ、7時、せめて8時には起きて欲しいのだけど…」
「レッドちゃん、8時なんてミッドナイトだよ!」
「また連休中のオタクのようなことを…」
「朝から、また調べもの?」
「少しでも、手掛かりが欲しくて…」

レッドの足元には分厚い本が何冊も転がっていた。掃除好きが故、最後は綺麗に片付けるものの、その途中経過はなかなかの散らかり具合だった。彼女がずっと調べものをしているのには理由がある。この洋館には不思議な力が働いていて、外に出ることができない。故に、洋館にある書籍を読むことぐらいしか能動的にできることがないのだ。

「で、今日は何を読んでるの?」
「ブルーアカーイブ(※)のメインストーリー」
「ばかやろう」
※Yostarが新たに贈る、スマートフォン向けアプリゲーム
「だって、ご主人様がやってるから、ヒントがあるかも知れないし…」
「うん、まぁ、うん、レッドちゃん、変なとこ抜けてるよね」
「そんなことないわよ!」
「それより、外に出る方法を探そうよぉ~」
「それは何度も試して、無理だったじゃない」
「はぁ~、みなとみらい線に乗りたい…」
「ネイビー、あなた、いつもそれを言うけど、あれ、夢はないと思うわよ」
「え、何で、知ってるの?」
「それは…Googleアースとか、定点カメラで…」
「レッドちゃん、ダメじゃん!洋館に光ファイバーはダメじゃん!」
「でも、ないと不便だし…」
「返してよ!私のみなとみらい線を返してよぉ!」
「何か、ごめん、いつか乗れるといいわね」
「まぁ、私たち、そもそも外に着て行く服がないけどね…」

彼女たちのが着ているのはPharfaiteのVelvet Valet、胸元はほぼランジェリー、ガーターベルト、ニーソックス、高めのヒール、メイド風ではあるが、とても刺激的な格好だ。その赤基調がレッド、青基調がネイビーである。

「それは、ご主人様の服を借りれば…」
「レッドちゃん、この家にはね、メイド服と、バニーガールしかないんだよ」
「ご主人様…ホント馬鹿、でも、好き」
「まぁ、私はみなとみらい線なら、痴女扱い覚悟で乗るけどね!」
「何なのその情熱!」
「まぁ、ご主人様の方が好きだけど…」
「ふふ、そうね、ご主人様、グミを食べてそうな雰囲気なのに、モツを食ってるところが最高にいいわよね」
「うん、ちょっと何言ってるか分からない?」
「えぇ、ほとんどの女性はゼラチンに支配されているわよね」
「うん…」
「でも、ご主人様は、内臓を支配しているのよ!最高じゃない!」
「うん…」

ネイビーは、ゼラチンの時点で何を言っているか?サッパリ分からなかったが、変に聞き返した方が話が長くなると脳内で容易に計算できたので、分かってそうな雰囲気で逃げることにした。そんなことをしていると、チャイムの音が鳴った。それに続いて、ファミリーマートの入店音が流れる。洋館には不釣り合いなメロディーとともに客人は現れた。

外には出られないけれど、来訪者はやって来る。そして、それが、現状、ご主人を目覚めさせる最大の手掛かりなのだ。とぼけた会話をしていたレッド、ネイビー、顔を見合わせて、表情が引き締まる。この客人が自分たちの最愛の主人の命運を握っているからだ。

「あ、どうも、謎ジャージお姉さん(※)でーす!」
※謎ジャージお姉さんはイトウさんのFantia2023年9月で見られます。

「はぁ~、いつも通り変なのしか来ない」
「レッドちゃ~ん、言っちゃダメだよぉ~」

分かっているのだ。ここにやって来るのは主人に関係した人物だけ。その主人がぶっ飛んでいるのだから、当然、ぶっ飛んだに人間がやって来ることぐらい分かっているのだ。でも、にしても、容赦がない。そして、その客人をもてなすこと。それが彼女たちの使命である。それが達成された時、客人はイトウの欠片へと変貌を遂げる。その欠片を集めることが主人を目覚めさせることに繋がる。はず、きっと、たぶん…

「わーい、会いたかったよー、妹たち~」
「くぅ、そういう設定で来るのね」
「あれ、それ、Pharfaiteですよね」
「うん、正式にはハーフジャージ&ストラップブルマだねぇ~」
「レッドちゃん」
「なぁに?」
「この人、リアルお姉ちゃんだよ、発売日的な意味で」
「う、っく、え~ん」
「レッドちゃ~ん、泣くほどぉ~」
「だって、これと親族だなんてぇ~」
「いや~、妹からこれ扱いとか、ゾクゾクするねぇ~」
「しかも、変態だったぁ…」
「まぁ、まぁ、レッドちゃん、私たちも大差ない格好だよ」
「そうね、どっちも電車に乗れないという意味では同じね」
「え?私、普通にみなとみらい線で来ましたけど~」
「うわわわわああああ、あったんだ!あったんだ!みなとみらい線は本当にあったんだ!」
「ネイビー、落ち着きなさい!ラピュタみたいに言うんじゃない!」
「はっはっは、京急線からの乗り換えだよ!」
「お前もノるんじゃない!」
「レッドちゃん、今のは、飛行石の光の導きだよ的なパロディだよ」
「わかるか!」
「とりあえず、お茶を入れるから、お姉ちゃんは座ってて~」
「待って、ネイビー、二人にしないで…」
「おかまいなく~」
「構うわ!」

