着ているだけであたりが毛だらけになるモヘアのカーディガンを持っている。以前それを旅行に羽織っていったら、肩にかけたバッグの脇腹にこすれた部分ががみるみる灰色になり、同行者たちと別行動をして衣服用の粘着テープロールを買いに行った（そのとき撮った、私が棍棒のようにテープを掲げている写真がある）。このカーディガンとやっていくのはもう無理、捨てよう、と思ったものの、見た目と暖かさは好きなので、なんとなく着てしまう。着た日は洗面台に湿気でうっすら毛が張り付くし、床にも毛玉が漂い、キャンバス製の椅子の私の体重がかかる腰あたりには魚拓のように灰色の靄が捺される。こんなに毛が落ちているのだから、カーディガン本体は段々薄くなっているのだろうと思うが、今のところフワフワのままだ。こうなったら消えて無くなるまで着たい。

　ベランダのパクチーがどんどん藪化しており、茎が太く硬くなってきたので、少し摘んでサラダにしたが、まだ藪。一株の根を引き抜こうと引っ張ってみたが強すぎてびくともしなかった。

　めざしの残りをフライパンで焼いてほぐし、キャベツとペペロンチーノにした。白ワインを振り入れたつもりが赤ワインだったので見た目が茶色くくすんだがおいしかった。
PMSで記憶が飛びがち。