気まずそうなレッドを他所に、姉さんはニコニコ顔でレッドを見つめていた。そこにネイビーがトコトコと戻ってきて、机の上にコトコトと音を立てる。続いて、トクトクという小気味よい流水音が流れて、3人の前に飲み物が並んだ。雰囲気を察した姉さんが口を付け、ネイビー、レッドも口に含む。鼻から抜ける香り、喉に湿りが戻ったことで、落ち着きを取り戻していくレッド、ようやく状況が把握できた。

「何、綾鷹出してんだよ!」
「うわあああ」
「しかも、紙コップって、メイドの矜持はどうした!」
「だって、紅茶とか無理だもん…そういうのは、ワンダーパラー(※)さんとかじゃないと、私たちメイド風なだけだもん」
※ワンダーパラー、池袋にあるクラシカルメイドと美味しい紅茶が楽しめるお店
「くっ、そういえば、メイドっぽいことをした記憶がないわね…」
「ほらぁ~」
「まぁ、そんなに気にしなくても、綾鷹は美味しいですから、それにコカ・コーラの企業努力に勝てるメイドとか、そんなにいませんしね~」
「お姉ちゃん、優しぃ~、でも、料理は得意なんだよ、今度、食べさせてあげるね~」
「妹ぉ~」
「お姉ちゃ~ん」
「ネイビー、あなたのその雑な適応能力だけは尊敬するわ」
「褒められちゃったね~」
「ね~」
「おかしい、どうして二対一に」

レッドは振り回されつつも安堵していた。姉さんが友好的だったからだ。今までも危うい来客は来たことがなかった。この辺りは主人の人柄だろう。このままもてなしというか、姉さんの目的が達成できれば、新しい欠片が手に入り、主人の目覚めに近づく。その前に、聞いておく必要がある。そう、主人が最後に残した「コウシキノキョウキュウガタリナイ」という言葉についてだ。

「あぁ、それは公式の供給が足りないですね、イトウさんはスーパークリーク(※)ガチ勢なので、チラッと新衣装の一つでも出れば、飛び起きますよ~」
※スーパークリーク、ウマ娘、みんなのママ

「だって、レッドちゃん」
「そうね、知ってたわ」

「う~ん、プロレスしろやーーーーーーーーーーー!そこは、聞き覚えの無い言葉ですねーーーだろおぉーーーーーーーーーー!全部、Cygamesの手の平だって、こっちも分かってんだよおぉーーーーーーーーーーーー!」

「うん…、ごめんよ~」
「今のはお姉ちゃんが悪いね」

姉妹会議の結果、先の件はなかったことになった。主人を目覚めさせる最善は欠片集め。ロールバックが完了した。気を取り直して、謎ジャージ姉さんがやってきた目的に話題は移る。最初から、それで良かった。


「う~ん、二人に会いに来ただけなので、これといった目的はないんですけど、まぁ、強いて言えば、一緒に運動ですかね、私、これでもパーソナルトレーナーなんですよ~」
「お姉ちゃん、全世界のパーソナルトレーナーに謝った方がいいよ」
「ネイビー、同意するわ」
「でわ、レッツエクササイズ!」
「くっ、心が強すぎる」
「さすがの筋肉だね~」

姉さんのエクササイズが始まった。まずはヒップリフト、腰を持ち上げるだけだが、なまった体に響く。続いて、ヒップスラスト、ブルガリアンスクワット、サイドレッグサークル、ファイヤーハイドランド、オタク心を刺激するネーミングの運動が続く。更に、ライイングツイスト、バックキック、サイドキック、リバースプランク、1セット目のエクササイズが完了して、やっと、気が付いた。

「尻しか鍛える気がねーなー!」
「だって、NIKKE(※)が、NIKKEがパンプアップを求めてるから~」
※『勝利の女神:NIKKE』背中で魅せるガンガールRPG、背中より尻が目立つ、NIKKEのキャラクターは骨格ウェーブのコスプレイヤーと、ムチムチ好きの味方だ。

エクササイズというより尻への罰ゲームだったが、姉さんは満足そうだった。そして、笑顔の姉さんを光が包み始める。二人のもてなしが、謎ジャージ姉さんを欠片へと変えていく。眩い光を放って、空中に欠片が出現した。

「これは…」
「ミノだね」
「胃袋?」
「そう、胃袋」
「え、ちょっと待って、欠片って、宝石みたいなやつじゃ~」
「お姉ちゃん、もうミノだからしゃべっちゃダメだよ」
「何度見てもカオスね、イトウの欠片」
「いや、え、えええぇぇ…」

ミノこと欠片は光を放ったまま、主人の待つ寝室へと飛んで行った。遠くから、クッチャクッチャと租借音が聞こえてきたが、しばらくしても主人は目覚めてこなかった。

「まだ足りなかったわね」
「そうみたいだねー」
「あー、疲れた、午後はゆっくりするわ、その前に、ネイビー、昼ご飯をお願い」
「はーい」
「それ、私も食べられます?」
「お姉ちゃん、もうミノだから、無理かもよ~」
「早く飲み込まれてこい!」

昼食後、二人はゆったりとまどろみの午後を過ごした(本編に戻る)。よかった。この先には救いが確定している。

次回、サムライバニーが来た!に続くかも。

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